2013年から約2年半の立て替えを経てリニューアルオープンした銀座の老舗文房具専門店「伊東屋」。
こちらに新しくできたイベントスペースでとてもユニークな展示が行われています。
「折り紙」と聞いたら、折り鶴にやっこさん…と、思わず小さい頃に遊んだ可愛らしいものを想像してしまいますが、こちらにある「計算するオリガミ」は…
↑うさぎ。
…予想外に迫力のある「オリガミ」ですが、これ、一枚の紙を使って一度もハサミを入れることなく手で折っただけ、まさに「折り紙」で作られているんです!
↑こんな複雑な形状だって!
下に敷かれている多角形の紙の線の通りに折って行けば折れてしまうんだそうです。
これらのオリガミを製作されているのは、東京大学で助教をなさっている舘知宏さん。
「任意の立体形状を1枚の紙から折ることができるのか?」という問いをコンピュータの計算によって解いて行く研究をされているそうです。
先ほどのうさぎの作品は、ポリゴンメッシュで作った立体物の構造を入力すると、そのメッシュの多角形の周辺にヒダを入れ、立体におこしていくための展開図を出力してくれる「オリガマイザ(Origamizer)」という舘さんの開発されたソフトウェアによってつくられているそうです。
(ポリゴンメッシュと展開図を対応させてみせてくれる映像も。)
オリガミの展示の横では、それを実際に折り上げていく映像も映し出されていましたが…
(オリガミを折る様子(左)と、ウサギの展開図(右上))
How To Fold a Bunny
(同じ映像がYouTubeでも公開されていました。)
細かすぎてとても素人には折れませんね… これを迷いなく折れるのは頭に全てはいっているのでしょうか…?
もうひとつ、先ほどのアルマジロのような形状のオリガミを作っているのは、任意の曲面形状の周りにシワをつくることによって、やはり1枚の紙からその曲面を折るためのパターンを計算してくれる「フリーフォーム・オリガミ」という、やはり舘さんの開発のソフトウェア。
例えば、こんな↑ タイルのような美しいパターンからつくられるのは…
まるで布のように柔らかい、美しい流線型!
きっちりとした直線の折り目から、柔らかい曲面が生まれてくるのはなんだか不思議な感じもします。
(同じパターンに見えますが、少しずつパターンが変わっていて端と中央ではカーブが変わっています。折った紙のつくり出す陰影も美しいです。)
今回は小さなイベントスペースでの展示でしたが、2013年には、東京大学駒場博物館内で「計算折紙(コンピューテーショナルオリガミ)のかたち」という大きな展示も行われていたそうです。
この時のレポート記事を読んでいると、オリガミって奥深い…
そういえば、人工衛星のパネルの収納や、身近なところでは地図などに使われる「ミウラ折り」も、こんな美しい「オリガミ」の一種ですね。
(ミウラ折りもシンプルに見えますが、実際に折ってみるとなかなか複雑で難しいです…)
なお、ここで紹介されていた「オリガマイザ」「フリーフォーム・オリガミ」はweb上で公開されているそうです。
同じ、舘さんのサイトにあるこれまでの作品が並べられたFlickerがとても美しいです…
1枚の紙から無限に広がる「オリガミ」の世界。
2015年8月31日(月)まで開催されているので、ぜひ実物をご覧になってみてください。
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■ DATA
計算するオリガミ 舘知宏 かたちの探察
会期:2015年6月16日(火)~8月31日(月)
会場:G.Itoya7階 竹尾見本帖 at Itoya
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なお、会場のG.Itoya7階 竹尾見本帖は、紙の専門商社 竹尾と伊東屋の新しい紙の専門店。
1000種類を超えるという紙は見ているだけでわくわくします。
(写真は、G.Itoya webサイトより)
新しくなった伊東屋は、セレクトショップのように素敵な文具が各フロアに陳列されていました。カフェや植物工場も併設されていて(賛否両論あるようですが)面白いなぁと思いました。
(11階にある植物工場。ここで育った野菜は12階のカフェで提供されるようです。)
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