「帰還と被曝の強制反対の大運動を」
佐藤幸子さん(ふくしま共同診療所建設委員会代表)
震災から5年8か月が過ぎた福島の秋は、除染作業をしているそのそばで、稲刈り作業が行われています。その風景は、滑こっけい稽としか言いようがありません。除染して出た木の葉は廃棄処分。稲わらはまた田んぼの肥料として循環させるのですから。山の恵みであるキノコは、来年3 月に避難指示が解除されようとしている飯舘村で、半減期が2 年のセシウム134をいまだに多量に含む、キロ当たり2万5000ベクレルもの線量が検出されるという現実をマスコミは一切報道しません。
つい先日、内堀福島県知事は、ワシントン、ニューヨークを訪れ福島の特産品をPRしてきました。各会場では好評だったと帰国後の記者会見で得意げに話していました。しかし、「現地の記者は記者会見に取材にも来なかった」と嘆いていましたが当然のことです。安倍首相が「福島はアンダーコントロールされている。健康被害はない」などと大嘘をついているのですから、そのことを、海外のメディアは先刻承知なのです。
すでに小児甲状腺がんは、175名にもなっているというのに、「放射線の影響とは考えにくい」と子どもたちを犠牲にしてまで何を守るために、嘘と隠ぺいを繰り返すのでしょうか?
5年目からチェルノブイリでは小児甲状腺がんが増えたというのに、福島では、検査自体を縮小するようにとの要望書が、しかも、小児科医会から出されたことに驚き衝撃を受けました。住宅支援打ち切りの裏には、「避難者」自体を抹殺しようとしている意図が見えてきます。
10月20日、ふくしま共同診療所が中心となって、この住宅支援打ち切り、甲状腺検査縮小に対する、抗議の集会、デモを呼びかけて行いました。その中で、子どもだけでなく、大人の甲状腺がんが増えているとの報告もありました。デモ終了後、県庁への要望書提出を行い、ふくしま共同診療所はあくまでも、命を守るためには「避難、保養、医療」の原則に徹することを再確認しました。そして、被曝と帰還の強制反対、住宅支援打ち切り反対、甲状腺検査縮小反対の署名運動を開始することを決定しました。この署名運動を通して子どもたち、そして子どもたちを守る大人の健康も守っていく取り組みを全国に、世界に向けて発信していきます。ご協力よろしくお願いします。(11・6 全国労働者総決起集会での連帯あいさつ)