久しぶりにYouTubeで発見した、ラージクマール・ヒラーニー監督の嬉しそうな顔。しかも、彼の登場の露払いをするのがシャー・ルク・カーンなのですから、もう最高! と言いたくなる映画のティーザーがアップされました。ヒラーニー監督の新作を紹介するティーザーです。まずはそれを見ていただき、2人がどんな会話を交わしているのか、訳してみましょう。ティーザーには英語字幕も付いています。
Dunki | Title Announcement | Shah Rukh Khan | Taapsee Pannu | Rajkumar Hirani | 22 Dec 23
壁に貼ってある5枚のポスターを見ているシャー・ルク・カーン(S.R.)。左上から右下へ、『PK/ピーケイ』(2014)、『ムンナー兄貴、医者になる』(2003)、『きっと、うまくいく』(2009)、『ムンナー兄貴、ガンディーと出会う』(2006)、『SANJU/サンジュ』(2018)の5枚のポスターが貼ってある。そこへ、ラージクマール・ヒラーニー監督(R.H.)が登場。
S.R.「おお、すごいなあ」
R.H.「何を見てるんだい、シャー・ルク?」
S.R.「いや、別に」
S.R.「ランビール・カプール出演&主演の『SANJU/サンジュ』、アーミルは『PK/ピーケイ』の主演。サンジューさん(サンジャイ・ダット)はもちろん『ムンナー兄貴、医者になる』の主演。まったくもって、すごいですよ、監督」
S.R.「監督、僕向けにも、こういう作品が何かありますか?」
R.H.「うん。脚本がもうあるんだけど」
S.R.「ホントですか? コメディ要素は入ってます?」
R.H.「たっぷりとね」
S.R.「泣かせる所は?」
R.H.「それも入ってる」
S.R.「ロマンスもあるんですか、監督?」
R.H.「ありますよ。でも、あなたのサイン待ちなんでね」
S.R.「そんなことなら、(サインさせるために)僕の手を切ってもいいですよ」
S.R.「タイトルは何と言うんです?」
R.H.「DUNKI(ダンキー)」
S.R.「.......ドンキー(ロバ。とんまという意味もある)?」
R.H.「”ドンキー”じゃないよ、シャー・ルク、”ダンキー”だ」
(と言って監督知らないうちに退場)
S.R.「”ドンキー”かと思いましたよ、”ダンキー”出演&主演か。で、意味は…、監督??」
S.R.「”DUNKI(ダンキー)”か....」
S.R.「一体、何を撮ってるんだかわからん。お前もちゃんと意味つかめよ」
(自分にツッコミ入れながら、シャー・ルク・カーンも退場)
(砂漠地帯に”DUNKI”の砂文字。そこに被る”ジヨー・スタジオ、レッド・チリー・エンタテインメント、ラージクマール・ヒラーニー・フィルムズ製作”の文字。やがてタイトルが消え、”22-12-23公開”の文字に置き換えられる)
最後の日付に一瞬、「え、今年の12月23日に公開?!」と思ったのですが、残念ながらこれは来年、2023年12月22日公開のことでした。シャー・ルク・カーンの相手役はタープシー・パンヌーと発表されていて、さて、この2人がどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみです。肝心のタイトル『DUNKI』についてですが、すでにこちらやこちらで解説されているとおり、「Donkey Flight(ロバのフライト)」からアイディアを得た単語のようで、この「ロバのフライト」も元はパンジャービー語の慣用句から取ったものだとか。「ロバのフライト」とは、他国に不法移民として渡る時の手法を指すそうで、エージェントに多額の金を払い、様々な必要書類を時には偽造で揃えてもらい、欧米諸国に潜り込む時のやり方を指すようです。しかしヒラーニー監督のこと、ひとひねりもふたひねりもした作品になることは間違いなく、脚本にいつものようにアビジャート・ジョーシーが加わっていることからも、期待してよさそうです。
(無駄話:シャー・ルク・カーンが演じるなら、「ドンキー・フライト」じゃなくて、「ドン・キー・フライト(DONのフライト)」だわね、とダジャレを考えたのですが、「フライト」がヒンディー語に入ると女性名詞になるのか自信がなく、ここだけのダジャレにしておきます^^)
なお、このティーザーに登場するヒラーニー監督作品『ムンナー兄貴、医者になる』は、明後日、5月3日からJAIHOで配信されます。7月1日までアップされていますので、ぜひご覧になって下さい。実は今、この作品用のコラム原稿をまとめているところなんです。そのために10数年ぶりに見たのですが、いや、泣かされた、泣かされた。ムンナーと手下サーキットのムンバイ訛りも面白く、ヒラーニー監督作品常連のボーマン・イラーニーや、まだ無名のナワーズッディーン・シッディーキー(前に見た時はまだ存在を知らなかった)も出ていて、お宝シネマを堪能しました。最後に『ムンナー兄貴、医者になる』の予告編を付けておきますので、『SANJU/サンジュ』ではパレーシュ・ラーワルが演じたサンジュの父親の本物、往年の大スター、スニール・ダットの勇姿もご覧下さい。
Munna Bhai MBBS | Official Trailer | Sanjay Dutt | Arshad Warsi