「東南アジアのポピュラーカルチャー」というご本をいただきました。2ヶ月ほど前に出た本なのですが、紹介して下さる方があって、編著者の福岡まどか先生が送ってきて下さったのです。私の知っている方々がたくさん寄稿してらして、うっかりとチェックしていなかったことを悔やみました。福岡先生、ご恵存ありがとうございました!
こちらに版元スタイルノート社の非常に詳しい紹介ページがあります。そこから目次を下にコピペさせていただきました。この目次をご覧になっただけで、東南アジアの映画好き、音楽好き、舞踊好きは血が騒ぐことと思います。
「東南アジアのポピュラーカルチャー ―アイデンティティ・国家・グローバル化」
(2018年3月26日/スタイルノート/478ページ/4,000円+税)
<目次>
はじめに(福岡まどか)
序章:東南アジアのポピュラーカルチャー 〜アイデンティティ・国家・グローバル化〜(福岡まどか)
■第1部 せめぎあう価値観の中で
第1章:タイ映画・テレビドラマ・CM・MVにみる報恩の規範 〜美徳か抑圧か、「親孝行」という名のもとに〜(平松秀樹)
第2章:シンガポールにおける政府対映画製作者間の「現実主義的相互依存/対立関係」(盛田茂)
第3章:農村のポピュラー文化 〜グローバル化と伝統文化保存・復興運動のはざま〜(馬場雄司)
第4章:国民映画から遠く離れて 〜越僑監督ヴィクター・ヴーのフィルムにおけるベトナム映画の脱却と継承〜(坂川直也)
〔コラム1〕コスプレとイスラームの結びつき(ウィンダ・スチ・プラティウィ)
〔コラム2〕テレビと悪行(井上さゆり)
〔コラム3〕インドネシア映画にみられる「未開な地方」の商品化(小池誠)
〔コラム4〕タイ映画にみるお化けの描き方(津村文彦)
〔コラム5〕ポップカルチャーとしてのイレズミ(津村文彦)
〔コラム6〕イスラーム・ファッション・デザイナー(福岡正太)
〔コラム7〕タイ映画にみられる日本のイメージ(平松秀樹)
■第2部 メディアに描かれる自画像
第5章:フィリピン・インディペンデント映画の黄金時代 〜映画を通した自画像の再構築〜(鈴木勉)
第6章:インドネシア映画に描かれた宗教と結婚をめぐる葛藤(小池誠)
第7章:フィリピンのゲイ・コメディ映画に投影された家族のかたち 〜ウェン・デラマス監督の『美女と親友』を中心に〜(山本博之)
第8章:スンダ音楽の「モダン」の始まり 〜ラジオと伝統音楽〜(福岡正太)
〔コラム8〕愛国歌と西洋音楽 〜インドネシアの国民的作曲家イスマイル・マルズキ〜(福岡まどか)
〔コラム9〕ミャンマーの国立芸術学校と国立芸術文化大学(井上さゆり)
〔コラム10〕さまざまな制約と検閲がつくる物語の余白(山本博之)
〔コラム11〕インドネシア映画におけるジェンダー表現と検閲システム(福岡まどか)
〔コラム12〕映画を通して広まった音楽 〜マレーシア音楽・映画の父P・ラムリー〜(福岡まどか)
〔コラム13〕シンガポールにおける「ナショナル」なインド舞踊の発展(竹村嘉晃)
■第3部 近代化・グローバル化社会における文化実践
第9章:メディアから生まれるポピュラー音楽 〜ミャンマーの流行歌謡とレコード産業〜(井上さゆり)
第10章:インドネシア・インディーズ音楽の夜明けと成熟(金悠進)
第11章:人形は航空券を買うことができるか? 〜タイのルークテープ人形にみるブームの生成と収束〜(津村文彦)
第12章:越境するモーラム歌謡の現状 〜魅せる、聴かせる、繋がる〜(平田晶子)
第13章:「ラヤール・タンチャップ」の現在 〜変容するインドネシア野外映画上映の「場」〜(竹下愛)
〔コラム14〕東南アジア映画で増す、韓国CJグループの影響(坂川直也)
〔コラム15〕ステージからモスクへ?(金悠進)
〔コラム16〕アセアンのラーマヤナ・フェスティバル(平松秀樹)
〔コラム17〕変化する各地のカプ・ルー(馬場雄司)
〔コラム18〕スマホは複数持ち(井上さゆり)
〔コラム19〕IT化が進む農村社会(馬場雄司)
〔コラム20〕「ラテ風味」のイワン・ファルス 〜インドネシアのカリスマプロテストソングシンガーの現在〜(竹下愛)
〔現地レポート〕東南アジアのトコ・カセット(カセット店toko.kaset)訪問記(丸橋基)
あとがき(福岡正太)
執筆者紹介
タイの絵はがきより。「ラーマーヤナ」の戦いのシーン
「アセアンのラーマーヤナ・フェスティバル」というコラムが最後の方にありますが、もう20年ぐらい前、友人で映像ジャーナリストの瀬川正仁さんが取材した、ラーマーヤナ・フェスティバルの映像を見せてもらったことがあります。カンボジアからも参加している劇団があって驚いたのですが、「ラーマーヤナ」の影響は東南アジアのほぼ全域に広がっているようでした。映画以外にもいろんな文化的側面を知ることができる1冊ですので、ぜひお手元にお備え下さい。最初に挙げた版元のサイトで注文できますので、どうぞよろしく。
この本は、ホントにものすごく広い視点で東南アジアの映画、芸能等に関する論考が集めてあります。
各国の映画論は、読んでいて眼からウロコが100枚ぐらい落ちます。
でも、通勤電車の中で読むには本の大きさ(というか厚さ。片手で開いて持てない)が適していないので、ご自宅用ですね。
よしださんのサイトで、フィリピン映画に関する論考へのコメントを読むのを楽しみにしています。