アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

厄災も忘れる面白さ『バーフバリ』

2015-08-14 | インド映画

「厄日」という言い方がありますが、それを当てはめると今回の旅は差し詰め「厄旅」。この前書いた忘れ物をいろいろしてきたことに加え、厄の大元凶はメール送信ができないことで、ホントにどれだけ皆さんにご迷惑をお掛けしていることか。タイにいた時はタイのネット状況のせいだと思っていたのですが、昨年はちゃんとつながったシンガポールの同じホテルでもダメで、もう怒り心頭です。怒りの矛先はプロバイダーのOCN。ネットを調べてみると、「送信ができない」「受信ができない」のケースがいっぱいあるようで、メールソフト別に、それもそれぞれのメールソフトのヴァージョン別に、解決方法が延々と書かれているのですから、こりゃー個々の利用者が悪いのではなく、OCN側に原因があることは一目瞭然です。

怒りつつもとりあえずOCNのHPに従って、アカウント設定の変更などをやってみましたが、やることが18段階もあって途中でめげそうになりました。やっと18段階終わっても、全然送信できるようにはならず、広東語のののしり言葉を吐きつつ携帯電話で必要なメールを送信する羽目に。私は普段携帯を使っていないので、携帯でメール文を入力するとなるとパソコンメールの10倍ぐらい時間がかかってしまうのです。しかも、古い二つ折れ携帯でのポチポチ入力。天を恨みたくなります。日頃の行いが悪い報いかなあ...。


そんなぐーんと下向いた気分を一挙に上向きにしてくれたのが、ホテルの目の前にあるレックスという映画館(上写真)で見たタミル語映画『Bahubali(バーフバリ)』。今インドでも大ヒット中で、製作費25億ルピー(約50億円)という超大作映画です。まずは、これ自体が話題になった予告編をどうぞ。

Baahubali Trailer || Prabhas, Rana Daggubati, Anushka, Tamannaah || Bahubali Trailer

まるで『グラディエーター』(2000)みたいでしょう? 監督は、テルグ語映画『あなたがいてこそ』(2010)やテルグ語からヒンディー語に吹き替えられた『マッキー』(2012)のS.S.ラージャマウリ監督。この人、いつかは大化けするぞ、とみんなが注目していた監督で、『バーフバリ』で見事に化けました。

Baahubali picking up a Shiva linga statue, in front of a waterfall

前半は、川の中から救い上げられた男の子シヴ(プラバース)が成長し、滝の上にある土地への憧れを見事叶えて、そこで美しい女戦士アヴァンティカ(タマンナ)と出会うまでを描きます。滝のCGに始まって、宮殿やら雪景色やら、実写とCGが上手に重ねてあって、壮大な景色に目を奪われます。後半では、シヴが自分の出生の秘密を知り、自分の父バーフバリ(プラバース二役)とその競争相手(ラーナー・ダッグバティー)との争い、さらには二人を育てた国母とも言うべきシヴァカミ(ラーミヤ・クリシュナン)や、国を守る衛兵隊長カタッパ(サティヤラージ)の過去の話を聞いていく、という構成になっています。実はこの『バーフバリ』は前編で、副題が「The Beginning」と付けられており、このあと後編の「The Conclusion」へと続いて行くのです。ああ、早く後半が見たい!


『バーフバリ』の成功の第一は、『マッキー』からさらに一段と上手になったCG技術。つづいては、魅力的な出演者の顔ぶれです。特に主人公バーフバリの二役(父子ともに「バーフバリ」の名を持つという設定)を演じるプラバースの表情や、肉体も含めたたたずまい、演技力といったものが観客を惹きつけて放しません。こんなさわやかな雰囲気を持ついい役者さん、どこにいたの? という感じです。1979年10月生まれということは、今35歳ですね。何でも本作の撮影のために結婚式を延期したとかで、そのかいがありました。また、ヒロイン役のタマンナも実に美しく、ヒンディー語映画『エンターテインメント』(2014)などの添え物ヒロインでは見られなかったオーラが全開です。


脇も素晴らしく、悪役になるラーナー・ダッグバティーは本年初めのヒット作『ベイビー』(2015)でアクシャイ・クマールの部下を演じて光る演技を見せた人。さらに、『チェンナイ・エクスプレス』(2013)の父親ドン役サティヤラージが、あれに輪を掛けた名演技を見せてくれます。そして、『パダヤッパ』(1999)以来久々に目にしたラミヤー・クリシュナンの貫禄も言うことなし。2時間38分が短く感じられるほどで、「早く続きを!」となった次第です。

シンガポールではヒンディー語吹き替え版もやっているようなので、もう一度見ようかな、と目論んでいます。この映画の興奮で、ダヌシュ主演のタミル語映画『Maari』が観客数が少ないとのことで上映キャンセルになり見られなかったことや、Agodaで予約し間違えて今のホテルは明日から窓なしの部屋に移らなければならないこと、イ・ジョンジェ&ハ・ジョンウ主演、チェ・ドンフン監督の韓国映画『暗殺』の上映がもう終わっていたことなどなどなど、いろんな厄災も不運もしばし忘れました。明日からは気を取り直し、がんばって映画を見ようと思います。


そうそう、いいこともあって、ホテルの近くにあるリトル・インディアのパンジャービー・ドレスのお店が集まっているテッカ-・マーケット(Tekka Market)で、ほしかったクルターを見つけて買ったお店のオーナーとすっかり意気投合してしまいました。まだ若い、30そこそこぐらいのプレーム・パーンデー(Prem Pande)さんというこのお兄さん、家はニューデリーのワサント・クンジュにあり、1年の半分ずつをインドとシンガポールで過ごしているのだとか。いいご身分ですねー。お店にはなかなかセンスのいいデザインのクルターやパンジャービー・ドレスも多く、ヒンディー語でしゃべれば1割ぐらいすぐ負けてくれるので、ヒンディー語がおできになる方にはオススメです。2階がマーケット状態になっているのですが、その中の#02-127というお店です。

では、明日もいいことがありますように。これでメール送信ができれば、一挙に天国なんだけどな~。




コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『若さは向こう見ず』と『愛... | トップ | シンガポール独立50周年を記... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
MK様 (cinetama)
2015-10-07 18:17:49
コメント、ありがとうございました。

プサン国際映画祭はちょうど今開催中ですが、プサンからコメントを送って下さったのでしょうか。
それと、ツインが『バーフバリ』を買ったというビッグなニュースもありがとうございました!
香港映画、中国映画等買いまくりだったツインさん、ついにインド映画まで!
ぜひ、来年公開される後編も買っていただいて、連続公開としていただきたいです。

今年はインド映画の公開が少なかったですが、来年はまた楽しみな年になりそうですね。
返信する
Unknown (MK)
2015-10-07 15:24:32
cinetama様、お久しぶりです。以前にも一度釜山の映画祭で見た「Guzaarish」について書き込みさせていただいたMKです。

今年はこの記事を読ませていただいて観たいと思っていた「Bahubali」を観る事が出来ました。本当に面白かったです!すごく綺麗な画像で、登場人物も魅力的で大満足でした。監督も来韓していて、映画の最後にQ&Aの時間がありましたが、とても紳士的な素敵な監督でした。cinetamaさんはご存知かもしれませんが、現地でのデイリーレポートによると株式会社ツインが日本での権利を獲得したとの事。いい形で公開される事を願います。

いつも釜山で見る映画はこのブログを参考にさせていただいています。今後も更新楽しみにしています。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インド映画」カテゴリの最新記事