目次
特別対談 沈黙の提督 真実を語る(井上成美(元海軍大将)
聞き手・新名丈夫)
書かれざる太平洋戦史(痛恨の真珠湾攻撃;米国の戦略に乗った日本;海軍参戦の真相;ミッドウェー海戦;勝機を逸したガ島の戦い;餓死の退却;陸海軍相討つ;竹槍事件;神風特別攻撃隊;潜水艦隊還らず;悲劇!海軍航空部隊;沖縄戦と陸海軍の対立;終戦の真相)
表題は巻頭の「特別対談」部分を指す。(p9-34)
「海軍記者」として馴染みの新名氏にだからこそ語った、というものであるらしい。
大部分は、新名丈夫の雑誌連載「書かれざる太平洋戦争史」の再録。(p36以降)
如何に陸軍が国を誤らせたかを縷々述べる。海軍も間違った点は多々あるとするものの、海軍が大いに頼りにし、東条率いる陸軍の怒りを買った折にも、救ってくれた海軍への恩義を改めて著した?
竹槍事件 - Wikipedia
「竹槍事件」は、「昭和19年2月、東条内閣の戦争強行に対して、「竹槍では間に合わぬ」という記事を書き、二等兵として懲罰召集を受けたが、危うく難をのがれる。」一連の経緯の詳細。
大正期の徴兵検査で視力に難があって兵役不適とされ召集を免れていたにもかかわらず、軍艦や海洋航空機の充実(=もっと海軍に原材料等を回せ)の必要性を叫んだ記事が東条の逆鱗に触れて、「懲罰召集」される。
故郷に近い丸亀連隊に入隊することになる(本来の高松連隊では東京での経緯を知らず、召集解除するが、巻き返されて)。
以前に従軍取材して馴染みのメンバーが多くいた部隊に配属され、お客様的な特別扱いの3か月を過ごすが、そこで召集解除となる。
再度召集の恐れありと考えられたため、海軍は記者を報道班員として動員することにより、陸軍の魔の手から逃す。
海軍が「懲罰召集怪しからぬ」を叫び続けたため、「そうじゃないもん」と言い張る目的で同年代の老兵250人が「まきぞえ」で召集され、彼らは硫黄島に送られて全員戦死した由。
海軍がしつこく懲罰召集を批判した結果、老兵250人が巻き添えを食らって再招集されて戦死させられたわけだが、消滅した海軍はその責任を感じていないのだろう(感じる主体がない。担当者は組織の命令だと主張しただろうし…)。
海軍としては、そうまでして「海軍記者」を守ったメリデメは?というと、生き延びた新名記者が戦後も基本的に陸軍の非道を糾弾し相対的に海軍を擁護する論陣を張ったことで、自分たちが生涯をかけた、消滅した組織の名誉を守ってもらえたという理屈か?
やれやれだな。
「いまも、その人たちのことを思うたびにたおれそうな気持だ。」というのが下記疑問に対する答えになっていたと知る回。
あなたが知らない太平洋戦争の裏話 新名 丈夫 - 真似屋南面堂はね~述而不作