アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFF記者発表雑感 & NHKアジアフィルムフェスティバル

2011-09-24 | 映画一般

一昨日の9月21日(水)、第24回東京国際映画祭の記者発表に行って、感慨深く思ったことが3つあります。

まず一つめは、台風の来襲にもかかわらず、例年と変わらないぐらいたくさんの記者、関係者が出席していたこと。私が家を出た12時半頃は一挙に風雨が強くなった時だったので、私も外に踏み出したあと一瞬出かけるのをやめようかと迷いました。そこでとどまった方もあったと思いますが(その後の交通機関の混乱を思うと、適切な判断と言えます)、それを除いても多くの人がTIFFの発表内容をすぐ知りたいがために現場に足を運んだのでした。

これは、当日挨拶や説明をなさった高井ユニジャパン理事長、依田TIFFチェアマン(写真下)らもおっしゃっていましたが、3.11の起きた年だけに、映画祭を開催していいものかどうか、という苦悩を乗り越えての開催決定だったからでしょう。どんな映画祭になるのか、主催者側は今回の東日本大震災にどう向き合おうとしているのか、その関心の強さが多くの出席者となったのだと思うと、ちょっと感慨を覚えたのでした。

 

第二は、トヨタがメインのスポンサーを降りなかったこと。東日本大震災で、製造業がどれほど大きな打撃を受けたかは日本中が知っています。特にトヨタは自動車最大手なだけに、その直面している危機がたびたびニュースにも登場していました。夏の初めに友人と今年のTIFFについて話をした時、「トヨタは降りるかもしれないね」というのが我々の一致した見方でしたが、トヨタはふんばってくれました。

トヨタは昔から、トヨタ財団という企業メセナ組織を持っており、様々な文化助成活動をしています。詳しくはトヨタ財団のHPを見ていただきたいのですが、実は私も1992年度にトヨタ財団から助成金をいただき、アジア映画交流史の調査にアジア各国を回ったのでした。バブル崩壊後企業メセナも低調になっていますが、トヨタには今後ともぜひがんばってもらいたいものです。

第三は、第一とも重なりますが、やはり東日本大震災の影が逃れようもなくあることでした。依田チェアマンが、コンペの審査員の正式決定が遅れていることに対して、「10日間東京にとどまって審査して下さる、というスケジュールと合う方がなかなかいない。個人的な感想だが、やはり福島原発事故の影響があるように思う」というような意味のことを述べておられましたが、審査員だけでなく、ゲストの来日にも影響があるものと思われます。

立場が逆になってみると、たとえばスモッグのひどい都市に招かれて1週間滞在しないといけないとなると、私ならやはり「勘弁して」と思ってしまうでしょう。東京も放射線量の高い所がないとは言えず、それを心配するゲストが来日を断るのも仕方のないこと。ですので、反対に来てくれたゲストには、「ありがとう、来てくれて」と心から歓迎の意を表したいと思っています。さて、アジア映画にはどんなゲストが来てくれるかな? 特別オープニング作品『1911』には、ジャッキー・チェンとリー・ビンビンの来日がほぼ決定、という噂は小耳に挟んでいます。ジャッキー大哥に、4月1日には支援コンサートをありがとう、とお礼が言えるといいですね。

記者発表時のゲストは、コンペ作品『キツツキと雨』の沖田修一監督と、主演の役所広司さんでした。

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

あと、NHKアジアフィルムフェスティバルのスケジュールが出ています。こちらのサイトでどうぞ。今年の開催は10月15日(土)~19日(水)、TIFFと重ならなくてよかったです~。上映作品は次の4本です。

 『我が大草原の母』 (2010/中国/原題:額吉)
  監督:寧才(ニン・ツァイ)/主演:ナーレンホア、トゥメン・バヤル

『風の音、愛のうた』 (2010/タイ/原題Khob Khun Thee Rak Kan)
    監督:ピーラサック・サックシリ、プッティポン・サーイシーケーウ、サヨムプー・ムックディープローム/主演:パッチャイ・パックディースースック、ソムチャイ・サックディクン
   
『秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男』 (2011/インド/マラヤーラム語/原題Urumi)
    監督:サントーシュ・シヴァン/出演:プリトヴィーラージ、プラブ・デーヴァ、ジェネリア・デソウザ

  予告編

cinetama情報~ジェネリア・デソウザ(デスーザ?)は、『君は知っているのやら、知らないのやら』(2008/Jaane Tu Ya Jaane Na)で一風変わったヒロインを演じた女優さんですね。『秘剣ウルミ』の予告編を見てみると、一挙に大人になってます。ヒンディー語映画と共に、南インド諸言語の映画でも活躍している人です。マラヤーラム語映画界の人気男優、プリトヴィーラージも楽しみです~。もち、プラブ・デーヴァ(『ボンベイ』などのダンス監督と共に、俳優、監督としても有名)も。サントーシュ・シヴァン作品で歴史映画だと、いつもの蛸ダンスは踊らないよね....。

『花嫁と角砂糖』 (2011/イラン/原題:Yek Habbeh Qand)
    監督:レザ・ミルキャリミ/主演:レザ・キヤニアン、サイド・プールサミミ

このほか、「キアロスタミ監督を迎えて」というプログラムもあります。10月は本当に忙しくなりますね~。

 


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