(「plastic nature」 / 本城直季 (展覧会フライヤー))
本城直季さんといえば、高いところから大判カメラでピントの合う範囲を調整して風景を撮影し、まるで実際の風景をジオラマのように映し出す作品で有名な写真家。
今ではアプリで「ジオラマ風」なんて加工をすることもできてしまいますが、はじめて本城さんの作品を見た時には本当に驚いたことを覚えています。
そんな本城直季さんの新作の写真展が、アーツ千代田3331にあるnap galleryのオープニング展として開催されています。
(展覧会フライヤー。写真が大きくとてもきれいなフライヤーで嬉しいです。)
ところが、新作にはこれまでの作品の写真と違って建物も人も写っていません。大判にプリントした写真に映しだされているのは、空撮で撮影された山とその中を通る1本の道だけ。
雄大な山の風景はどこからどう見ても”自然”の風景なのに、展覧会のタイトル"plastic nature"のとおり、どこか工業製品のようにも見えてきます。例えば、プラスチックでできた色の揃った人工芝や、整然と毛の長さが揃えられたタワシの表面を拡大して見ているよう。
(「plastic nature」 / 本城直季 (展覧会フライヤー)
これらの写真に映し出されているのは人工的に植林され、同じ種類の木ばかりが並んでいる山なのだそうです。
地上で木々が生い茂る山道を通ったら”自然だ”と思って見てしまいそうですが、上空から写真の効果を加えて見てみると山までもが人工的につくられた工業製品のようにも見えてしまいました。
一方で北海道の恵山と長野の御嶽山の写真は、同じ手法で撮影された写真でも工業製品ではなくただ「岩」を拡大して見たように見えるのが不思議でした。”ジオラマ風”にみえるのは、ただ撮影手法だけでなく、風景の中に人が手を入れた部分があるからそう見えていたのかもしれません。
この新作の大判写真6点の他に、ギャラリー内では最初期の頃の作品と最新作が並べて展示されていました。
手法は同じでも、これまでとは異なった雰囲気の本城直季さんの新作に触れられる写真展は9月12日(土)までです。
******************
■ DATA ■
(209号室から206号室に引っ越したnap galleryのリニューアル・オープニング展)
2015年7月30日(木)~9月12日(土)
会場:nap gallery (アーツ千代田3331 206号室)
時間:12:00~18:30(木曜は21:00まで)
休廊日:月、火曜、祝日 ※日曜は予約が必要
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます