海外から見た「東京」ってどんなイメージなんだろう?
アニメやマンガ、アイドルなどのPOPカルチャー?それとも、建築や伝統文化、そして技術?
(東京シティビューのスカイデッキから見た東京タワー)
東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティングⅥ "TOKYO"-見えない都市を見せる」は
「”TOKYO”を読み解く10のキーワード」にそって
①東京のクリエイターが「東京」テーマにをキュレーションする
②国内外の作家が「東京」をテーマに新作を制作する
という2つの方法で東京を新たに”見いだす”企画です。
(こちらの展示は、一部を除いて撮影可能でした。)
(東京都現代美術館)
展示は1Fと3Fの2フロア。1Fには、YMOの舞台装置やライヴ映像などの展示、また蜷川実花さんの捉えた「コスプレ」や「ヴィジュアル系」のような独特なファッション文化の写真が並び、東京から発信されたポップな文化を感じられます。
(”文化事業としてのYMO”展示風景 / キュレーション:YMO+宮沢章夫)
(”自己演出の舞台装置” 展示風景 / キュレーション:蜷川実花)
(蜷川実花さんの展示室には、舞台セットで”自撮り”できるコーナーも。”自撮り”も現代のポップカルチャーの一つですね)
また今回の展示で最年少のキュレーター EBM(T) の展示室では、機械やバイオなどの様々なテクノロジーのイメージも感じられます。(Facebookで知り合った作家をキュレーションするという方法も現代風ですね。)
(「20XX」/ テイバー・ロック)
全体的に華やかなイメージの1Fでしたが、エスカレータを上がって3Fに着くと空気が変わります。
演劇作家・岡田利規さんの「飛べなくなった魔法の絨毯」は、東京を”かつては空を飛んでいたが、効力が切れて飛べなくなってしまった魔法の絨毯”に例え、詩と小金沢健人さんの絵で表現した作品。
(「有効期限切れマジックカーペット」/ 岡田利規+小金沢健人)
そういえば、1Fの華やかな展示も”現在進行形”というよりは、”少し前"の東京の姿であるような気もしてきます。
【かつて、東京は技術と芸術の都だった。】【東京が置き去りになる前にアートで東京を変えよう。】 という「MEDIA AMBITION TOKYO」の印象的なキャッチコピーを思い出してしまいました。
続いて、東京の都市の混沌とした雰囲気を捉えた、目【め】の作品へ。
そういえば、ビルの谷間に庭園や寺社があったり、意外に東京って混沌とした街だなと気づきます。
(「ワームホールとしての東京」 / 目【め】
写真から大掛かりなインスタレーション作品へと続いていきます。)
1部屋をまるごと使った目【め】のインスタレーション作品は、”過去の古い家屋の横に高層ビルが並ぶ中にさらに新しい建物も建設されつつあり、時代も機能も異なる建物の中が隣接して建ち並ぶ東京の街の様子”を驚くような方法で表現していました。(ぜひ生で作品を見て欲しいので、写真は載せないようにします…)
この混沌としたイメージは、続くホンマタカシさんの展示にもつながってきます。
「何かが起こる前夜としての東京」という少し不穏なタイトルは、写真家・ホンマタカシさんのキュレーションする部屋。
(”何かが起こる前夜としての東京”展示風景 / ホンマタカシ キュレーション)
東京は”清潔な街”とか”安全な街”とか言われているけど、今現在、本当にそうなのか?そして、これからもそうなのか?と疑問を投げかけられているような気分になります。
(「FINAL HOME」 / 津村耕佑 )
最後はデンマークの作家・SUPERFLEXの作品。
こちらの映像作品の舞台はコペンハーゲンやシャルジャといった多民族・移民から構成された地域。ここに他民族が集うことができるパブリックスペースをつくる内容なのですが… なぜ最後に東京ではない作品が…?
(「スーパーキレン」 / SUPERFLEX )
ここまで”東京がどんな都市か?”と様々な視点で見てきたけれども、ひょっとしたら単一民族の小さな都市のひとつにすぎないのかもしない…と感じました。オリンピックに向けて多くの外国人が訪れると言われても、この映像のように多くの民族が同じ場所に介しているという状況はなんだか想像がつかず…文化の違う人々が一堂に会するってどんな状態なんだろう?と考えさせられました。
(”何かが起こる前夜としての東京”展示風景 / ホンマタカシ キュレーション 内の国立競技場模型と現在の建設予定地の写真)
展示が進むにつれて、徐々に大きな枠組みで“東京”を捉えていくような面白い構成の展示でした。
特に後半は考えさせられる展示でしたが、見終わった後にそれほど重い感覚はありませんでした。
これからの東京を楽観視するような展示ではありませんでしたが、決して悲観的なことばかりでもないように感じました。
東京の面白いところも課題も、様々な視点から考えられる「 "TOKYO"-見えない都市を見せる 」は2016年2月14日までです。
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なお、こちらの企画展チケットで観覧できる「MOTコレクション」展では、アトリウムに大友良英+青山泰知+伊藤隆之の「without records - mot ver.2015」という、タイトルの通り”レコードのない状態でレコードプレイヤー自身が音楽を奏でる”面白い作品が展開されています。
(「without records - mot ver.2015」/ 大友良英+青山泰知+伊藤隆之
「MOTコレクション」のなかではこちらの作品のみ撮影可能でした。)
あちらこちらで音が奏でられ、見ていても聞いていても楽しい作品です。ぜひこちらも合わせてどうぞ!
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■DATA■
東京アートミーティングVI "TOKYO" 見えない都市を見せる @東京都現代美術館(清澄白河)
日程:2015年11月7日(土)~2016年2月14日(日)
時間:10時00分~18時00分
休み:月曜日(11月23日、2016年1月11日は開館)、11月24日(火)、12月28日(月)〜2016年1月1日(金)、2016年1月12日(火)
料金:一般1,200円、大学生、専門学校生、65歳以上900円
サブカルチャーやポップカルチャー、アートなどの文脈が交差していた1980年代の文化を継承する一方で、多様化を続ける現在の東京が持つ「創造力」の可能性を多角的に探る展覧会。キュレーターとして参加するのは、YMO+宮沢章夫、蜷川実花、ホンマタカシ、岡田利規、EBM(T)、松江哲明の6組。
新作展示のセクションには、デンマークのアーティスト集団SUPERFLEX、フランス出身のサーダン・アフィフ、目【め】(荒神明香、南川憲二、増井宏文)、中国出身の林科が出展。さらに会場では、荒川修作、川俣正、奈良美智、名和晃平、村上隆、横尾忠則ら1970年代から現在までの作家27組による絵画も展示される。
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