真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

富安俊助中尉を知っていたか?~フォレスト・ガンプで借り物競走な『永遠の0』その2

2014-01-30 | 読書-エッセイ/小説etc
その1からの続き。

南面堂の場合、(本人および子どもたちの)学校の運動会などで実際に「借り物競走」というものに遭遇したことはない。
サザエさんの漫画で見たことがあるだけだ。

さて、カミカゼに突入された米空母の話。
小説に登場したUSS Ticonderoga (CV-14)は、実際に特攻機の攻撃で被害を受けている。

USS Ticonderoga (CV-14)
Attacks on South Japanese islands

Kamikaze attack on USS Ticonderoga (CV-14) - 21 January 1945
2機のカミカゼ突入で140名以上が戦死。
修理のため本国に廻航し3ヵ月間戦列を離れる。

ほほぉ、こんなサイトがね。
Kamikaze Damage to US and British Carriers

写真集

タイコンデロガ (空母)は1973年まで使われる。

1965年には東シナ海で水爆を搭載したA4攻撃機をパイロットごとエレベーターから海中に転落・水没させる事故を起こしている。

詳細は、ドウス昌代著
トップガンの死
核搭載機水没事件
に詳しい。

文庫
水爆搭載機水没事件
トップ・ガンの死


(記憶に間違いがあるかも知らんが)
たしか、いざ核戦争となった際の段取りに習熟しておくための訓練での、つまらん原因による不幸な事故。

とても背の高い整備兵が自分にちょうど良く座席をセットしてあり、そのままで乗りこんだパイロットがフットブレーキに足が届かない状態で(それに気づかず)、ハンガーで乗りこむ。
舷側から張り出したエレベーターで飛行甲板に上げる。(本物の水爆を搭載して飛行甲板にまで上げてたんだね)

その途中、うねりで大きく艦が揺れた際に機体が動いて(ブレーキが踏めずあせるが)海中にずり落ちてしまった…とかいう話だったかな?
キャノピーは閉じてあり、エンジンもかかっていないわで、何もできないうちにあえなく水没、だったっけ。

ムカイリ(182cm)がセットした座席にオカダくん(170cm)が座った感じ?
もっとか?

タイコンデロガの名前は、現在ではイージス巡洋艦の名前に継承されている。
由緒正しい名前は何度も使われる。
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

閑話休題
別の空母には、実際に爆弾を抱いて背面飛行なども駆使して巧みに米空母に突入し戦果をあげた戦士がいた。
相手は"The Big E" ことUSS ENTERPRISE(CV-6)。

前部飛行甲板のエレベーターを空中高く吹っ飛ばす。
ジェット機時代になると発艦にカタパルトが必須なので、飛行甲板のレイアウトが激変したのだが、WWⅡ当時はど真ん中にエレベータがあったのだね。

米艦側の死者数は上記に比べて少ないが、艦の被害は大きく、修理のため本土廻航後、戦列に復帰できる前に終戦を迎えた=戦場から排除した。
理想的な特攻の成功例。←賛美している訳ではないので、誤解のないよーに。

当該飛行士は、遺体が艦内から発見され、氏名が判明している。
さらに、当初伝えられていたその氏名が不正確で後に正しい氏名が突き止められ、米艦乗員が保存していた機体の一部が日本の遺族(弟さん)に返還されたという。 

富安俊助中尉のエンタープライズ(USS Enterprise, CV-6)突入の件
Who Knocked the Enterprise Out of the War | U.S. Naval Institute
エンタープライズに大被害を与え(死者14名、負傷68名と比較的すくなかったものの)、修理中に終戦になった(戦争中には戻って来れず、叩き出したことに)のは、"Chief Pilot Tomi Zai"(なんじゃそれ)ではなくて、Lieutenant (junior grade) Shunsuke Tomiyasu だった。
発見された遺体はそれなりの敬意を持って水葬に、と。

和文だとこんな感じ

なんだ、日本語動画があったじゃん。
A Kamikaze Pilot Strike On The USS Enterprise

このあたりのエピソードを借りてきた感じも、する鴨?
いいからいいから。

<ちょっと追加>
富安俊助中尉 - nifty

富安陽子『盆まねき』偕成社: ひねもすのたりのたりのたり

<さらに追加>
祝福を遠くはなれて――エンタープライズ、カミカゼの奇襲を受く
(by野鶴善明さん2009年11月)

で、「宮部」がどうしたこうしたという筋はオリジナルで、登場部分はフォレスト・ガンプ。
坂井三郎がどうしたとかいう、老人たちが語るエピソードは、実在の人物の残した手記などによる実話などの借り物競走。

借りてきたエピソードを巧みに組み合わせるなどして、創作した筋に散りばめて感動作を編み出した技法は高度。
放送作家は、チャンネルを変えられてしまわないよう、気をそらさない技があるのだね。

USS ENTERPRISE(CV-6)写真集
Kamikaze attack, May 1945ね。

当店の「特攻」過去エントリ:
こんな感じ

F4Uの故障、じゃなくて呼称について:
なお、日本海軍では主に「シコルスキー」と呼称された。

当時そう呼ばれていたなどの史実をちゃんと反映しているのも巧み、とゆーわけさ。
教官と教員の違いは、本書で知ったのだったん。

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