音楽高校と音楽大学で共に学んだ同級生まゆみさんは何10年も音楽ボランティアをしていて、私も2度ほど頼まれてお助けをしたことがある。
1度目は、Cla vo ppのほそみっちゃんと一緒に訪問するはずが、彼女が夏風邪で全く声が出なくなり、私のピアノだけという大慌てな冷や汗もの😅の訪問だった。
まゆみさんの高齢のお母さんは、車椅子の生活になってからも、近くに住む彼女の妹さんやヘルパーさんの助けも頂いて一人暮らしされていたが、病気を発症されてからは介護施設の病院に現在は入院されているらしい。
まゆみさんは横浜から3ヶ月に1回の割合で帰阪していて、その時同時に知り合いの施設数カ所に音楽ボランティアで訪問するという。
10日ほど前、しばらくぶりの彼女のLineに、前に訪問した介護つきマンションでピアノを弾いてほしいという急な依頼があった。
Cla vo ppで今年も5月に「カフェコンサート」をする予定で、メンデルスゾーンの「春の歌(無言歌集)」と、ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分)」の2曲を演奏するために練習に入っていたので、リハーサルにもなるかなという思いとまゆみさんの助けになるならとOKした。どちらの曲も音楽好きの方は耳にすることが多いと思う。
他に、入居されている方々に歌ってもらう歌の伴奏曲2曲。
「花・喜納昌吉曲」Fdur(エフドゥア・へ長調)と「花・滝廉太郎曲」Gdur(ゲードゥア・ト長調)は、5度か6度ほど下げてほしいとのこと。
弾き手が簡単なのはCdur(ツェードゥア・ハ長調・主音はド)だが、お年寄りは上のド以上になるとしんどいけど、下はどれだけ低くても出るから、Bdur(ベードゥア・変ロ長調・主音は♭シ)ならより良いとのこと。
私たち音楽専門家は、初見で弾いたり、さっと移調できたり、即興で伴奏付けができる人がたくさんいるが、簡単なものは別として、私は移調は譜面に起こしてからでないとできない。
PCのソフトでスキャンしてさっと移調譜面を作成することはできるが、古くなっている我が家の動きの悪いPCを開いてスキャン云々の作業が面倒なので、「移動ド」の私は、どちらの「花」の譜面にも音符にドレミを書いて、それを見ながらBdur(変ロ長調)で弾くことにした。
譜面を読む時には「移動ド」と「固定ド」という2種類の譜読みの仕方がある。
何調であってもハ長調の「ド」を主音として、書いてある音符のままで読む「固定ド」に対して、「移動ド」は、調が変わると主音のドの位置が変わるので、例えばへ長調は「ファ」が「ド」となり、置き換えて読んでいく。
慣れると絶対音感のない私などは、どんな調になっても、高さは違うがハ長調と同じに聞こえてくるので、調性(ハーモニー)の進行がメロディックに聞こえるという利点がある。
「固定ド」は、書いている音をそのままスラスラ読むので初見は楽だが、「移動ド 」のように調性がわかって歌うのと違って、絶対音感がなければ正確な音では歌えないという難しさはある。
そんな理屈はさておき、当日まゆみさんと最寄駅で落ち合い、近くの喫茶店で彼女の予定しているプログラム進行をざっと聞き向かう。
1階の食堂の広いお部屋には、この訪問を心待ちにしてくれている入居者の方々が集まって下さっていた。
学生時代私も彼女も副科でバイオリンを習っていたが、今も彼女はバイオリン🎻を聞いてもらうこともあるとかで、この日急遽オープニングはハ長調で「エーデルワイス」。適当にハーモニーをつけて伴奏する。
彼女は少し小さいサイズのキャリー型のスーツケースを持ってきていたが、その中にはトーンチャイム(ハンドベル)という、アルミ合金製のパイプをたたいて共鳴させる楽器を入れていた。
手で持って自分の前に振り出すように動かすと、フワァっと残響がある柔らかいシロフォンみたいな音がする楽器。「春が来た」の歌に合わせてお年寄りの数人に持ってもらって音出しを体験してもらう。
戸惑いと好奇心などで皆さん楽しそうで和やかになる。
前のホワイトボードには、5センチ四方ぐらいの大きな文字で歌詞を書いた模造紙を貼って、それを見ながら喜納昌吉作曲の「花」と滝廉太郎作曲の「花」を歌い比べてもらうなどして、1時間弱ぐらいの、おしゃべりと音楽の時間を共有をしてもらった。
この日は施設側の都合で少し時間が短くなってしまって、何曲か用意していた私のピアノは、上記の2曲に、ギターのトレモロが美しい「禁じられた遊び」のピアノ曲の3曲で終わった。
まゆみさんは若い頃ボランティアの方に助けてもらったことがあり、それをキッカケに自分もお返ししようと続けているが、自分もいい年齢になりそろそろ辞めたいが引き継いでくれる人がいないという。
彼女は資格を持ってはないが、25年以上前にはそんな名前もなかった「音楽療法士」という分野はあるがその位置付けはまだまだのよう。
まぶしい春の日差しが差す施設の玄関でまゆみさんとタクシーを待った。
高校入学で最初に隣同士の席だったまゆみさんは、普通科の中学から上がってきていて、中、高、大学までの校舎がある建物の中のこと初め色々なことを、公立中学から行った私に親切に教えてくれた優しく穏やかな知的な人だった。
私を最初に「アッコ」というニックネームで呼んでくれた人で、今でも同級生はみんなそう呼んでくれる。
活動を終了した「女声合唱団風」のこと、「コーラス花座」のこと、韓国ドラマ、中国ドラマなど色々。
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