天体写真メモ

天体写真を撮る上でわかったこと、気がついたことをメモしていけたらいいかな?

dual Stage サイクロ減速機 その2

2022-04-25 22:24:40 | 3Dプリンタ

前回「dual Stage サイクロ減速機」について書いてみたが、これを兄に見せたところ、「取り敢えず作ってみたら? ただしちょっとでかいから小さくして」と言われたので、作ってみることに。

折角だからうまくいったら赤道儀に持っていけることも考えて設計開始。小さくするということで、

A: 外歯 25、内歯24
B:外歯26、内歯25

で作成し、減速比は 1:625 にしてみた。

ちなみにギアについては、参考にした Hypocycloid Gear Reduction にpythonスクリプトのリンク(python2でないと動きません)があったのでそれを使って出力しfusion360に取り込んだ。

こんな感じ。案外シンプルに作れそうかな? 
早速印刷してみたのが、これ。

一応、思ったように動作するけれど、少しガタがある(つまりバックラッシュというやつ?)。内歯を0.996倍にして(0.2ミリ程度小さく)作ったのだけど、余計だったのかも(KENさん(雨男時々嵐を呼ぶ男のBLOG)のページにもそれらしきことが書かれている?)。
また、回転には多少抵抗がある。最終的にはコンパウンドで磨いてグリスを塗ったらマシになるかと考えているが、どこかが擦れている可能性もあるかな。外歯をすべて3Dプリンタで作ってしまったのに無理があったのかもしれない。

もう一つ、気になるのは回転ムラ。モータの動作に対し、最終的に望遠鏡なりカメラなりがムラなく動いてくれるだろうか?
ただし、小型軽量二軸赤道儀、広角からせいぜい300mmぐらいまでの倍率で、オートガイドでの運用(ノータッチガイドは想定していない)のつもりなので、案外多少の回転ムラは問題にならないかもしれない。AZ-GTiもそんなにしっかり動作してる様に思えないし。

ちなみに、材質はKENさんから教えてもらってからPETGを使っていて非常に安定して印刷が出来ているが、ベッドに張り付いた部分が少し広がるので、その部分については電動リーマーで削っている。

さて、ガタをとるために0.998 で印刷してみるか、それとも1で印刷してみるか?? 

なんかとってもワクワクしてきた^^。

 


dual Stage サイクロ減速機

2022-03-31 21:36:34 | 3Dプリンタ

KENさん(雨男時々嵐を呼ぶ男のBLOG)という凄い方が赤道儀を丸ごと3Dプリンタで作成している。次々に更新されるブログをワクワクしながら眺めているが、やはり興味の的は「Cycloidal Drive」という減速機のお話。私には難しくてなかなか理解できず何度も投げ出したが、紹介されているHPなどを眺めているうちにどうにかその「しくみ」が理解できてきた。

「しくみ」が分かるとその利点もわかるようになってくる。他の紹介ページなどの内容も「なるほど!」と読めるようになってより興味が湧いてくる。

取り敢えず、「赤道儀」への利用はハードルが高すぎるが、単純に減速機を印刷できたら楽しいかな? などと思いながら、さらに関連動画などをみているうちに、減速比が気になってきた。3Dプリンタで作成すること、作成する大きさ等を考えると1:100とかはかなり難しそうだ。

SkyWacherの赤道儀はtotalの減速比がどれも1:700という記事を見かけたが、Cycloidal Driveだけでこれを実現するとなると一段ではちょっと厳しそう。

それでは2段重ねにしたら・・・と考えると仕組みが複雑になるし大きくなってしまうよなぁ・・・。などと調べているうち「Double Dual Stage Cycloidal Gearbox」というのを発見。最初は単に2段にしただけかと思ったけど、よく見るとそれより単純。

Cycloidal driveは、外歯と内歯と、内歯から「回転を取り出す機構」があって、外歯を固定し、偏心した軸をまわすことで内歯をグニョグニョと揺らすと外歯にこすれて内歯がゆっくり回転する(振動を抑えるために内歯を2つ使っている場合が多いが)。その内歯のゆっくりとした回転を「回転を取り出す機構」で取り出す。内歯の歯数n (外歯の歯数-1)なら、1:nの減速比が得られる。



Double Dual Stage Cycloidal Gearboxは 普通のCycloidal driveから「回転を取り出す機構」を取り除いたものを2つ向かい合わせにして、内歯を張り付けた機構になってる(厳密にはどちらも内歯は2枚構成)。「回転を取り出す機構」が無いし内歯同士貼り付けてしまっているので仕組みはかなり単純。これでDouble Dual Stage Cycloidal Gearboxは1:100の減速比を実現している。


 

では歯数はどうなっているか?

数えてみると最初のステージは外歯10 内歯9、もう一方は外歯11 内歯10。それぞれは減速比1:9、1:10だから掛け算では1:90・・・ではないですね(笑)

この計算、結構頭を抱えたんだけど、要は、 1:10でまわっているものを逆側に1:9で回しているという感じ。1:9のほうが少し速いから速い分、全体として1:9のほうにその「少しだけ」回るという感じ。

じゃぁそれで1:100になるのか??

 

では、式を考えて見よう(ちょっと複雑)。ある程度汎用的で考えるために、

A: 外歯n+1、内歯n
B:外歯n+2、内歯n+1  とする。

ここで、軸が一周したとき、aはAの外歯に対して、Aの内歯がどのぐらい回転するか(軸に対して逆方向を正とする)、bはBの内歯(=Aの外歯と同じ)に対して、Bの外歯がどのぐらい回転するか(軸に対して順方向を正とする)、m はAの外歯に対して、Bの外歯がどのぐらい回転するか(軸に対して順方向を正とする)をそれぞれ表すとする。

すると、

     a = 1/(n+1)   ....  軸が一周=Aの外歯に対して軸が一周
     b = (1+a-b)/n  ....  軸が一周=Bの外歯に対して軸が(1+a-b)周

なので、

         b = (1 + 1/(n+1) - b)/n
       b = 1/n + 1/n(n+1) - b/n
 b+b/n  = 1/n + 1/n(n+1)
 b(1+1/n) = ((n+1)+1)/n(n+1)
 b(n+1)/n = (n+2)/n(n+1)
           b = (n+2)/(n+1)(n+1) 

となる。m=b-aだから、

m = b - a
    =  (n+2)/(n+1)(n+1) -1/(n+1)
    =  ((n+2)-(n+1))/(n+1)(n+1)
    =  1/(n+1)(n+1)

となることが分かる。つまり減速比は 1/(n+1)(n+1)(あってます?? Double Dual Stage Cycloidal Gearbox ではn=10だから 減速比1/100ですね)。

よーし、これ作ってみようかな~。1/700ぐらいを目標にするとして、

Aの外歯 28、内歯27、B層の内歯26、外歯27として、 n=26だから、

m = 1/(n+1)(n+1) = 1/27x27 = 1/729

となり、減速比は1/729 となるはず。

(以下2022.04.03 追記)

折角なので、より一般的に 1:n  と 1:p を組み合わせた場合の減速比の計算式を書いておきますね。

     a = 1/n                  ....  軸が一周=Aの外歯に対して軸が一周
     b = (1+a-b)/p  ....  軸が一周=Bの外歯に対して軸が(1+a-b)周

なので、

        b = (1 + 1/n-b)/p
        pb = 1+1/n-b
      pb+b = 1+1/n
    b(p+1) = (n+1)/n
         b = (n+1)/n(p+1)

となる。m=b-aだから、

m = b - a
  =  (n+1)/n(p+1) - 1/n
  =  (n+1)/n(p+1)  - (p+1)/n(p+1)    
  =  ((n+1)-(p+1))/n(p+1)
  =   (n-p)/n(p+1)

となります。例えば、1:15  と 1:11 を組み合わせた場合、

 m = (15-11)/15(11+1)
     = 4/15*12
     = 1/15*3 =1/45

となり、減速比は1:45。かなりの自由度がありそうです。 


PETGへの再移行について

2022-02-14 20:35:02 | 3Dプリンタ

3Dプリンタ、購入時には小さなPLAのフィラメントが付いていたが、いくつか実験で印刷したらあっという間になくなって、その次には半透明なPETGに移行。最初は比較的綺麗に印刷できたが、その後は印刷するたびに乱れて行って、最後はさじを投げて終了(後から湿気が原因らしいことがわかったが)。
その後は、ABSに移行、エンクロージャーの作成もあって案外綺麗に印刷できるということでずっと利用していた。

弱点は、サポート材に乗った部分はやはり反ること、積層が弱く感じること(PETGも弱いと感じていたが)。

さて、KENさん(雨男時々嵐を呼ぶ男のBLOG )からの助言を頂き、再びPETGを使う気になり、折角なのでeSunの黒のPETGを購入して早速実験を開始。
p2の最小の部品であるIOのパネルを印刷してみた。

もう全部KENさんのパラメータでやろう~、とHPを書き写して印刷^^;。

ありゃ・・・ 40度に冷えたところで剥がしてみたけど、まず真ん中のパーツがポキリ。っていうか、そもそも酷くガサガサの出来。細いところは形になっていない。また、右側のパーツは積層が脆そうだなぁと、軽く曲げたらまたポキリ。

あぁぁ・・・考えて見たら、プリンタが違えばファンの向き、風量も違うだろうし、ヘッドの温度だって違うだろうし、エクストルーダーの強さも違うだろうし・・・

上手に出来ている方の設定そのままでいけるって思うのは甘いよねぇ・・・ 

ちなみに、そのまま放置して次の日に触ってみると、グンと固くなっていて驚きました。ABSのときは感じたことなかったけど、PETGはある程度冷えてからも硬くなるんだな(次の日にはどうやっても折れませんでした)。

さて、気を取り直してまずは、奨励の設定を使ってやってみるべきということで、Creativly Slicerのフィラメントの設定からeSun PETG Blackを選び、最近ずっと使ってる0.16、インフル100%で印刷。

お。ぐんと良くなった感じ。よーし、KENさんのブログを参考に、結構糸を引いていたので245度=>230度へ、アイロンを有効に、ビルドプレートは80度に、あとは斜めの部分が汚いのでファンの速度を90%まで上げてみよう(積層もきれいになるかも?)。

おお。糸引きがなくなって、斜めの部分と積層がグンと綺麗になった。これなら使えるぞ。

サポートに乗った部分(丸い部分の奥側)の比較。左から右へと順にパラーメータを変更したもの。どれもそれほど綺麗ではないが、右が一番まとも。

印刷結果ではっきり違うなと思うのは、ABSよりPETGのほうが硬く、かつ、積層が強い(綺麗さはABSのほうが上に思う)。あと、反りはやはり少ないですね。これらはとてもありがたい。

さらに「マグネット式ばね鋼」ベッド、ABSのときは几帳面に調整しないと途中で剥がれることがあったが、PETGはいまのところ100%しっかりくっ付いて印刷でき、剥がす時はさっと剥がれる。これも嬉しい。

フィラメント、おろしたてなので湿気を吸ってないようで、ダマも今のところできていない。よーし、この勢いで p2、印刷を始めよう。
KENさん、ありがとうございました。


3Dプリンタで試行錯誤

2022-01-25 19:08:20 | 3Dプリンタ

3Dプリンタ、最初はPETGを使って試行錯誤をしていましたが、「糸引き」と「ダマ」を解決することが出来ず(というか・・頑張るほどに造形が乱れ・・😢😢😢)、諦めてABSに移った経緯があります(その後、造形が乱れたのは湿気だったということが分かりました)。

ABS、アクリル板による密封型への改造により、かなり快適に印刷できるようになっていましたが、サポート材に乗っかった部分はそれでも反ってしまうため、庫内温度をさらに上げてみることを考えてみました。

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あ、どなたかABS印刷の際の庫内最適温度が分かる方がいらっしゃったらぜひご教授ください。探してみましたが明記されたページは見つけることが出来ませんでした。
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で、アマゾンで調べていて見つけたのがこれ。
24V駆動のファン付きPTCヒーターです。これなら庫内温度を上げられると思いませんか?

さらに、「0-48V 10Aのスイッチング電源」と「24VデジタルLCDサーモスタット」を手に入れ、「ヒータの台」を3Dプリンタで作って、早速実験しました。(かなりの電流が流れるのでコードは15Aぐらいは流せるものを使った方がいいです)。

ヒータの台はこんな感じ。あんまり美しくないですが、実験したところ67度設定ではばっちり動作。75度ぐらいまでは行けそうです。

そこまで必要なのか?? というのはとても疑問ですが。ちなみに67度で実験したところ、やはりサポート材に乗った部分は反りました。サポート材と本体が簡単に剥がれちゃうんだよなぁ・・・

タイムリーに、KENさんという方からのコメントにてPETGが良いという話を伺えたので、もう一度PETGに挑戦してみようかなとか考え中です。

さて、話変わりますが、ベッドを流行の「マグネット式ばね鋼」のものに変えてみました。マグネットが強くてマグネットと「ばね鋼」を剥がすのに力が要りますが、今のところかなり便利そうな感じです。


小型自作二軸赤道儀 V2 その2

2021-12-09 15:36:43 | 3Dプリンタ

さてさて、自作赤道儀V2。
前回作成の3Dデータでの印刷は一応できたのですが、組み上げてみると木に気になる部分が多く、特に各種基板類を収める部分がかなり狭く組み立てるが大変。一週間かけて印刷しましたが一部のパーツを残して設計し直してみました。現在印刷が終わってステップモータと、Arudino の取り付けをしています。

折角なので内部の構成などをメモとして載せてみようと思います。
まず、全体としての構成ですが、以下の様になる予定。

青で囲まれた部分が筐体に収まります。
基本はV1と同じ構成で、筐体に入れられる部分はすべて入れ、できる限り配線をシンプルに。特に電源については、12Vを一本で供給し、内部で車のシガー用のPD供給電源により5V, 9Vを提供します(9Vはトリガーケーブルで作ります)。

また、外部への接続はすべてコネクタを介して行います。

接続は

こんな感じになります。有線LANは通常は使用しませんがたまに無線LANの接続のタイミングで迷子にしてしまうことがあったので一応蓋を開けると繋ぐことができるようにしました。

Raspberry Pi 4のファンは、外で利用するのでいらないかな?と思いましたが一応取り付ける予定です。
SDカードも取り外しができるようになっています。

AZ-GTi は、かなりコード類が少なく扱いやすかったので、V2もそれに習い、さらに推し進め、電源は12V一本のみ、PCととの接続も無線(WIFI)としました。

ちなみに、AZ-GTiも無線で接続が可能でしたが、コントロールはPCが行うために無線が瞬断したりすることが怖くて有線での接続としていました。
V1,V2では無線で飛ばすのは画面のみなので瞬断が起きてもガイドには影響はありません。また同様の赤道儀を複数つないでも画面のみを飛ばすだけですので、PCのパワーなどの問題もでないでしょう。

残るは重さがどのぐらいになるか? ですね。


V1と違い28mm角のステッパーモータをつかっているので、より軽くなっているはずとおもっていますがどうでしょうか。

ちなみに大きさは想定よりかなり大きくなっています。ABSの強度を考えて各パーツの壁を厚めに作っているためと、内部で使っているUSBのコード類のコードが意外に太く、取り回しにくいので、ケースの大きさに余裕を持たさざるおえないためです。

次は完成版を載せられるかな?