
ごあいさつの中に、生前の林光さんと音楽教育の会の方々と交わされた約束が書かれている。実現する前に突然林さんは逝ってしまわれたのだ。
下野竜也氏指揮する大阪フィルハーモニー、マリンバ奏者の通崎睦美さん、チェリストの藤原真理さん、「こんにゃく座」の元役者の竹田恵子さんら錚々たるアーティストと、大阪すみよし少年少女合唱団の演奏を聴いた。


『交響曲ト調』
1楽章の出だしは、メロディーを掛け合いする形になっている「フーガ」の部分が印象的だった。
2楽章の「スケルツォ」 諧謔的などという難しい言葉で訳されるが、イタリア語の『冗談』という意味から、気楽に形式にとらわれないテンポの速い音楽で、林さん特有の愛らしさがあった。
3楽章は、林さん自身が「冒頭から、青森県十三地方の民謡を使っている」と書いておられるように、和風な旋律が随所にあり、ドラマや、映画の音楽を彷彿とさせた。
4楽章は「ロンド」で生き生きとしたメロディーで明るい終曲。
通崎さんの木琴演奏は、やわらかい響きのマリンバとは違って硬質な響きで、軽快なリズムと、元気いっぱい、体で「夏の雲走る」というタイトル通りの音楽を表現されていた。
竹田恵子さんによるナレーションと歌、藤原真理さんのチェロ、オケの伴奏による『セロ弾きのゴーシュ』
竹田さんの「かっこう かっこう かっこう・・・」の少しリズムをはずしたように入る鳴き声の部分は、「掛け合い難しいだろうなぁ」と、どうしても演奏者の立場で聴いてしまう。やっぱり声楽家だけど、役者さんだ。
東京での公演が殆どの「こんにゃく座」の生の芝居を観たいと思う。
楽しみにしていたのは藤原真理さんのチェロ。
20年ほど昔、ピアノを教えていた子供さんのお母さんが、藤原さんと遠い親戚とかで、当時出された藤原真理さんのCDを下さった。
「風のかたみ」と題したCDには、宮澤賢治の『風の又三郎』の映画で使われた音楽や星めぐりの歌。
林さんの代表的映画音楽「裸の島」の主題によるパラフレーズも収録されていた。
『裸の島』の演奏はクリックするとYou tubeで見ることが出来る。
アンコールで「裸の島」が演奏された時には思わずウルウルとなってしまった。
生の重厚で温かみあるチェロの響きに身体全体が包まれて、何度も鳥肌が立った。
すみよし少年少女合唱団は「森は生きている」の『十二月の歌』を歌い、最後に客席のみんなとも一緒に歌った。
大フィルのアンコールは、林さんが作曲されたNHK大河ドラマの音楽の「花神」「山河燃ゆ」などの中から一番人気の「花神」のテーマ。
「花神」のテーマ曲はYou tubeで聴くことができる。
大河の音楽の中でも珍しい8分の6拍子?(3拍子系)というのは、お茶目でおしゃれな林さんらしい気がする。
生で聴けたこと。盛り沢山なコンサートにみんなが大満足したことは間違いない。