アジア映画巡礼

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インドネシア映画『復讐は私にまかせて』明日から公開@イメージフォーラム

2022-08-19 | 東南アジア映画

絶賛上映中のタイ映画『プアン/友だちと呼ばせて』に続いて、インドネシア映画が明日から公開となります。昨年の東京国際映画祭では『復讐は神にまかせて』という邦題で上映されたのですが、公開題名はもっとパワフルな『復讐は私にまかせて』となりました。まずは、映画のデータとあらすじをどうぞ。と、その前にちょっとお断りを。実は今回、作品はあらためてオンライン試写で見せていただいたのですが、宣伝担当の方にご連絡するヒマがなく、画像はTIFFの時の画像を使っています。その点、悪しからずご了承下さい。なお、今回の画像の©を映画データの最後に付けておきます。

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『復讐は私にまかせて』 公式サイト 
 2021年/インドネシア・シンガポール・ドイツ/インドネシア語/115分/原題:Seperti Dendam Rindu Harus Dibayar Tuntas/英題:Vengeance Is Mine, All Others Pay Cash
 監督:エドウィン
 撮影:芦澤明子
 主演:マルティーノ・リオ、ラディア・シェリル、ラトゥ・フェリーシャ、レザ・ラハディアン、クリスティン・ハキム
 配給:JAIHO
8月20日(土)よりシアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー

Ⓒ 2021 PALARI FILMS. PHOENIX FILMS. NATASHA SIDHARTA. KANINGA PICTURES. MATCH FACTORY PRODUCTIONS GMBH. BOMBERO INTERNATIONAL GMBH. ALL RIGHTS RESERVED

物語は1989年から始まります。大統領で言えば、30年の長きにわたって政権の座についていたスハルト大統領の統治時代(1968-1998)です。舞台となるのはインドネシア、ジャワ島西部の、ジャカルタからも近い街バンドン市で、その南部にあるボジョンソアン地区は田舎の風景が広がっています。その田舎道では、2台のバイクが向き合って、お金の入った瓶をどちらが拾い上げるか、というゲームをやっていました。ビンの口には火の付いたタバコが押し込まれ、その火がお札に燃え移らないうちに拾い上げないといけません。見事ゲットしたのはアジョ・カウィル(マルティーノ・リオ)で、アジョは何かというと闘いたがる青年でした。アジョは養い親である父と2人暮らしなのですが、ずーっとEDに悩んでおり、そのはけ口が闘争心となって噴出しているようです。大ベテランの娼婦(クリスティン・ハキム)にお相手してもらっても、勃(た)たないアジョの”鳥”。アジョの次のはけ口は、レベという女性トラブルを起こしている男で、ボコボコにしてやる、と行ってみると、何と彼にはガードマンというかガードウーマンがいて、「まず私を倒してみな」とアジョにシラット(インドネシアやマレーシアの伝統武術)で挑んできます。これが縁となって、この最強娘イトゥ(ラディア・シェリル)とアジョは恋に落ちました。

イトゥはガードマンをやめて遊園地に勤め始め、デートを重ねるのですが、勃たないアジョは最後まで行かず、イトゥとの間もあやしくなってきます。そんな時アジョには、養父の知人であるゲンブル伯父という老人が、「マチャンを殺せば大金をやる」と言ってきます。断るアジョを養父は「恋してるな」と見破り、反発したアジョはマチャン殺しを引き受けるのですが、マチャンは自宅から姿を消していました。一方イトゥは、煮え切らないアジョにしびれを切らし、彼の所に訪ねてきます。「俺はアレが勃たないんだ」「それでもいいの。愛してる」と言うイトゥに、アジョの心は溶けて二人は結婚することに。ところがイトゥには、以前シラットを教えてくれた元カレのブディ(レザ・ラハディアン)がいて、まだ未練があるらしく、結婚後もいろいろちょっかいを出してきます。小さなガレージを始めたアジョとイトゥは幸せに暮らしていたのですが、やがて暗雲が垂れ込めてきます...。

結構長い時間を行き来する物語で、どこがフラッシュバックなのかわかりやすくは作られていないため、じっくりとご覧になって下さいね。途中で出てくる年号を見落とさないよう、ご注意下さい。ただ、細部がわからなくても、いろんな面で楽しめる映画で、冒頭のEDを巡るドタバタ、アジョとイトゥンの山中の採掘現場シラット対決、アジョとブディのシラット対決など、見どころが次々と出て来ます。ユーモアも盛り込まれている上、香港映画のクンフーものへのオマージュか、と思われるシーンがあったり、この人は幽霊? と思うような人が登場したりと、あれこれ詰め込んでおもちゃ箱のよう。そう言えば、エドウィン監督作品にはよく遊園地が登場するのですが、彼の映画自体がいろんな遊具がある遊園地みたいなものと言えるかも知れません。そして最後まで貫かれているのが、アジョとイトゥンの純愛で、これもまた強い印象を残してくれます。ダンドゥットやポップスもふんだんに使い、さらにはトラックの車体に描かれた絵と箴言が意味深で、そこだけもう一度見たくなるという、すごく凝った作品です。たっぷりと2時間近く、エドウィン・ワールドにハマってお楽しみ下さい。

最後に予告編を付けておきます。なお、明日初日には、撮影監督の芦澤明子さんを招いてのトークショーもありますので、ご希望の方はイメージフォーラムのサイトでご確認の上、早めにチケットをご予約下さい。『南極料理人』(2009)や『わが母の記』(2012)など数多くの日本映画の名作やテレビドラマも撮っている芦澤撮影監督、エドウィン監督とのコラボはどうだったのか、いろいろ語って下さるのでは、と思います。お楽しみに~~~。

映画『復讐は私にまかせて』予告編

 

あらら、本編&メイキングシーンがアップされてました。こちらも付けておきますねっ!

インドネシア伝統武術“シラット”を駆使したアクション 映画「復讐は私にまかせて」本編&メイキング映像

 


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