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横浜で開催される3年に一度の芸術祭、ヨコハマトリエンナーレ!
今年も各地でさまざまな芸術祭が開催されていますが、そのなかでも2001年から開催されている老舗の芸術祭、ヨコハマトリエンナーレ2017が開幕しました!!
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今年のヨコハマトリエンナーレのタイトルは、「島と星座とガラパゴス」。「接続(=星座)」と「孤立(=島)」から世界の今を考えることがテーマのようです。「ガラパゴス」はそれによって浮かび上がる、個性や独自性のようなイメージでしょうか。
会場は3つ。それぞれ個性的ですが、わたしは赤レンガ倉庫がオススメです!では、それぞれの会場をみてみましょう。
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(作家紹介や地図の書かれたハンドブックは無料でいただけます!)
■見応えある個展の集合体 横浜美術館
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(難民たちが実際に着用していたジャケット!視認性をあげて命を守る道具なので、原色が多くて遠くからでもかなり目立ちます。近くで見ると、ボロボロだったり泥が残っていたり…)
こちらの作品をはじめ、横浜美術館エントランス付近の作品は無料で観ることができます。
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(こちらのトラックは、アレックス・ハートリーの「Nowhereisland」。作者が新しく発見した島(?!)の一部を「新しい国家」と考えて、みんなで新しい憲法をつくる作品。自分の考えた「憲法」を宣言すると「入国」でき、なんとその島の一部がもらえちゃいます!)
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(▲こちらが島の一部。憲法を宣言する体験は、日時限定で行われているそうです。)
横浜美術館で特に印象に残ったのは、日本のアーティストたち。
・インパクト大!どこにでもある”日本の風景”と”萌えキャラ”で埋め尽くされたミスターの世界!
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(部屋のタイトルは「ごめんなさい」。制作する上でさらけだしすぎて”あまりかっこいいものではなくて、もう申し訳ありません”とのコメントが。まさに「ガラパゴス」といった雰囲気です。)
・日本の土地やエネルギーの問題を扱った川久保ジョイ
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(奥に見えるグラフは、美術館の壁を本当に削って表現した”横浜の地価”のグラフ。削る深さによって地層のように様々なテクスチャが見られます。壁は触っても良いそうです!)
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(陸前高田出身の畠山直哉さんの震災前後の写真が比較して展示されています。東日本大震災後にボランティアをしながら作品を制作してきた瀬尾夏美さんの絵画も畠山さんの展示室から続いていきます。)
・学校・教育の問題をユニークな版画で表現する風間サチコ
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(黒い車に書かれた言葉は「君が代」ならぬ「僕の代」?!組体操を表現した”人間富嶽”など、日本のなかの身近な問題を扱っているので、共感がわく作品です。)
もちろん、”国際展”らしく、世界各国のアーティストの作品が見られるのも楽しいです。
・ユニークで壮大なパフォーマンス&インスタレーション!ザオ・ザオ
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(砂漠の真ん中に電線を引っ張って冷たいビールを飲む?!こんなばかげた計画の、あまりにも壮大で美しい映像に魅了されます。電気が神々しく見える!!アイ・ウェイウェイの弟子の、中国の若手アーティスト。)
・とにかくかわいい! パオラ・ピヴィ
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(羽毛でできたカラフルなクマの作品は、”多様性”をテーマにした作品ということですが、とにかくかわいい!ふわふわ!!手前の寝そべっている子のタイトルは「準備ができたら教えて」。)
・吸い込まれそう!なトリックアート。マーク・フスティニアーニ
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(どこまでも続いていくトンネルに、深い穴。鏡を使った作品はとてもユニークで見ていて楽しい。もうひとつ、”穴”バージョンもあります。)
1作家ごとに部屋で区切られていて、さらに”作品タイトル”とは別に、作家ごとに”展示タイトル”もつけられているので、ギャラリーコンプレックスみたいですね。いくつかの作品がつながることで、1つの作品だけではなかった”気づき”もあり、ユニークな試みですね。
■スペクタクルな作品 横浜赤レンガ倉庫1号館
シャトルバスで赤レンガ倉庫へ。歩くと20〜30分かかりますが、バスだと楽チン。
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(シャトルバスの外装も、ジェニー・ホルツァーの作品!)
横浜赤レンガ倉庫1号館は、ホワイトキューブの美術館とはまた違い、重厚な建築だけど柔らかい自然光も入るような独特な雰囲気と、会場を広々と使った展示がとてもよかったです!
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・とにかくエモーショナル! 宇治野宗輝 の世界
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(海外の文化の上で成立している自分たちの文化に対するコンプレックスを表すような映像作品につづき、それを逆手に取ったような、家電やエレキギターで作り出されるエモーショナルな風景と音楽!言葉で伝えづらいのですが、とにかく”見たらわかる!”という作品。)
・これもアート?!思わず笑ってしまう クリスチャン・ヤンコフスキー
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(”歴史の重み”を実感するために、”歴史ある彫像をスポーツ選手たちに持ち上げさせる”…?!スポーツ実況のように演出しているので、思わず応援しながら見入ってしまいます。”同じ姿勢で凝り固まった彫刻たちを、マッサージ師たちが揉みほぐす”作品などもあり、面白いです。)
・物量に驚く! ドン・ユアン
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(おばあちゃんの家にあるものをすべて描き尽くす作品。様々なサイズのカンバスに原寸大でそれぞれのモノが描かれ、家が構成されています。文化は違いますが、おばあちゃんの家の”いろんなものが混ざったごちゃごちゃ感”に、なんだかノスタルジーも感じさせられます。)
・個性的で忘れられない色づかい 小西紀行
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(印象的な色使い、単純化したように表現された人の身体と、透明感のある絵の具の中から浮かび上がってくるような表情。会場の一番奥の静かな空間でとても印象的な作品でした。)
・一人でじっくり考える空間。 Don't Follow the Wind
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(福島の帰還困難区域で行われている国際展。福島出身の毒山凡太郎さん監修のヘッドセットで、「見ることができない国際展」の一部に入り込んで観ることができる。ヘッドセットだと、その場にいる気分になるだけじゃなくて、”自分の視点”で見て、”自分一人で考える時間”になるのが良かった。)
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(まだ”観に行くことができない国際展”のチケットは、赤レンガ倉庫で販売されています。)
■1フロアすべて使った壮大な個展! 横浜市開港記念会館 地下
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(瓦礫の山でできた”ゴジラ”の目にうつる景色とは…)
昨年、近くのBankARTで大きな個展が開催され、そのバージョン違いといった感じでしたが、会場が変わると見え方の異なる作品もありますね。
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ちなみに、ヨコハマトリエンナーレ2017は解説文はありませんが、入場すると作家紹介の小冊子がもらえ、無料でダウンロードできるスマホアプリの音声ガイドがあります。こちらは個々の作品情報もあってわかりやすいので、ぜひイヤホンを持っていってください!(イヤホンを忘れた場合、100円で購入できるそうなので、インフォメーションに聞いてみてください。)
作者の個性が強く出ているのでやや”ばらばら感”もありますが、東日本大震災や難民の問題、多様性を認めることなど…さまざまな作品がゆるやかにつながってくるようにも見えました。期間中、トークなどのイベントも多数開催されるようです。11月5日までです。
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■ ヨコトリ2017 まとめ
・会場は「横浜美術館」、「横浜赤レンガ倉庫1号館」、「横浜市開港記念会館地下」の3会場。
・チケットは、各会場に1回ずつ入場可能。(それぞれ別の日でもOK)
(※「BankART Life V」、「黄金町バザール2017」とのセット券もあり。)
・横浜美術館やみなとみらい駅には、観覧無料作品も。
・横浜美術館から、横浜赤レンガ倉庫1号館・横浜市開港記念会館地下への移動は徒歩で25分程度。無料シャトルバスorみなとみらい線での移動がオススメ!
・作家紹介などのハンドブックは無料で配布。
・作品ごとの紹介は無料の音声ガイドで。自分のスマホで聞くタイプなので、イヤホンをお忘れなく!
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■DATA
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会期:2017年8月4日(金)‐ 11月5 日(日)
休場日:第2・4木曜日(8/10、8/24、9/14、9/28、10/12、10/26)
時間:10:00 - 18:00
[10/27(金)、10/28(土)、10/29(日)、11/2(木)、11/3(金・祝)、11/4(土)は20:30まで開場(最終入場20:00)]
入場料:一般 1,800円、大学・専門学校生 1,200円、高校生 800円、中学生以下 無料
横浜トリエンナーレは、3年に1度開催される現代アートの国際展です。
本トリエンナーレでは、アーティストを厳選し、その多くが複数作品を展示することで、小さな個展群が緩やかにつながり、星座あるいは多島海を形作るように展覧会を構成します。
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