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最後のフィルム

2020年09月28日 | カメラ・写真
 

「発掘」されたREALA ACE。箱は少し汚れています。Nikon D7100/AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G


先日、部屋の片付けをしていたら未使用のフィルムが出てきました。フジカラーのリアラ・エース36枚撮りです。
当時、私はカラー写真もネガフィルムを使っていました。最後のカメラとなったコンタックス139Qで使用されるはずでした。コンタックスはレンズの描写性能がよく、ネガフィルムでも満足できる結果が得られたからです。いや、ポジをラボに出すのが面倒だったのかも知れません。このフィルムは国立科学博物館によって未来技術遺産として登録されているそうです。

ミュージアム・アイテムは誇らしいのですが、今、フィルムを持っていてもどうしようもありません。遅すぎます。有効期限は2010年10月。もう、撮影したとしても結果の保証はないでしょう。もう、カメラもないし。
そう言えば、我が家は代々富士フィルムが贔屓で、サクラカラーとかコニカカラーのオレンジ色のパッケージを見たことがありません。子供の頃から使っていたのはネオパンという富士フィルム製(モノクロ)のもの。その後はフジカラーになりました。長ずるに及んでコダックのトライXやエクタクロームなどに手を出しそれなりに粋がっていた頃もありましたが今は昔です(笑)。


フィルムパッケージのデザインにもお国柄が出るようで興味深いものがありました。コダックは、これぞ黄色という強い色で、「霞か雲か」の日本の風土と異なった強さが感じられました。いくつかあった種類ごとに黄色との組み合わせを変えていましたがどれもコントラストの強い配色ではっきりしていました。
イルフォードは白基調で潔癖というか、品があるというかそんな雰囲気を感じさせました。敢えて目立たない白を使っとところに自信が感じられます。
フジカラーの緑色のパッケージは別の意味で個性的だったと思います。緑色に決めた理由は知りませんが、日本らしく花鳥風月を象徴する色なのかなあと想像します。
現在は、フィルムではなくSDカードですから、こんなことに思いを巡らすことはありません。

思えばメディア(媒体)の栄枯盛衰は枚挙にいとまがありません。私の身近な範囲でもフィルムでは、ボルタ判、ブローニー判の消長があり、その後、フィルム自体が絶滅しました。ビデオのVHSとベータ版も既になく、LPは既に絶滅、その後のCDも衰亡の一途、コンピュータ関係ではフロッピーディスク、MOなど色々と多様な系統がありましたが今や全部化石。カメラ関係では現在のQRDやSDカードも今後は分かりません。小さく便利になっていくメディアですが、それだけに規格をめぐる主導権争いや消長はこれからも繰り返されていくでしょう。もう「長期政権」などありえず、短期間で変わっていくと思われます。それに追い回される我らユーザーの嘆きは永遠に続くようです。

そのような時の流れの中にぽつんと残った過去の遺物。燃えるゴミか燃えないゴミか。いや、それはまだ早い。確かフィルムのカメラがまだ1台あったはず。あれ、まだ動くかなあ。


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