アジア映画巡礼

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ヒョンビン大活躍中!『ザ・ネゴシエーション』でソン・イェジンと競演!!

2019-08-16 | 韓国映画

韓国映画、まだまだいろんな作品がやって来ます。中でも目を引くのが、ヒョンビン主演作2本が立て続けに公開されることで、かたや現代もののサスペンス作品『ザ・ネゴシエーション』、もう1本は時代劇の『王宮の夜鬼』。まずは『ザ・ネゴシエーション』を見せていただいたので、こちらをご紹介しましょう。相手役はソン・イェジンで、こう言っては何ですが、ヒョンビン、最近ぐっと大物感が出てきたような感じで、ソン・イェジンを前にしても遜色なし。このあたりはあとで検証することにして、まずは作品のデータとあらすじをどうぞ。


 © 2018 CJ ENM CORPORATION,JK FILM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

『ザ・ネゴシエーション』 公式サイト
 2018年/韓国/韓国語/113分/原題:협상
 監督:イ・ジョンソク
出演:ヒョンビン、ソン・イェジン、キム・サンホ、チャン・ヨンナム、チャン・グァン、イ・ムンシク(特別出演)
 提供:ツイン、Hulu
 配給:ツイン
※8月30日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー

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本作は、家族を人質にとって、複数犯人が立てこもる現場の住宅から始まります。犯人たちはどうやら外国人のようで、チャン・チーム長(イ・ムンシク)が下手な英語で呼びかけているのですが、話が通じないらしく、部下のアン刑事(キム・サンホ)は苦り切ります。そこへチャラい格好でやってきたのは、「合コンの途中で呼び出されたのよ」と不満顔のハ・チェユン(ソン・イェジン)。警部補のチェユンは海外留学組で、危機交渉班の凄腕ネゴシエーターとして知られる女性でした。彼女は慎重にネゴシエーションを開始しますが、じれた本部側の突入命令で、結果的に人質と犯人全員を死なせてしまうことになります。

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その事件から10日後、トラウマからまだ抜け出せないでいたチェユンに、警察本部から応援要請が入ります。チャン・チーム長は海外出張のため、アン刑事と共に指定された場所に駆けつけてみると、そこは警察の外事課の要員、さらには大統領府や軍の人間も加わった、大規模な作戦ルームでした。事件が起きたのはバンコク。ミン・テグ(ヒョンビン)という若い男が韓国の新聞記者を誘拐し、交渉を要求してきたのですが、そのネゴシエーターとしてチェユンを指定してきたのでした。それもそのはず、捉えられたのは記者だけでなく、何と海外出張中のアン・チーム長も一緒だったのです。こうして長く続く交渉が始まりますが、テグの動機、要求もなかなか判明せず、チェユンはただただ、今度こそ人質を1人も死なせてはならないという使命感で立ち向かうものの、やがて現場で血が流れてしまいます...。

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バンコクでの誘拐事件交渉が始まると、映画冒頭のチェユンのおちゃらけがウソみたいな、緊迫した展開が次から次へと続きます。観客にも情報がなかなか開示されず、チェユンたちと同じようにテグの傍若無人ぶりに翻弄される状態が続き、まさに息詰まる感じを味わわされます。そして、いくつもの小さなどんでん返しの末、大どんでん返しがやってくるのですが、そこからすべてが解決するラストまでは、少々「ほころびをつくろう」感があるものの、よくまあこんなストーリーを考えたものよ、とあきれるような大胆不敵な脚本が展開していきます。『ザ・ネゴシエーション』、サスペンス映画好きにはもうたまらない作品です。

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本作は韓国映画では初めての交渉劇、とのことですが、本作を魅力的にしているのは脚本もさることながら、一にも二にも、ソン・イェジンとヒョンビンの演技力と言っていいでしょう。ソン・イェジンはこれまでのイメージをかなぐり捨てて、「これって、チョン・ジヒョンとかの役回りでは?」と思えるような役柄を、どなったり、すごんだり、あるいは豹変してやさしくしとやかになったりしながら演じています。ラスト近く、公権力の悪の側に対して見得を切るところなどは、もう少し迫力があった方が、とか思ったりもしますが、かわいらしくてけなげな役が多いソン・イェジンとしては、『パイレーツ』(2014)以来のはっちゃけぶりで、目がスクリーンに釘付けになります。

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一方のヒョンビンは、謎の男をこれまた多面的に演じていて、ソン・イェジンに勝るとも劣らない存在感です。そういえば、この頃ヒョンビンって、どの作品でもがっちりと映画の核になっていたよなあ、とか思い出しながら見ることになったのですが、本作では『コンフィデンシャル/共助』(2016)や『スウィンダラーズ』(2017)よりもさらに難しい役柄に挑戦、見事に演じ上げました。ただ、前述したように、登場した時の冷酷で怜悧な誘拐犯から、ラストに謎が解けて、「なるほど、こういう人物だったのか」となるまでには少々脚本に無理というか穴があるため、テグというキャラクターの魅力が全開とはならなくて残念でした。しかしヒョンビン、まだまだ化けてくれそうな気配が本作からも漂っていて、この先が楽しみです。

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監督は、これが監督第1作となるイ・ジョンソク。主役二人のほか、キム・サンホ、イ・ムンシク、そしていつもの素敵なお母さん役とは違って交渉現場の責任者ハン課長役を演じるチャン・ヨンナムなど、ベテランの脇役陣によって、ユニークなデビュー作を作り上げることに成功しています。そうそう、悪役陣も文句なしで、特にここのところ悪役と言えばこの人、という感じになっているチャン・グァンは、某所にある豪華な秘密部屋に他の要人と共にデンと座る姿はさすがの貫禄です。この間ご紹介したマ・ドンソク主演の『守護教師』(2018)でも似たようなキャラだったので、今夏韓国映画をハシゴした方には印象に残ることでしょう。最後に予告編を付けておきます。

 ザ・ネゴシエーション 予告編

これとは別の、主演二人のご挨拶が冒頭に入る予告編もあります。公式ではないようなので、ご覧になりたい方はこちらをどうぞ。あと、他社さんの作品で申し訳ないのですが、ヒョンビンのもう1本の公開作、『王宮の夜鬼』のヴィジュアルも付けておきます。こちらは9月20日(金)からの公開です。今年の秋は、ヒョンビンと共にやってきますよ~。

 

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