スランベリスの赤い機関車
スレート(天然スレート、粘板岩)は、イギリスの古い家などによく見られる屋根材です。
スレート屋根の家は趣がありますが、大変な重さになりそうです。
ウェールズ北西部は高品質なスレートの産地で、特に産業革命以降は盛んに輸出されました。採石に関連する鉱山、採石場、鉄道や集落などが「スレートの景観」として世界遺産に加わりました(2021年登録)。
スレート屋根の家(バイブリー)
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スランベリス Llanberis にはスレートの採石場が点在し、山肌を大きく切り開いた採石場跡が風景の一部になっています。
その手前の建物は、この先に広がるパダーン湖 Llyn Padarn 北岸を折り返すスランベリス湖岸鉄道Llanberis Lake Railway(LLR)の乗り場です。レール幅の狭い観光用の軽便鉄道で、全長は4㎞ほど。
ディノウィッグ Dinowig 採石場は1969年に閉鎖されましたが、工場は国立スレート博物館として活用されています。
画面左からもうもうとSLの煙が流れてきます。
朝から煙を上げていたのは、湖岸鉄道の赤い機関車、エリディア Elidir 号。鉱山のある山の名をもらっています。
出番に備えて、菜っ葉服を着た男性が点検に余念がありません。
この小さな機関車は1889年生まれ。かつての石切場の輸送線で工員やスレートを運んでいました。
1961年に路線が廃止されると廃車されましたが、1971年に復元され、翌年には湖岸鉄道にカムバックしました。
点検中の男性曰く、「輸入ものの石炭が粗悪でねえ…」
現代のSLが抱える問題かも知れません。観光鉄道の運営にもいろいろと苦労があるようです。
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かつて、たくさんの鉱山労働者が働いていたスレート鉱山は静まり返り、スレート運搬の列車に代わって観光列車が走るようになりました。この小さな鉄道に乗って静かな時間を味わいたいと思いましたが、残念ながら、この鉄道には乗らず、お隣のスノードン登山鉄道を楽しみました。∎
こちらの動画で湖岸鉄道に乗った気分を味わえます。エリディア号に牽かれて走る全線の前面展望などが楽しめます。
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ウェールズ点描 <2>
一日のうちに四季がある空、なだらかに広がる丘陵、疎林、羊の群れ。コンスタブルっぽい(笑)。
邸内から見る庭
ウェオブリ―(Weobley)にて
一日のうちに四季がある空、なだらかに広がる丘陵、疎林、羊の群れ。コンスタブルっぽい(笑)。
邸内から見る庭
ウェオブリ―(Weobley)にて
RICOH / GR DIGITAL
ウェールズで出会った車両4 スランベリスの赤い機関車