真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

ゾルゲ伝 オーウェン・マシューズ 3/(2 +1)追加 J.マイジンガーはどうやって来日したのかの件

2024-01-16 | 読書-歴史
ゾルゲが二重スパイではないかとの疑いを持ち、調査を命じた親衛隊(SS)の情報機関SDの国外諜報局局長ヴァルター・フリードリヒ・シェレンベルク。

ヴァルター・シェレンベルク - Wikipedia

 

マシューズによると、シェレンベルクはゾルゲを泳がせながら、有益な情報を報告させつつ、監視することにしたと戦後に書いた回顧録で主張しているそうだが、これは後知恵だろうという。
そうでしょうね。
「生き残って回顧録」が重要。生き残ったもん勝ちであるな。

ポーランドにおけるやりすぎ行為から、「ワルシャワのbutcher屠殺者」で知られたヨーゼフ・マイジンガーは、親衛隊大佐(SS-Standartenführer)及び警察大佐(Oberst der Polizei)として日本で活動することになり、1941年4月に日本に到着した。
本書には、「潜水艦が東京に到着して数週間のうちに、ゾルゲは、「ワルシャワの屠殺者」を新しい飲み友達に変えてしまったのだ。」p317
とあるんだけどね、潜水艦に乗って東京に乗り込んだ(東京に入港した)ように読めるけど、ホントかね?
ありえない感ががが。
来たとしても呉までだろ。
「いや、潜水艦に乗って東京についたとは書いてないもん」なのかw

まず、1941年に日本に来たUボートがあったのか?
遣独潜水艦作戦 - Wikipedia~ドイツ及びイタリア側の遣日潜水艦作戦 参照
見当たらん。
独から来たUボートU180と、日本から行った伊号第二十九潜水艦がインド洋でスバス・チャンドラ・ボースら便乗者の交換をした事例(1943年)はあるものの、1941年に東京まで乗りつけましたという記事は見当たらない。
独ソ及び日米ほか開戦後は、ペナンまで来たUボートと同地まで赴いた日本の潜水艦が云々という事例はあったとしてもだね。
モンスーン戦隊 - Wikipedia
uboat.net - U-boat Operations- The Monsun U-boats - 3. Monsun boats

List of German U-boats in World War II (1-599) - Wikipedia

あのさ、マイジンガー来日は1941年4月の話なのよね。
ひそかに6月の侵攻開始バルバロッサ作戦 - Wikipediaを準備していたとはいえ、独ソ開戦前なので、シベリア鉄道で堂々と来られるんだから、なにも苦労して潜水艦で来ることはないわけで。
1941年4月、英独は開戦後1年半経過も、独ソ開戦前、日米英ほか開戦前に、どうして潜水艦ではるばる日本まで?
敵地に潜入するのではなく、同盟国で表立って活動するためという基本を忘れたニワカの思い付きかな。

尋問記録を基にした考察

The Butcher of Warsaw’s work in Tokyo

This short essay’s prime source is the first hand account of the interrogation of Josef Albert Meisinger, sometimes called the Butcher of Warsaw, undertake...

Graham Thomas

 

Historian, writer, photographer, independent film producer. Fellow of the Royal Society of Arts. の G M Thomas氏によると、
”Then he travelled to Japan via the Trans Siberian Railway -and not by submarine as is sometimes claimed.”
「潜水艦でとの記述が一部に見られるが、そうではなくてシベリア鉄道経由」だというね。
こっちが正解でしょうな。
潜水艦でやってきた方がドラマチックかもしれないが、船乗りでもない人間が長駆便乗などしたら、ヘロヘロになるだけでは?

さすがのオーウェン・マシューズ氏も、通説を安易に採って不覚を取ったんではないのかね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ゾルゲ伝 オーウェン・マシ... | トップ | 30歳キャリア官僚が最後に... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書-歴史」カテゴリの最新記事