アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

楽しい本をいただきました~『世界珍食紀行』(文春新書)

2022-07-20 | 旅行

なかなか海外旅行に行けず、イライラが募る毎日。気がつけば、旅行サイトで「今度行ったらどこに泊まるかな~」とアジア各都市のホテルをチェックしている始末で、こんなことがもう2年ほど続いているのですから、たまったものではありません。コロナ鬱の一症状ですね。それまで40年あまり、年2回ほどアジア各国に行っては情報を仕入れ、それで食べていたと言ってもいいので、商売あがったりです。

そんなイライララしていた時に、知人から楽しい本を頂戴しました。タイトルに挙げた『世界珍食紀行』(アジア経済研究所山田七絵編、文春新書、980円+税)で、7月20日に発売されたばかりです。ちょっとカバーの裏表を見ていただきましょう。

 

ええ~っ、カブトムシぃ?? と裏表紙にビビったのですが、あとはわりとまともな食べ物ですね。デーツなんて、あの甘くて柔らかい実が懐かしい。シンガポールのムスタファ・スーパーマーケットで売っているデーツより、バンコクのデパートでヘジャブを着けたお姉さんが売っているデーツの方が断然おいしいです。聞き慣れない「イリシカレー」の「イリシ」は、バングラデシュ人の大好きな魚カレー中の人気者で、ニシン系の魚なので油ギトギト小骨だらけなんだそう。また最後の「アジャカ」はベネズエラのお料理で、「トウモロコシの粉の生地に、肉の煮込みやタマネギ、パプリカ、オリーブ、レーズンなどをのせてくるみ、それをバナナの葉で包んで糸でしばって成形し、1時間ほどゆでたもの」なのだとか。というわけで「珍食紀行」とは名乗っていますが、日本から西回りに地球を一周し、途上にあるいろんな国での食体験を2000字程度でそこで暮らした研究者の皆さんが綴ったもので、様々な異文化体験も含まれていてとても面白いです。

インドの中華料理:左は春巻、右はチャーハンを取り分けたもの

それで、インドの項ですが、アジア経済研究所の湊一樹研究員による「幻想の中の『満州』」という文章になります。インドに何度も旅行をした方には、「ははぁ、インドの中華料理店のメニューにある、”なんとかマンチュウリアン”のことか」とピンとくるはずです。肉団子や唐揚げ肉に、辛いソースがからめてあって、ネギや唐辛子がふりかけてあったりするお料理ですね。もちろんベジもあり、その時は野菜団子になります。ムンバイで時々行ったチャーチゲートの中華料理店カムリン(金陵酒家)の紹介ページがあったので、メニューを開いてみたらありました、Manchurian Chicken、Pork Manchurian Style、Prawn Manchurian Styleなどが出て来ます。お値段はほぼどのお料理も、大皿Rs.550程度、ハーフがRs.300程度というところです。高くなりましたねー。下は2001年にインドでもらったチラシで、経済発展と共に人気になってきた中華を出す軽食堂のテイクアウト料理一覧です。

実は先日ご紹介した『ラジュー出世する』(ただ今JAIHOで配信中)でも、アルバイトをして600ルピーのお給料をもらったラジューが、「レヌ、今日は中華を食べに行こう。ほら、僕、金持ちなんだよ」と言うところがあります。中華料理というだけで、いつも食べてるパーオ・バージー(野菜のトマト煮込みとパン)などとは違った、ごちそう感があるんでしょうね。上のチラシにも「Cauliflower Manchurian」という料理が右上に載っていて、「マンチュリアン」はごちそうのネーミングの一つに位置づけられているようです。で、その「マンチュリアン」のネーミングはどこから、というのが湊研究員の文章のキモなんですが、えー、そうだったの! とちょっとびっくり。インド好きの皆さん、ぜひ読んでみて下さいね。

韓国のビビンパ@ソウル

インド以外のアジア諸国では、中国、韓国、台湾、モンゴル、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、モルディブ、イラン、トルコ等々、たくさんの国が登場します。この本を読んで、せめてもの旅行気分を味わうことにしましょうか...。

マレーシアの家庭料理@KL


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