真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

久家『呆然!ニッポン大使館 ― 外務省医務官の泣き笑い駐在記』

2010-11-20 | 読書-現代社会
徳間文庫
呆然!ニッポン大使館 ― 外務省医務官の泣き笑い駐在記
久家義之
徳間書店 (2002/07 出版)

外科医だった著者は、末期がん患者をみとるのが辛くて、脱出を図り、ふと見た医事新報の広告を頼りに外務省に転職する。
とはいえ、縁が切れた辞め方ではないので、著者がウィーン在勤中に、学会出張のついでに教授が立ち寄ったりもする関係。

医師で作家というのは多いと思うんだが、内科医だった南木佳士さんの場合も、肺がんの患者を看取るのが辛くて・・・ということがあったような記憶。

じつは、作中に記述される場所のうち、複数個所にお邪魔したことがある。
1980年代だが。

出向者諸氏や、ノンキャリアの書記官諸氏にもお話を伺ったことがある。
ので、生々しいこと。それ以上はちょっと・・・。

それはさておき、医者の世界は・・・というわけで、彼らにもやや世間離れした部分があることは否定できないし、医務官は外務省を辞めても就職に困る状況ではないので、「客観的に観察する」という点では最適かも。

作品中に村田次官、村田大使も登場。
といっても、(登場する多くの元上司や同僚と違って)スカタンな行状をやり玉に挙げられるわけではなく、「とてもエライ人」として描かれるだけ。

著者がサウジアラビア大使館に赴任中、渡邊大使が外務審議官(経済担当)に栄転することになるのだが、その前に東京から村田次官がわざわざ出張してきた云々という部分。
それと、オーストリア大使館勤務中、歴代大使の肖像写真を並べる壁のスペースがが足りない云々の部分で、村田大使の写真が傷んで修正個所が明らかになっていて、ご本人が休暇で立ち寄られた際(駐独大使当時?)に見たらしく、その後写真が新しくなっていたが、(写真の)目つきが悪い云々・・という部分。

本書では、氏名が記載される人物は、「客観的な記述」であり、「酷評」ではない。
良いポストに抜擢されてはしゃぐ様子や、離任に際して任国から勲章をもらってはしゃぐ様子などが、「客観的に」記述される程度。
本人が読んで愉快かどうかは、微妙と思われるが(笑)。

サウジアラビアでは、公開斬首刑も見に行く。
パプアニューギニアでは、スキューバダイビングでレニ・リーフェンシュタール(当時94歳)と同じ船になり、会話して感激。
同地では、水木しげるさんとも種々お話を・・・。

小規模公館の狭い世界で、外務省グループと出向者グループが反目しあうなんぞ、最低だな。
ま、本書記載のトンチキ話の数々は、いつか誰かが書くことになったような類の話なのだろうが、医師という客観的立場ゆえに(再就職にも困難がない立場なので)この人が書きました、というわけか。

久坂部 羊(くさかべ よう、1955年 - )は、日本の小説家・医師。本名・久家義之

今日は元外務省医務官の久家義之さんをお招きしましたが

医師の目からは忌憚のないご意見も?
新小児科医のつぶやき
この指摘が当っているのかどうか、判断する知識がない。

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