茅ヶ崎美術館の「なつの福袋'15 正しいらくがき」展にいってきました。
絵を描く機械; ドローイングマシーンの展示。
会場に入ると、早速…機械が描いています!
今回展示されている”やんツー&菅野創”さんの「 SEMI-SENSELESS DRAWING MODULES 」は、2014年の札幌国際芸術祭で発表された作品。
多くの人が行き交う札幌の地下歩行空間で、 "展示空間の人の多さや騒音量、その日の気温、湿度"といった環境のコンディションによって、ペンを持ったモジュールが上下左右に移動し、線を描いていってできた絵です。
イエロー,マゼンタ,シアンの3色で、きれいなグラデーションがつくられています。
「機械が描いた絵」なんていうと、なんだか味気ないもののようにも捉えられてしまいそうですが、人が描く「抽象画」のというものがもともと”自分の感情を表現し、その行為の痕跡をキャンバスに定着させたもの”と言われているものであり、”環境の変化が画家の精神状態に働きかけ、描かれる絵の質に影響を与える”ものと考え、この機械によるドローイングは、”外界の状況をマシンの動き方に反映させることで、抽象画家そのものをシュミレートする”ことなのだそうです。(HPより)
「機械が描く」といっても、人と同じように、描く環境に影響を受けながら描いていくというのが面白いですね。
私はこの作品をアートフェアではじめて見たのですが、機械で描いたということを知らずにこの作品と対面したときに、無機質さなど感じる事なく、”なんてきれいな絵なんだろう”と感じました。
さらに今回の展示では、その機械が描いた絵を人が模写し、さらにその模写をした際のペンの動きをセンサーで読み取り、再びその模写を機械が模写する、といった試みもなされていました。(ディスプレイではワークショップの様子が映されていました。)
遠くから見ると同じようなグラデーションですが、違う人が描いた線は、担当の場所によって個性が出ているように見えますね。
(私が伺ったのはまだ開催直後で、機械による模写もはじまったばかりでしたが、これから時間が経つにつれて作品が出来上がっていくのでしょう。どうなるのか楽しみです。)
さて、もうひとつの部屋ではまた様子の異なる「ドローイングマシーン」が展示されていました。
こちらは、多摩美術大学の石毛健太さんの作品です。
部屋に並ぶのは、お掃除ロボットや扇風機など、見慣れた機械たち。それらの機械がペンを持ったり、またはキャンバスを引きずってまわったりしながらキャンバスに絵を描いていきます。
それぞれの機械が好き勝手に動き回っているようにも見えますが、隣の機械とキャンバスが糸で結ばれていたり、お掃除ロボットが周りの環境に依存して動きを変える事を思うと、これも”周囲の環境が描くものに影響を与える”抽象画と考えられるのかも。
描いているのは機械ですが、なかなかうまくキャンバスに色をのせることができないので、なんだか応援したくなってくるのが不思議です。
こちら↑は、ある日にお掃除ロボットによって描かれた絵なのだそうです。
ロボットが描いていても、日によって描く内容が全く変わってくるのが面白いですね。
なお、今年の夏は関東でSEMI-SENSELESS DRAWING MODULES 三部作の展示もあるそうです。
どの作品も、会期中の「公開製作」。私はオープン直後にいきましたが、会期の終わり頃にはどんな風に作品は変化しているのでしょうか?楽しみです。
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会 期 2015年7月19日(日)〜8月30日(日)
休館日 7月21日[火]、22日[水]、27日[月]、8月3日[月]、10日[月]、17日[月]、24日[月]
時 間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
会 場 茅ヶ崎市美術館
観覧料 無料
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