アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

第11回アジアン・フィルム・アワード(上)

2017-03-22 | アジア映画全般

3月21日夜に行われた、第11回アジアン・フィルム・アワードの様子をお伝えします。賞がいっぱいあるため、2つに分けました。今回の会場は、昨年のマカオから移って香港の文化センターです。私はたまたま帰途香港に寄る日なので、香港国際映画祭事務局の友人ジェイコブ・ウォンにお願いして、アジアン・フィルム・アワード(AFA)事務局の方を紹介してもらい、チケットをいただきました。その席が、ノミネートの人たちからすぐ近くで、前から2番目の通路側という最上の席。お手配下さったジョシー・リンさん、本当にありがとうございました。(以下、芸能界の方は敬称略ですがお許し下さい)

いただいた招待状は3枚あり、午後4時半からのウェルカム・ドリンク・パーティー、午後7時半からの授賞式、そして午後10時半からの祝賀パーティーです。本番まで3時間も何するの? と午後5時過ぎに行ってみたら、案の定パーティー会場には中国人の参加者がチラホラ、程度。でも、日本の映画人の方は真面目でいらして、私が行ってすぐ10人ほどがもうおみえになっていました。桃井かおりの姿が見えます(黒いドレスの後ろ姿が彼女です)。会場には、トロフィーも飾ってありました。その横でポースを決めて写真を撮っているのはほとんどが中国からの参加者でしたが、いい記念になってSNSで流れることでしょう。


6時を過ぎると、次第にスターたちがレッド・カーペットに姿を現すようになりました。ちゃんと下の取材スペースで写真を撮らせてもらうこともできたのですが、インドでの疲れもあって、ずぼらを決め込んで2階から見下ろす形で写真を撮ってしまいました。『お嬢さん』で新人賞候補になっている韓国女優キム・テリが白いドレスでやってきます。すごい人気で歓声が上がります。


こちらはベテラン女優恵英紅(ベティ・ウェイ)。主演女優賞候補です。上から見てみてもとてもきれいで、ついアップを撮ってしまいました。

その次は、我らがあっちゃんこと前田敦子。『モヒカン故郷に帰る』で助演女優賞候補に入っています。香港のファンがきれいな日本語で「あっちゃあああん!」と叫びます。あっちゃんも気さくにツーショットに加わり、おそらく一番時間を掛けてレッドカーペットを歩いた女優さんでは、と思われるぐらいファン・サービスをたっぷりとしてくれました。お供は、中国語も広東語もよくできる宣伝マンのKさんだったのですが、「会場は熱いなあ」と資料で風を送りながら、あっちゃんを待っておられました。

これは、あっちゃんファンとしては嬉しいですよね~。そして、やはりベテラン女優の金燕玲(エレイン・ジン)。台湾出身ですが、今は香港でも大活躍で、助演女優賞候補です。


その頃になると疲れが出て(あかん、2時間立っていただけで足に来る..)あとは会場で、とばかり中に入ってしまいました。そして、ほぼ定刻通り、授賞式が始まりました。司会は蒙嘉慧(ヨーヨー・モン)と周子駒(サイラス・チョウ)。

 

まず最初に、AFAの幹事の皆さんが登場します。左から、韓国のカン・スーヨン、韓国のキム・ドンホ、香港の王英偉、日本の椎名保の各氏です。

続けて、大きな歓声が起こったと思ったら、X JAPANのYOSHIKIが登場。ピアノの演奏が始まります。後ろのスクリーンには、亡くなったHIDEの姿などが映し出され、YOSHIKIの言葉が浮かんでいきます...。スクリーンの両側には、左は英語字幕、右は中国語字幕が出て、どの人にも意味がわかるように配慮してあります。

では、これからはノミネーション・リストも挙げながら、賞のプレゼンターと受賞者の写真をご披露していきましょう。

第11回アジアン・フィルム・アワード受賞者・受賞作品
(★が受賞者、受賞作品。『』内は邦題、または映画祭上映題名で、『(原題)』とあるのは未公開作品です。()内は(中国語題名/英語題名:製作国)。初出以降はタイトルと製作国のみとします) 

新人賞

プレゼンターは安心亞(アンバー・アン)と鄭人[石頁](チェン・ジェンシュオ)。


★キム・テリ『お嬢さん』(下女誘罪/The Handmaiden:韓国)
 林允(リン・ユン)『人魚姫』(美人魚/The Mermaid:中國)
 佐久本宝『怒り』(怒/Rage: 日本)
 フィル・ラフマン『見習い』(身後仕/Apprentice:シンガポール・ドイツ・フランス・香港・カタール)
 胡子彤(トニー・ウー)『點五步(原題)』(點五步/Weeds on Fire: 香港)


キム・テリが嬉しそうに、かつ恥ずかしそうに登場します。すっかり大女優の貫禄ですね。「本当にありがとうございましす。カムサムニダ」を連発して受け取って行きました。

 

脚本賞

プレゼンターは韓国のチョ・ウィソクと香港の游乃海(ヤウ・ナイホイ)の両監督です。ヤウ監督が「脚本家とは~」とちょっと長くしゃべります。


★アスガル・ファルハディ『セールスマン』(伊朗式遷區/The Salesman;イラン・フランス)
 ラヴ・ディアス『The Woman Who Left(英語題)』(離開的女人/The Woman Who Left:フィリピン)
 新海誠『君の名は。』(你的名字/Your Name:日本)
 パク・チャヌク、チョン・ソギョン『お嬢さん』(韓国)
 麥天樞(マク・ティンシュー)、龍文康(ロン・マンホン)、伍奇偉(ン・ケイワイ)『大樹は風を招く』(樹大招風/Trivisa:香港)

獲ったのはアスガル・ファルハディだったのですが、コールをしても会場からは誰も現れず。本人はもちろん、関係者も来てないようです。開始前のパーティーで東京国際映画祭のプログラミング・ディレクター矢田部さんにちょっとお目に掛かったのですが、ノミネート作品を選ぶ側の一人でいらっしゃる矢田部さんは「東アジアだけでなく、西アジアや南アジア、東南アジアの映画もしっかりノミネートできるようにならないと」と言っておられたものの、今回のようにその場に来てくれないとちょっと寂しいですね。まあ、アカデミー賞にも行かなかったファルハディ監督なので、仕方ないと言えば仕方ないんですが、こちらにいらしていればトランプ大統領をさらにカッカさせることになって面白かったのに。なお、『セールスマン』は6月10日より日本でも公開予定です。

攝影賞

プレゼンターは台湾のお二人、女優の李烈(リー・リエ)とハンサムな男優鳳小岳(リディアン・ヴォーン)。実はさっき、待っている時に待合場所のソファで一緒になったのですが、うっかり写真を撮るのを忘れて見とれてしまい、ここでカメラを覗きながら自分を叱っていました。こんなピンぼけでないアップが撮れたのに...。


★羅攀『我不是潘金蓮(原題)』(我不是潘金蓮/I Am Not Madame Bovary:中國)
 山崎裕『海よりもまだ深く』(比海還深/After the Storm:日本)
 キム・ジヨン『密偵(原題)』(密探/The Age of Shadows:韓国)
 朱津京(チュー・ジンジン)『ミスター・ノー・プロブレム』(不成問題的問題/Mr. No Probblem:中国)
 杜杰『羅曼蒂克消亡史(原題)』(羅曼蒂克消亡史/The Wasted Time:中国)

受賞者は、今回ノミネート数が『お嬢さん』と並んで多い中国映画 『我不是潘金蓮』のカメラマン羅攀。『我不是潘金蓮』は帰途の機内でざっと見たのですが、画面が黒味で覆われた真ん中に丸窓が開いていて、そこでお話が繰り広げられる(時には丸が四角になったりと変化します)という、なかなかに凝った画面だったので、撮影も大変だったと思います。


途中で客席にいる司会者が助演女優賞の皆さんにインタビューしたりします。スクリーン映像を付けておきますが、エレイン・ジンと並んで前田敦子の姿もあり、のちほど日本語の通訳さんを入れてインタビューされていました。その前の席は、フィリピン女優のチャロ・サントス=コンチョです。


視覚効果賞

★大屋哲男『シン・ゴジラ』(真﹒哥斯拉/Shin Godzilla:日本)
 チョン・ホヮンス『新感染 ファイナル・エクスプレス』(屍殺列車/Train to Busan:韓国)
 孫立、盛勇、王上、孫靖『鉄道飛虎(原題)』(鐵道飛虎/Railroad Tigers:中国)
 ペリー・カイン、林哲民、トーマス・R『擺渡人(原題)』(香港・中国)

そのままプレゼンターが残り、視覚効果賞の発表に。これは『シン・ゴジラ』が獲りました。

 

「スタッフを代表して、皆さんにお礼を言いたい」と穏やかなお人柄がわかる、大屋哲男さんのご挨拶でした。見守るプレゼンターのお二人が美しくて、ついパチリ。

音楽賞

プレゼンターは何と、YOSHIKIが再び登場して会場騒然。受賞者名を読み上げてから、「おめでとう。もう一度盛大な拍手を」とうながすYOSHIKIに感心。


★MOWG『密偵(原題)』(韓国)
 坂本龍一『怒り』(日本)
 波多野裕介、金培達(ピーター・カム)『七月と安生(原題)』(七月與安生/Soul Mate:香港・中國)
 Xavier Jamaux『三人行(原題)』(三人行/Three:香港)
 曾思銘『ゴッドスピード』(一路順風/Godspeed:台灣)

これから日本でも公開予定の『密偵(原題)』の音楽監督MOWG、嬉しかったでしょうね。

 

音響賞

プレゼンターは再びYOSHIKIが担当します。立ち姿もきれいだし、チャーミングな人でした。


★房濤、郝智禹『長江図』(長江圖/Crosscurrent:中国)

 キム・ドンハン『哭声/コクソン』(哭聲/The Wailing:韓国)
 木村淳『シン・ゴジラ』(日本)
 曾景祥、李耀強『寒戦2(原題)』(寒戰2/Cold War 2:香港・中国)

意外にも、『長江図』組が獲りました。日本ではSKIPシティの映画祭上映だけでしたが、地味な作品なので公開はどうでしょうねえ。受賞者のお二人は、感無量、といった面持ちでした。

 

飛躍俳優賞

ここで、楽しいプレゼンター、桃井かおりがScott J. Messingerと共に登場。「飛躍俳優賞」という、もう一つの新人賞みたいな賞を授与します。桃井さんの英語トークが面白く、きちんとメモっておかなかったのが残念。素敵な女優さんですね。国際派女優としての貫禄もついて、ますます魅力的です。


★林允(リン・ユン)『人魚姫』(中國)

読み上げられたのは、新人賞を逃したリン・ユン。よく似合ったピンクのドレスで登場。思わず、その下、足下に尾びれは? と聞きたくなってしまいます。ちょっと大人っぽくなりましたかね。

 

<パフォーマンス>オペラ歌曲:フォルテ・ディ・クアトロ

今回はクラシック音楽志向で、男性4人による合唱でした。あともまだまだ続きます。(つづく)



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