中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

山手の丘のチューリップとワシン坂

2014年04月25日 | Weblog

 横浜公園ではまだチューリップが咲いていて、たくさんのアマチュアカメラマンが撮影をしに来ている。

 そんな賑やかな場所を避けて、私は山手にあるお気に入りの場所に向かった。
 そこは花大根、桜、菜の花のほかにチューリップが咲き誇る花の名所。

 下手な写真だが、しばらく我慢してご覧いただきたい。































 このあとの2枚は数年前に撮影したもの。





 これを撮影した場所から少し小港方面へ向かうとワシン坂に至る。
 この坂、カタカナ表記ということも不思議だが、名称の由来もよく分からない。今日はその謎解きをしてみよう。

 ワシンという名前からまず想像されるのが和親条約。そこから名付けられたという説がある。
 ほかに、坂の下にある「湧き清水」が訛ってワシンとなったという説や、開港当時にワシンさんという外国人が歩いていたからなんて説も。

 ここで私が注目したいのはNTTの電柱に張り付けられているケーブルの名前。


 たとえば中華街の中山路で見つけたラベル。東電の方は「山下」なんて味気ない名称なのだが、NTTのは「尾張町支(線)」と書かれている。
 この場所が昔は尾張町だったことを示しているのだ。

 1879年、外国人居留地(現在の山下町)に尾張町・加賀町・薩摩町・長崎町・函館町・越後町・神戸町・駿河町・前橋町・上田町・蝦夷町など30か町が新設されたのだが、その痕跡がNTTのケーブル名に残っているのである。

 ついでに述べておくと、長崎町・函館町・越後町・神戸町というのは、横浜の仲間である開港5都市から採った名称だ。そして駿河町・前橋町・上田町・蝦夷町は、おそらく当時の輸出産品だった茶・絹・海産物の産地から名付けたのであろう。


 このようにNTTのケーブル名というのは、その線が架けられている場所の旧地名を今に残しているのだ。


 レトロ探偵団はワシン坂の謎を解くため、まずは谷戸坂から歩いてみた。



 たしかに谷戸坂支(線)という名称が確認できる。



 谷戸坂の左側はフランス山。かつてフランス領事館があったことからこんな名前が付けられているのだが、その入り口に立っている電柱を見上げてみると…



 ケーブルの名称はフランス支(線)だ。



 谷戸坂を登って港の見える丘公園前を通り過ぎしばらく歩いて行くと、こんな眺望の良い所が現れる。
 地元の方々が昔から見晴台と呼んでいる場所だ。



 そこにある電柱。たしかに見晴台である。
 ちょうどこの下をくぐるトンネルが見晴トンネルだ。


 そして謎のワシン坂。

 さて、この場所に立つNTTの電柱に貼られたケーブルの名札には何と書いてあるか…



 ワシン坂支(線)だろうか…








 鷲見坂だ! 

 NTTのケーブル名の法則から考えると、この坂道はかつて「鷲見坂」と呼ばれていたことになる。

 そして「わしみざか」がいつの間にか「わしんざか」に訛っていったのだろう。こうなると耳で聞いた音「わしん」を漢字にするときに困ってしまったのではないかな。
 そこでどう表記していいか分からないので「ワシン」なんてカタカナにしたのだと私は考えている。

 ところであんなところに鷲なんていたのかという疑問が起きてくるが、昔はすぐ傍まで海が迫っている断崖だったので、トンビがヒュルヒュルと飛んでいたはず。
 それを鷲に見立てて「鷲見」としたのだろう(げんに今でもあの辺りから本牧にかけてトンビをよく見かける)。

 これがワシン坂の謎に対する私の答えである。


 

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15 コメント

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ありがとうございます (管理人)
2014-05-19 23:45:46
>あおさん
情報をありがとうございます。
一人で全部植えてるんですね。
いいことやっていますね、おじさんは。

今後「も美味しそうなごはんと散歩写真」をよろしくね。
返信する
Unknown (あお)
2014-05-18 11:19:49
このチューリップ庭、オレンジ屋根のおうちのおじさんが一人で全部植えてるって言ってました。見事ですよね(*^_^*)
いつも楽しくブログ拝見させていただいてます。美味しそうなごはんと散歩写真毎回楽しみです!
返信する
竹之丸花道 (管理人)
2014-04-28 04:44:40
>STINGさん
あの辺りは、まだ3回くらいしか歩いたことがないので、
よく分かりませんが、
森林公園に行った帰りにでも歩いてみます。
なにか発見があるかもしれません。
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度々申し訳ございません (STING)
2014-04-27 17:27:31
「竹之丸花道」と呼ばれているあたりがそこだったかも知れません。
今はずいぶん風景画変わってしまっているようですが。

昔がコンクリート舗装の坂道沿いに家が建っていて、どの家でも窓が開け放たれていて、ステテコ姿のおっさんがビール呑みながらテレビでナイター中継を見ているのを道を歩きながら垣間見られた記憶があります。

その界隈が「ハマ弁」発祥の地域だと聞いたことがあります。
返信する
すみません (STING)
2014-04-27 17:09:06
もしかしたら麦田のあたりだったかもしれません。

なにせ30年以上前の話しなものでして。。。
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気をつけて (管理人)
2014-04-27 06:09:16
>いその爺さん
上を見ながら歩くのは危険ですよ。
気をつけてくださいね。
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南区も (管理人)
2014-04-27 06:07:14
>冬桃さん
「南六つ目」、「北七つ目」、そんなプレートが残っているんですね。
吉田新田の名残ですね。
なんだか南区内も歩いてみたくなります。
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電柱 (管理人)
2014-04-27 06:03:48
>馬の骨さん
東電よりもNTTですね。
やはり電信には長い歴史があるからですかね。
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長屋 (管理人)
2014-04-27 06:02:01
>STINGさん
山元町の坂に沿った下町長屋のような住宅地・・・って、
どこなのかなぁ。
あの辺はよく歩いているのですが、
全く記憶にありません、すみません…

返信する
加賀・尾張 (管理人)
2014-04-27 05:59:39
>吉継さん
この町名も輸出産品と関係あるのかもしれませんね。

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Unknown (いその爺)
2014-04-26 13:22:27
なるぼど! 電柱から謎を解き明かすなんて、レトロ探偵恐るべし。
私、恥ずかしながら単純に人名説を信じて疑いませんでした。

よい勉強になりました。m(__)m
今日から電柱を見上げながら歩きそうです。(笑
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美しいワシン坂! (冬桃)
2014-04-26 12:45:48
 字数がなくて某所では書ききれなかったことを
しっかり書いてくださって嬉しいです。
 我が家にほど近いあたりのの電柱にも「南六つ目」とか
「北七つ目」といった「怪しい」表記があります。
 吉田新田をしみじみ感じる瞬間です。
返信する
ワシン坂の謎解明! (馬の骨)
2014-04-26 09:48:06
ワトソン君、
うちの団長は電信柱から永遠の謎を解いたぞ!
そう言えば、江の島、茅ヶ崎付近じゃ、
トンビがウジャウジャいますね。流石です。
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面白いです。 (STING)
2014-04-26 08:42:22
電柱から歴史をひも解く。
実に面白いです。

山元町の坂に沿った下町長屋のような住宅地もレポートして下さい。
まだあるのだろうか?
返信する
そうなんですか! (吉継)
2014-04-26 07:58:28
勉強になります、開港地と輸出物の産地が通りや区画の名前に、加賀町や尾張町も存在していることは金箔や織物や美術品、調味料などを輸出でも
していたからなのですか?
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