友人のベンガル文学翻訳者大西正幸さんから、お知らせをいただきました。大西さんはこちらでご紹介したラビンドラナート・タゴール著「少年時代」(めこん、2022)の訳者なのですが、この本の4分の1ほどを占める大西さんが書いた「解説」が本当に面白く、訳書だけではなくてご自身の著書も著してほしい、と思う文才のある人です。今度はこの春コルカタに行き、サタジット・レイ監督のご子息ションディプ・ラエ監督(日本で紹介された時は「サンディープ・レイ」になっていたかも。2016年のIFFJの紹介がこちらにあり、監督作『私が恋した泥棒』の紹介があります)に会ってきた時、「サタジット・レイの二つの回想記の翻訳許可をいただいてきた」そうで、そのお話と「回想記」第1回をサイト「つながる!インディア」に連載し始めたというお知らせでした。
(サタジット・レイ監督/ 1990年コルカタでのインド国際映画祭にて)
記事は今のところ2件です。
①サタジット・レイ『ぼくが小さかった頃』連載にあたって(こちら)
②サタジット・レイ『ぼくが小さかった頃』①(こちら)
①によると、サタジット・レイの家がある通りには、現在彼の作品のポスターが掲げられているそうで、見に行ってみたいです。大西さんによるお写真も載っていますので、見てみて下さいね。サタジット・レイ監督は1992年4月23日に70歳で亡くなるのですが、現在彼の名を冠した映画研究所というか映画大学がコルカタにできていて、世界中から映画製作を学ぶ若者が日々勉強しています。正式名は「Satyajit Ray Film & Television Institute」で、国立の学校です。コルカタ南部のようですが、詳しく知りたい方は公式サイトをチェックしてみて下さいね。
(サタジット・レイ監督/ 1990年コルカタでのインド国際映画祭にて)
サタジット・レイ監督作品は、日本でソフト化されているのは「オプー三部作」と呼ばれる『大地のうた』(1955)、『大河のうた』(1956)、『大樹のうた』(1959)と、再上映された『ビッグ・シティ』(1963)と『チャルラータ』(1964)だけです。先日フィルム・アーカイブで上映された『主人公』(1966)のように、目下サタジット・レイ監督の多くの作品が修復されているようですので、そのうちまとまって上映される機会もあるかも知れません。とりあえずその前に、約30年行っていないコルカタの街に行ってみたいなあ(最後に行ったのは1994年のインド国際映画祭の時)、と思っている私です。最後に、2015年に『ビッグ・シティ』と『チャルラータ』が再上映された時の予告編を付けておきます。「Charulata」というヒロインの名前も、ベンガル語読みだと「チャルロタ」、ヒンディー語読みだと「チャールラター」なので、「~ラータ」はどこから出てきたの? と思ってしまうんですが、一度世の中に出てしまうと、誤記でも使い続けざるを得ないこのつらさ。8年前、「再公開の機会に、ぜひ訂正して下さい」と配給会社さんに強く言わなかった私が悪い。今後、一層気をつけます。
映画『シーズン・オブ・レイ』-『チャルラータ』&『ビッグ・シティ』デジタルリマスター版- 予告編