真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

『おだまり、ローズ―子爵夫人付きメイドの回想』 (ロジーナ・ハリソン著 新井雅代訳 2014年)

2015-12-17 | 読書-エッセイ/小説etc
おだまり、ローズ―子爵夫人付きメイドの回想
ハリソン,ロジーナ【著】〈Harrison,Rosina〉/新井 潤美【監修】/新井 雅代【訳】
価格 \2,592(本体\2,400)
白水社(2014/08発売)

ダウントンアビーのドラマを見て、関連図書多数を読み、関連番組なども見て、そう!このシリーズでも紹介された「英国初の女性代議士となったナンシー・アスター」付きのメイドを永年務めたロジーナ・ハリソンの手記(インタビュー書き起こしっぽい?)は、予備知識を仕込んだうえでのことなので、たいへん面白く読める。

そうそう!
Rosina Harrison’s Life in Service in the Time of Downton Abbey

THE LADY’S MAID: MY LIFE IN SERVICE - ROSINA HARRISON

BBC Radio 4 - Desert Island Discs, Rosina Harrison
Roy Plomley's castaway is former lady's maid to Lady Astor, Rosina Harrison.

「奥様」は、再婚(1906年)した英国人のダンナが下院議員だったところ、その米国生まれの父の死で子爵位を継いで貴族院議員となったため、空席となった下院議員の議席を引き継いだ(1919年補欠選挙で当選)わけね。
1945年に引退させられるまで議席を維持(1929年はきわどかった)。

「奥様」の強烈なキャラ!
気まぐれだったり、ほとんどいびりではないかと思われるような攻撃(口撃)にも少しもひるまず、果敢に反撃(反論)する著者の掛け合いが、凄いなんていうもんじゃないわ。
‘Shut up, Rose!’
気の弱い人など、聞いているだけで卒倒する勢いではなかったかと思われる。

アメリカ娘だった「奥様」は、めげずに言い返してくる著者の反応を楽しんでいたのであろう。 
希有な例であろう。
頭の回転が速くて機転がきき、弁も立つ著者は、現代ならバリバリのキャリアウーマン(古語?)として活躍していたかも。

2軒仕えたのち、1928年8月にアスター家に入職。(「奥様」が下院議員になってからだわな)
まず長女のウィシー(Wissieは愛称)様ことフィリス付きメイドに。
自分のメイドが気に入らないで次々取り換える「奥様」に、強引に取りあげられる。

「あの娘なら大丈夫」と見込まれたのだろう。
その後、「奥様」の大往生までずっと仕える。

久我真樹さんによるご紹介
個性豊かな女主人に35年間仕えたメイド

野中幸宏さん評

蔦屋書店熊本三年坂 山根芙美さん評

「奥様」
Nancy Astor BBC interview 1959
80歳当時か。

Nancy Astor (1879-1964)
著者のローズ・ハリソンもインタビューに登場(1979年)。
1:10頃~

One Show Nancy Astor

Lady Astor In USA - Speech (1932)
手首が痒いのか、ぼりぼり掻くような仕草をしながら舞台上でスピーチする1932年訪米時のアスター子爵夫人。

本書に、1932年のアスター子爵夫妻訪米の際、トーマス・ラモント(JPモルガン商会)の屋敷に滞在したが、同行したローズ(著者)がトコジラミに噛まれて散々な目にあい(ラモント邸のハウスメイドは解雇)、奥様も同様に体を掻いていたとの記述がある。 
そのトコジラミ攻撃のせいではないか?

Lady Astor Interview

名物執事のエドウィン・リーが「奥様」から賜り、リー家に伝わった金時計が2010年にオークションに出た。
Astor watch is up for sale

訳はたいへん読みやすい。
が、子爵夫人が実の娘のことを話題にする際に、「聞くところによると、ウィシー様が舞踏会の花形だったそうだけど」とか、「おまえのウィシー様の扱い方は気に入らないわ」などという表現は妙ではないか?

皇后陛下がご長男のことを東宮様という例はあるが、普通の貴族でも様で言及するかなぁ?
レイディ・フィリス(?)とか何とか言ったのだとしても、使用人が言うのと、親が言うのでは、訳し分けた方が日本語として自然に思える。

Waldorf Astor, 2nd Viscount Astor Marriage & Children
William Waldorf Astor II, 3rd Viscount Astor (born 13 August 1907, died 7 March 1966)   ビリー様
Hon Nancy Phyllis Louise Astor (born 22 March 1909, died 2 March 1975)         ウィシー様(Wissie)
Hon Francis David Langhorne Astor (born 5 March 1912, died 6 December 2001)     デイヴィッド様
Hon Michael Langhorne Astor (born 10 April 1916, died 1980)               マイケル様
Major Hon Sir John Jacob "Jakie" Astor VII (born 29 August 1918, died 10 September 2000)ジェイキー様

#ダウントン・アビー #ダウントンアビー日本語吹き替えの違和感の件w

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