福島の子、県外に依然1万人避難 環境不安根強く、復興に影響恐れ
- 2016年3月4日
東京電力福島第1原発事故で福島県から県外に避難を続けている18歳未満の子どもが約1万人に上ることが3日、同県などの調査で分かった。東日本 大震災から5年近くたつ中、避難した子育て世代に原発事故の環境への不安が根強くあるとみられる。帰還が進まなければ、福島の将来を担う世代が流出したま まで、復興に影響を及ぼす恐れがある。
県によると、各自治体が把握している18歳未満の県外避難者数は昨年10月時点で1万557人。このうち、事故後に避難区域に指定された沿岸部の12市 町村が4760人で半数近くを占め、第1原発が立地する大熊町は534人、双葉町は414人。県内への避難も含めると約2万2千人の子どもが避難生活を強 いられている。これら以外にも、既に避難先に住民票を移したケースがあるとみられ、実際の子どもの転出はさらに多い可能性がある。
原発事故翌年の2012年4月時点では、県外避難の子どもは約1万8千人。その後、一部の自治体で避難指示が解除され、除染で放射線量も低下し、県内に戻った子どももいるとみられるが、多くは県外に避難したままだ。
帰還が進まない背景には根強い放射線への不安があるとみられ、県こども・青少年政策課は「基本的に子どもは親と世帯として避難している。県内に戻ってきてもらうには子育て環境など基盤を整備することが必要」としている。