5月初めに花座の指揮者隆先生の体調不良で肝を潰したが、奇跡的に復活されこれまで2度の練習でご指導頂いた。
当初今年11月末ぐらいにコンサートの予定で段取りを進めていたが一旦中断。うまくいけば来年中には開くことができるのではと期待感を持っている。
コンサートのワンステージの曲として、和合亮一氏の詩に千原英喜氏が作曲された、女声合唱とピアノのための「レクイエム第2番『レクイエム・光のなかの貨物列車よ』より」を歌う。この作品は1995年1月17日の「阪神淡路大震災」と2011年3月11日に起こった「東日本大震災」の鎮魂と祈りのために作曲された作品。
千原氏は、悲しみをいっぱいに湛え、怒りに震え、なぜ、と問いかけながら、被災地の時は止まったままなのだ。そして震災復興への道のりは遠く厳しいという思いと、いつ終わるとも知れない<貨物の運搬・列車の無限運動>に、「人間存在への普遍的問いかけ」をも表現してほしいというようなメッセージが、出版に当たって2015年12月付けで書かれていた。
Requiem(レクイエム)とは、ラテン語の「安息を」という意味で、死者の安息を願うための、カトリック教会のミサ(キリストの「最後の晩餐」から始まった祭儀のこと)での聖歌のことを言う。全文の内容は「主よ、永遠の安息を彼らに与えたまえ」という祈り。
「コーラス花座」では、指揮者の意向で、氏の提案する2パターンの演奏順以外の、任意曲のピックアップと自由な並べ替えでの演奏スタイルで歌う。
1 Requiem aeternam(レクイエム エテルナム)
主よ、我々に永遠の安息を与えたまえ
2 Kyrie(キリエ)<憐み深い神への賛歌>
主よ、憐みたまえ
キリストよ、憐みたまえ
3 Lacrimosa(ラクリモーサ)涙の日
涙の日、その日は
罪ある者が裁きを受ける日です
灰の中からよみがえる日です
神よ、この者を許したまえ
慈悲深き主イエスよ
彼らに安息を与えたまえ
アーメン
4 Intermezzo-Vocalise<1>(インテルメッツォ-ヴォカリーゼ)
間奏曲 母音だけでの歌唱
5 光のなかの貨物列車よ<1>
あなたは 夜の底を 通り過ぎる 貨物列車です
無人の駅を 通過して ずっと 北へと向かって
夜から夜を 移動し続ける
荷物を運ぶ 潔く
駅から駅へ ずっと走っていく
したたかで あきらめない
長さと強さがある
何を運んでいますか
あなたは
いつも
新しい荷物を
運んでいます
6 Agnus Dei(アニュス デイ)アニュスは羊 デイは神
この世の罪を取り除く神の子羊よ
彼らに安息を与えたまえ
彼らに永久の安息を与えたまえ
★曲集全体に重いテーマを扱っているシリアスなムードが漂う中、「Agnus Dei」はゴスペル風で乗って歌えるので好きな曲。
7 Lux aeterna(ルクス エテルナ・死者が永遠の光に照らされることを神に祈る聖歌)
★「ルクス」は照度の単位で、ラテン語では光の意味となる。
主よ、彼らに永遠の光を照らしたまえ 聖者とともに永遠に
あなたは慈悲深くあられるのですから
永遠の安息を彼らに与え、たえざる光で照らしたまえ
8 光のなかの貨物列車よ<5>
この夜
あなたは誰に 伝えたいですか
「ありがとう」を
笛を鳴らして 最終の貨物列車が
過ぎていきます
夜から夜へ
運んでいってほしいのです
「ありがとう」を
そうして
夜が明けるまで
親しい
ふるさとの父と母が 目覚めるまで
貨物列車は 続いていく
北へ 北へ
★阪神淡路大震災の時、大阪湾を挟んで対岸に位置する神戸の地に起きた、想像を絶する大きな地震のテレビニュースをリアルタイムで、私は茫然と見ていた。
直線距離にしたら100キロぐらい離れているのだろうか。我が家でも一日中細かな余震が続き、恐怖と不気味さで縮こまっていたように思う。1年ほど経って訪れた神戸の復興の速さを実感した。
東日本大震災の時は、堺市の知人のところで船酔いのようなゆっくりした揺れを感じ、その後の地獄のような状況の映像は忘れらない。
★歌詞にある、貨物列車が運んでいるのは<人・命>なのだと思う。
今回歌わない<2>の曲の歌詞に
「人はなぜ生まれてくるのか
人はなぜ人を愛するのか
人はなぜ死にに行くのか
おまえはなぜそれらの全てを
連れて行くのか
なぜ沈黙して通り過ぎるのか
貨物列車よ」とある。
「人間存在の普遍的問いかけ」
永遠のテーマを問いかけている。