かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

甘えたい

2011年03月07日 | 昼下がりの外来で
やんなっちゃうよなあ。

アタシは、姉御っぽく振舞いたくはないと常々思っているわけですよ。
典型的第一子長女の性格のアタシは、ご幼少のときも弟のことをいつも気にかけているネエチャンだったわけで。
むかしっから、いつかは誰かにごろにゃーんと甘えられる日がくることを夢みながら、気丈に振舞いながら暮らしてきたわけですよ。

ところが、今もって相変わらずで、今日の禁煙外来なんかサイアクだったですよ。


「センセイ、ぼく、1ヶ月はがんばったんですう。だけど、人間関係でストレスがあって、また吸っちゃいました~  やなこと言われても、右の耳から左の耳に素通りさせればいいんですけどねえ・・・」


とか、


「なんで吸っちゃったかって?おぼえてませーん。とにかくセンセイ、シールは効かないの。前もそうだったの。あたし、くすりじゃないとダメなの。おねがい、くすり出して。飲んでる間は大丈夫なの。そのあとのこと?こんどは精進します。やくそくします。ね、だから~」


とか・・・


精神科疾患をお持ちの患者さんが多かったというのもあるけれど、こんなはずじゃない、こんなふうに説教たれたくない、って思いながら、まるでアタシは教壇の上に仁王立ちして棒を振り回している鬼コーチみたいだったですよ。



やっと夕方になって、あるていど話のわかる患者さんが来てくれた・・・と思ったら、その36歳の証券マンも駄々っ子みたいなことやってるし。


「食事のあととか、車運転中とか、ぜんぜん吸わずにいられるんですけど、株の上がり下がりを見てると、吸いたくなって吸っちゃうんですよ・・・」

『薬のみ始めて3週間よ。いいかげん、受身でいるのはやめなさい。株のあがりさがりとタバコは関係ないのわかってるでしょ?はあ?1日たったの2本?!まったく未練がましい!株は自分で都合のいいように上げ下げできないけど、もう自分でコントロールできるところまできてるはずなんだから。がんばりなさいよ』

「そうですね・・・確かに、新聞読んでいても、すーっと頭に入ってくるようになったし。タバコはよくないんだってわかりました。ところでセンセイ、タバコ吸うと頭がしびれるのはどうしてですか?」

『何も特別な痺れ物質が出てるわけじゃないわよ。ニコチンが血管縮めて、脳が低酸素になってるの。柔道で絞めワザかけられてるのと同じよ。だから、逆に禁煙すると頭がさえてくるのよ。仕事では色々理論的に考察したりするんでしょう?禁煙ももう少し頭使って考えてみてね。あっ・・・でも、意外と証券取り扱いって受身なのかしら?』

「はあ、そうですね。株下がったときは、ああ、(お客さんに)逆言っちゃったよって落ち込んだりしてます」


はあ(超溜息)

ココだけの話、こういう人にはお金預けないほうがいいと思う。


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