ニューコスモセンター

青森でコスモスというバンドで歌ったり詩書いてる人の痛々しい日々の挙動

日々霞む愛を愛とか言わず目隠しして進むプレイ

2014-03-07 05:15:29 | 日々の生活
1月16日

イベントのための使用マイクを借りに中畑氏のお店へ借りに。
人狼、ポエジーの仕掛け推敲。タバコとコーヒーをだらしなく
無期限に吸い、飲む。

1月17日

大島渚「夢と希望の町」鑑賞。
「新宿泥棒日記」のキチがいさは無く、脚本に剃刀。
お話しはまあ全う、ラストがしびれた。

「レッドライト」デニーロ。
超能力者の嘘を暴く映画。デニーロは本物の超能力者なのか否か。
ラストの展開実は切なく少しビックリするんだけど、もう少し
角度ずらせたら(何かは知らないけど)名作になったかも。

1月19日

まんぶるずのイベント「吠える」の練習。インはまだて。
中畑氏と。

1月20日

林氏とペンキ塗りのバイト。ポエジー概要完成。

1月21日

「吠える」イベント打ち合わせで、英明さんと
まんぶるずでミーティング。もそこそこに、詩の話や
内緒話。

1月22日

注水ホースと洗濯機との継ぎ目のプラスチックが折れ
常に手動で注水していた洗濯機を交換。

引越しバイトの時に、捨てる洗濯機を貰い受けた。
かみさんの表情が柔らかくなったので嬉しくなった。
そんな事しか出来ない自分に舌打ちして、逃げ回る。

1月26日

「吠える」練習。

1月28日

「吠える」本番

1月29日

内装のバイト。手元。


2月2日

新日、後藤vs柴田。
柴田は色気あるカッコいいレスラーになったなあ。

秋山vs柴田戦は未だに僕の中の、ベストバウトの一つ。

ウォルナッツグローブをプレイ。
大自然の小さな家ゲーム。
土地を切り開き、農業や酪農して
季節をやりくりするゲーム。

このタイプのゲームしてはプレイ時間軽め。
お互いのやり取り感が薄く。
若干ソロプレイ的な寂しさも。

子どもらルール理解が早い。
ボドゲは子どもの情操教育に良いかも。
学校とかでワークショップやりたい。

2月4日

練習9時から。コスモス。

2月5日

サブライム千葉大三ライブ。

2月10日

本町のバーの内装のバイト。ペンキ塗ったり
なんやかんや。全然上手く出来ない。

それでもダイノック(貼り付けるシールみたいなもの)で
カウンターが見違えるほど美しく仕上がるのが好き。

やるのは僕じゃないけど。
技術で人を喜ばせられるって凄い事。

2月11日

父親が発泡スチロールわかるか?と
聖徳太子わかるか?朝生事件みたいな事を
電話口で言うので、ちょっと腹立だしくわかりますと
答えた。

店で使用する丸テーブルを何枚か木工所に取りに行ってほしい
ので、そのテーブルの間に発泡スチロールを挟めて、傷がつかない
ようにして欲しいのだと言う。
私はハイわかりましたと言い、発泡スチロールを取りに店に寄った。

しかし、言われた場所を何度見回しても、スチロールは無く
発泡スチロール分かると言った手前、それでも探し続けた。
のち、父親から電話。

発泡スチロール無いよと告げると、父親は機嫌悪そうに
今近くだからそっちに行くと。

そして不機嫌そうな父親が、ほらここにあるべや!と
手にし、私の目の前に差し出したものは、どう見ても
発泡スチロールというキーワードでは探しえないものであった。

あのプチプチのやつ。
透明のちょっと高級そうな缶クッキーの上に敷かれていたりする
透明のプチプチのロール状に巻かれた物体であったのだ。

発泡スチロール分からなかったのは、完全に父親であったのだ。
んだけど、少しブツブツ言うくらいにして、そのロールを受け取り
木工所へテーブルを取りに行った。

早くしないと気持ちが折れる。

2月13日

人狼本番。今回は安定の大成功だった。様に思う。
緩めだがポイント制を導入し、優勝者は次回無料チケット進呈。
という少しやらしい商品。

次にもっと規模大きくするとしたら、2デイズか、20人以上集めて
2卓同時進行とかか。でも今日ぐらいのやり方が一番安定するかな。

人狼イベントの一番上手くいった形かも。

この流れでボードゲームイベントもやりたいんだけど、
テーブル占拠しまくるし、酒飲めば飲むほど、複雑なゲーム
出来なくなっていく危惧。なので、酒絡めないでなんか出来たらいいのかな。

次の人狼は早ければ4月かな。6月はでかいあれがあるので、
4、5月無ければ7月になってしまうかな。

まあこのイベントは完全に趣味のイベントなんで、あせらずゆっくりと。

2月14日

コスモス練習。グルッペスタジオイン10時から。

2月16日

BARミモザライブ。

初めての場所で色々戸惑ったりもしたのだけれど、
やって意味のあるライブでした。

何となく、アウェー感アリまくりで、最初ビビッていたのですが
普段コスモスを見たこと無いお客様にも、きっと楽しく鑑賞してもらった
と思うので、今後の何かにまた繋がる一旦であれば良かったと思います。

初めてのお客さん多いかと思ったので、聴きやすい楽曲を1曲目以外は
並べてみた。

昔、あるライブハウスで知らないお客さんなかり居た年末ライブみたいの
で僕が初っ端「お前らみんなオ万個」というmc言った途端空気が固まり
終始殺伐とした居心地の悪さの中ライブ演奏したことがあったのだけど、
そうならないようにと、曲と曲の間など、本当は良い人なんですよ感を
薄く出してみたりと試みた。

久しぶりのジャンベコスモスだったんだけど、ジャンベの低音の大地が
コスモスの演奏と凄くあっていて、少し昔を思い出したりした。

打ち上げのプロレス話や、ラーメン屋や旧友の意外な繋がりやら
話が盛り上がって、結局僕火鳥だけでずっと酒飲んでた。

ぶーちゃんと黄河さんと店員さんが相手してくださって、ありがとう。
普通に飲みにも行きたいお店でした。

帰宅かみさん起きてて、午前3時だか4時。
非常に都合悪くて、朦朧とした酔いの中で、カミサンに申し訳なさそうに
色々お話する。小さな僕。

2月19日

英明さんとポエジーの打ち合わせ。

コスモスのアコーディオン弾き工藤さんと
暗黒女優高橋氏、まんぶるずと。

多分僕以外のコスモスメンバーが一番大変になると
僕は知っている。新しく覚える曲3曲、出演者、
詩ごとの音楽のオンオフの間、オープニング、休憩時間、
コスモス自体の出番など、覚えることが多々ありすぎ。

あと3回位の練習であわせなくてはいけないのだ。
まあ出来る。

イベント自体の進行脚本。コスモス用の進行表。
1ページに纏めた進行表。詩人ごとのタイミング進行表。
など纏めて、次の練習の時までに渡す。つもり。

2月24日

ゲーム会。

2月25日

10時から練習。
ギリギリ間に合うであろう。気がする。
いけるいける。きっと。

2月27日

練習インサブライム。
シンゴクラスタールと英明さんと
一回きりの練習。
自分もだけど、英明さんもドラム宮田氏も
体調が悪く。
実は僕の周り、子ども2人インフルエンザだったんだけど
黙っていた。僕はまだ掛かっていないから。
準備と確認作業にの日々。

でも楽しい。久しぶりに自分の企画イベントなので
本番上手くいった時のこと考えたら、ウットリする。

そしてすぐに失敗したときのこと考えて恐怖する。
自己啓発本なんかの、やらない後悔よりやる失敗。

なんて文章を遠く思い出して、うそ宗教臭くてもすがる。

2月27日

英明さん体調最悪そうなメール頂く。
最悪、出られなくなった場合、
英明さんの療養自宅から中継して、プロジェクターに
英明さんの姿を映し、朗読してもらう形を、うすーく
メールにたくし送信してみるも、失礼だったかもと後悔。

でも仲間だから、英明さんを崇めてレジェンドにしてしまう事は
英明さん逆に寂しいんじゃないかと、自分に言い聞かせて。

3月1日

第4回(去年のがっぽ公園をカウントすると4回目)朗読実験室
「記憶とポエジー」開催。

3月4日

ゴッドタンのキス我慢選手権とかあんなん実際リアルであれば
天国だなあと思う。完全に勃起するよね。若けりゃ(自分が)。

いや実際あったらビビッて上手く機能しないかもね。
でもドラゴンボール揃わないと無理だね。

AV女優とあんな状況になったら、好きになってしまうのかな。
それとも、性欲の言い訳で愛を語りだすんだろうか。

と答えを出さないで放置しておく事が男に都合良いんだべな。
と言うのも含めて性欲の言い訳だったならせいせいするのに
なんか愛とか一ミリでも思い留まりたがるのは男のダメな仕組み
なのかな。

セックスしたいって思いも愛の一部分だとしたら、
そこから起草していく思いも間違いではないのかな。
なんてね。

まあどうでもいい、位に止めて置いたらいいんじゃないか。

そしたら、お互いの誤魔化したい部分で上手く機能してくんじゃないか。
とか全く僕にはありえないことを、1人妄想。

そしてXビデオをクリッキングして何かから逃げる。

3月6日

深夜、かみさんが長女の体操着、コロコロで毛玉取る作業を無表情で。
5,6日間彼女は風邪で寝付していたのだ。

お金を作っても、病院に行かないので少しケンカしてしまったのだが
今は大分体調も良くなり、起きられるよになった。それでも
まだ完全ではなく。

そのコロコロでホコリ取り付くしたテープを剥がし、ゴミ箱に投げる。
しかし入らず。クシャクシャのころころテープが居間のテーブル上に
乗っかった。

僕は、かみさんが何かに切れて、物を投げたのかと
思いビビッて見上げた。本を読んでたんだけど、それが救いで
そうじゃなかったと思ってまた読み始める行為をとる。

静寂の中、カサカサと音が響く。

目線をテーブルにやると、コロコロの捨てたテーブル上のシートが
糊と折り目の抵抗で少しずつ広がっていく光景。

それが、孵化する蝶の抑揚に見えた。

雪解け間近の津軽の片田舎、闇は何処にでも無数にある。
明日いつも歩く道を少しだけ遠回りすればいい。

そこには大した面白いハプニングなどなく、徒労だけが
肉体を刻む。

連続連続。
徒労の圧倒的圧殺。

希望なんて何処にも無いよ。

それでも見上げて空を仰ぎ見る。
青い世界がひっくり返るキチ外の思い込み。

ピンホールカメラ。

ずっと一人ぼっちだったマトリックス。
希望は絶望の裏づけ。

誰かと手を繋いで絶望のなかを歩めるなら
それが希望の裏づけ。



盲人のゆめ

2014-03-07 05:10:06 | 

「盲人のゆめ」

日々視界を霞み
外套落ちつ空間ひるがえり
とうに鉄槌が肉体の曲線に閊(つか)え
こそ妄(みだ)りで不規則にあふれる

こころのこえが不完全な変調を抱く
匂いを嗅ぎ合い夜笛が鳴る
夜がこの部屋のみならば
羊水に眠る双生児に朝は来ない

ごらんこの洋服を
ごらんこのくちづけを
ごらん皮膜を持たぬまぶしい抜け穴を

夢の世界も存在することを
科学よりも先に証明するんだ
盲人の見る夢だから
果て無き宇宙に復讐するんだ

記憶とポエジー出演者詩集全部

2014-03-05 00:44:37 | 
出演者詩集「記憶とポエジー」

佐々木英明
千葉貴弥
高橋康子
木村哲夫
はぐれ猿渡辺
シンゴクラスタール


「100円ライター 」          コスモスチバ

「百円ライターは
 他人を焦がす妄想を生み出すための機械だ    
 中途半端な希望では、浅瀬で未来が濡れるだけ   
 古い記憶に漂う 羊水の気泡は   
 未来への記憶で充満しているのだ    
 それでもいい    
 触れ 引きずり出せ!     
 我に 100円ライターの光を!」

「4次元であう日」          コスモスチバ

「岐路、室内、車内、障害者用の公衆便所で愛を!
 40秒後、40時間後、400時間後、物質の幽体離脱で
 配置される4次元。また会う日まで、また会う日まで、
 また会う日まで!」





「三部作/1占いの」          コスモスチバ

アンタ死ぬね!
日記見られて死ぬから
もし多数決あるなら
隠す方に手あげるね
ミンクは身につけない方がいいね
科学者に抱かれた方がいいね
女のビーカー持ってる細い指を
口に含むことがいい
かみ切るかい?ベイベー
女はおよしよベイベー!ってね

そのビーカーは
ペニス無理に
はめ込んでもらいなさいヤーイ
いいから!
はめ込んでぶら下げて
うっとりする事にアンタの
マクガイヤーをすべて解放しなさい
細い唇が焦げるくらいに
濡れた振動が毎日に放置されることを
命令されてシンドロームになりなさい

ビーカーを
押しつけられて
濡らすことにだけに
ゴムブレインを
薄く冷たく膨張させなさい

「三部作/2未来雨の紅茶と吹き出し」 

亀に付着した泥を払い落とし
甲羅に両手を押しつけてみたけど
これは入れないんだ

海には入れることを
私は知っているのかしらん
黒いカガミ黒海面のふかくに
俺の考えた超人が
俺を無視して立ちつくしている

疲労した両足の付け根からは
血管がはみ出して冷却を吹き出しているというのに
見えない超人は闇の海面ごと
俺の背ビレをくわえうずくまる

真夜中を雷雨で刻み
残像で頭が外れていたのだ
けだるいプラレスの残骸体
吹き出すバクテリアは指の間からミニ魂吹き出す

立ちつくすポンプ供給者は
軽めの痛みと吐き気のクダを頭に這わせ
亀の中に入れない俺を
宇宙ごと傍観しているのさ

俺が俺じゃない限り
いつだって傍観してるんさ

「三部作/3まるめろ」

マルメロの丘に滑らかによこたわるん
滑らかなマルメロ
君はうつぶせで這う
永遠まで這う
背骨をちょっとだけの抵抗感こみで
はずれちゃったあ
うぐーマスカット一個!

うぐ ほうりこめ
厚ぼったい唇を貫いて
ヤニとジュエリーを 唾液化に来いよ!OK!カミン!
アーこら コイヨ あ!

バリバリ
地面と贅肉が 擦り切れてっるっちゃ!
プツプツって
神経の糸 ドッカイクノ?ドゴサイグンズヤ!
あ コラ
プツプツってお神経ちゃん ドゴサイグンズヤ!
アシュラバスターヤルド・・ああ!
アシュラバストしてまるぞ!
栗チャン着るど・・ん
ちっちぇくなってオメエのマンコサあ行ってまるど!
ズームイイン!ズームイン!ズームイン!ズームイン!

あ ここな?ここオメエノマンコナガだんずな!?
ひひ アカッポレ・・ あかっぽれえ!かっぽれ!
ちっせえにーく外!おっきにーくなか!
あコッチを見る アーナータ!
だっきゃ くっつけるくっつけなーい くっつけるくっつけな
ーい
かなずちおぼれる かなずちおぼれない
袋に入れる袋に入れないふくろからだす
袋から出す

にゅにゅにゅにゅにゅーにゅにゅにゅにゅにゅんゆんゆー
にゅにゅにゅにゅぬyぬyぬyにゅにゅにゅ!

ねえドッカイクノって あ
この寒い季節に そんな薄い甲羅で
ドッカイクノかって までって!コラ
待って
オークーレーヤースー!


「クエン酸サワー」        高橋康子

 はいもしもし。え?誰?おおさっちゃん。久しぶりー。元気?
いや、今さ、ライブ観に来てるのさ。県庁のそばの。麦藁帽子の向かいの。 
今ライブやってるからまた後でかけていい?
 いや。今日は朗読のライブ。変態くさいやつ。
 お芝居?やってるよー、まだ。青森いるの?観に来てよー。
 なに?同窓会?やんの?
 うわー、何年ぶり?21年ぶり?
 幹事?やだやだ絶対やだ。
 いやー、もう今年四十だから、おっさんになってるべなー。

 高校入って一日目。
 私は自分の選択の過ちに気づいた。
 やっべー、つまんねーとこに来たぞ。
 
 5月に入ると身体測定があった。
 その数日後、家に一本の電話。

「お前、胸囲いくつだった?」

 知ってる?胸囲ってさー、トップバストじゃないんだよ。
 だから一番大きいところじゃないし、聞いたところで仕方ないと思うよ。

「胸囲なんぼや」
「言わねぇば2年の女にふったかせるど」
「胸囲なんぼや」
「言わねぇば2年の女にふったかせるど」
「胸囲なんぼや」
「言わねぇば2年の女にふったかせるど」

 低音のぼそぼそした声。
 卑劣な男。唐突に切れる電話。

 何度か席替えをするうちに気づいた。
 とある男子がいつも私の席のすぐ近くに。
 となり。まえ。うしろ。気が付くと、そう、やつがいる。
 そうなるように仕組まれていたんだ。
 野球部のコウヘイくん。
 一回も話したことない。無口な男。
 私のことを気に入っているらしい。一目ぼれなんだってさ。
 なんで?一回も話したことないのに。
 だって。私だよ。
 読んでる本は
「恐怖!エクトプラズムの謎」
だし、
 合うわけねーべや無口な野球少年と。
 朝倉南みたいな女なら、他をあたってくれ。
 秋になって、プリント配ってるときに気づいた。
 無口なこうへいくんの喋る声は、低くて、ぼそぼそしてる。

 あーーーー!!
 お前かー!!
 
 あのエロ電話お前だろって言ってやろうかな。
 でも人違いだったらもうしわけないしな。
 どっちにしても胸の大きさくらい直接聞けよ。
 2年の女は一体いつふったきにくるんだよ。
 エロは許すけど性暴力は許さない。
 エロは許すけど性暴力は許さない。
 エロは許すけど性暴力は許さない。
 大事なことなので3回言いました。

 冬になって気が付いた。
 気が付くと野球部のマネージャーが苦々しげにこっちを見てる。
 ある日、すれ違い様に耳元で囁かれた。

 ライバル‥‥‥。
  
 ねえ、聞いて。
 私には夢があるんだ。
 ろくに働きもしないでなんかわけのわからないライブとかやっている人になりたいって思うの。
 だからこうへいくんのことは、南ちゃん、あなたがしっかりつかまえててね。
 それから何事もなく時は流れて、
 卒業まであと二週間というある日、
 私は初めてこうへいくんと話した。

 俺さ、プロ野球に入らないかって誘われたんだ。
 でも断った。
 やっぱり人生って、大事だと思うんだ。安定とか、将来とか。保証とかさ。
 だから俺、就職するよ。日本でいちばん有名な銀行に行く。
 だけど君は、夢に向かって頑張ってね。
 
 ありがとう。
 私、約束する。
 立派なプータローになるよ。
 一体何して食べてるんだか、まるで謎な人になるよ。

 それから二十何年時は流れて、
 今年もまた三月一日がやってきた。
 街には花束を持った卒業式がえりの学生たち。
 私はあれから春が来るたび、
 卒業式に遅刻してただひとり取り残される夢を見つづけてる。 
 最近、昔の友達にほめられるんだ。
 お前って、小学校のときからぜんっぜんぶれないよなー。
 すごいと思う。応援するよ。って。
 十歳の時に私が書いた、
 メイドが女主人を刺し殺すひとり芝居のことはもう誰もみな覚えてはいないと思うけど、
 私はまだここにいるよ。
 相変わらず新町をうろうろしてる。
 多分、なにひとつとして卒業できないまま死んでいくと思う。
 
 そうだ、コウヘイくん私ね、
 いつのまにか夢かなってたよ。
 気が付いたら、ろくに働きもしないでなんかわけのわからないライブとかやっている人になってた。
 そちらはお元気ですか。
 あの人とはその後どうなりましたか。
 今はどこで何をしていますか。
 この私は貴方にとって喜びですかそれとも悲しみですか。 
 私たちが人生でひと時すれ違ったことには何か意味がありましたか。
 貴方の記憶の中に私はいますか。
 お元気ですか。
 お元気ですか。
 お元気ですか。
 すいませーん、クエン酸サワーくださーい


「記憶のレディメイド」         木村哲夫

音の器、色の器、味、匂い、肌触り
盛り付けるイメージ、イメージ
自分ごとであるかのように
自分ごとでないかのように
したことがあると言ってみる
したことがないと言ってみる
妄想? 経験?
知りようもないし、知ったようにも
知らないようにも言えるだろう?
yesでもnoでも同じ事になってんだ

自分が寄り添えていければいいし
そう思えることが大事なんだろう?
ストーリーは強靭で
シュールはだらしねえ
なんでも同じにするっていう
妙に安心してんだな、旦那
たかをくくってんだ
不幸せなソクラテスは嫌なんだと
幸せな豚で居たがってる
かいらく計算の名手
パノプティコンの奥でマスをかいてる
微笑みなんかプロデュースしやがって
頭耕されちまって
生きてるうちに上手い汁吸い尽くすってよ
巧言令色少なし仁!
レディメイドの鋳型に己嵌め込んで
何かは知らねえが何か気取ってる
誰かは知らねえが誰か気取ってる
何処か知らねえが何処かにいるつもりで
何時かはしらねえが何時かに生きてるふり
誰もが誰かの真似してるよう
何もかもが何かの複製のよう
剥製のよう

何処かに、モデルがあって
レディメイドで
有史以来当然に正しかったかのように
自明性捏造
捏造機械で記憶をマッサージ
捏造機械が歴史をメッセージ

そいつが俺らを家畜にする
目を濁し、耳を塞ぎ、鼻をつまんで、舌を痺れさせ、やたらと陰茎を勃起させる
条件付き強化で、まるで賃労働のように欲情、性欲をカツアゲされちまう
制限付きのやさしさ、お茶と同情

そこで俺、弘前でぶっちぎりはんつけ
記憶の共同体から締め出されてる
記憶にしがみつくことはできない
記憶に安住も出来ない
記憶を忘れさせてもくれない
過去はくびきで、俺の燃料だ
撃ち込まれた杭、カインのしるし
日々新た、日々新たなり
日々の排除が俺を目覚めさせ、そして、

もう時間か?
ああ、じゃあまた。


「電気人形」            ハグレ猿渡辺

ビールの苦みも クエン酸の酸味も 苦みや酸味の味覚成分と
舌の細胞の受容体との交合が誘発する
およそ200μAの極めて微弱な電気的興奮として 脳に伝達される
視覚 聴覚 臭覚 味覚 触覚 五感を 震わすものたち 燦然の色彩 醜悪の音質 
腐敗の臭気 鮮烈の酸味 欲情の感触 ヒトという名の悲しき電気人形は
これらをあまねく200μAの電流に変換する

さあ 想像せよ君の脳細胞が波打ち 
電子のパルスが疾走する 細胞の果てに到達した電子は 
シナプスと激しく衝突し シナプスからケミカルを射精させる
絡み付く神経細胞の受容体とまぐわり絶頂に達し 
オルガズムの脳内連鎖が また次の脳細胞に電気的興奮を伝達する 

記憶 感情 精神 感覚  これらすべては さまざまな脳の電気的興奮に 
ヒトが名前を付けたに過ぎない 全ては電気の仕業 電気がなければ なにも感じはしない 
仄暗い無が そこにある (頭を抱えて) あ あ 電気がざわついている!
「あんたが女に生まれていればよかったのにね」
「あんたがもっと明るい子ならよかったのにね」 「あなたのことを本当は愛してないの」
「あなたとなんか出会うんじゃなかった」 「あなたの子供なんて生むんじゃなかった」
「あんたなんか あなたなんか 生まれてこなければよかったのに」

脳細胞に刻まれた 記憶という電気信号が 光速で電気伝導の連鎖を引き起こす
次々と衝突する電子たち その摩擦熱で 脳細胞が発熱する 200μAが  テレビを 
洗濯機を 冷蔵庫を パソコンを 1秒たりとも動かすことのできない たった200μAの電流が
この心臓をむんずと握り潰すのは なぜだ!
視界が霞む いるはずのない君が見える

やめてくれ 電気を止めてくれ 僕の脳細胞は その電気的興奮に 「痛み」 という名前をつけた 
すべては電気の仕業なのだ 200μAが刻んだ半透明の記憶を紡ぐ
哀れな電気人形 僕がここにいるのも 
あなたがここにいるのも 存在そのものが
 微弱電流が司る か細い幻想のビデオゲーム 知覚できないものは 
電気が興奮しないものは 存在しない

無なのだ さあ、クエン酸サワ―という名の
200μAの電気的興奮
  お待たせしました
   
 

「赤い月」                  ハグレ猿

僕は覚えてるのさ 君を覚えてるのさ  
僕は覚えてるのさ ずっと覚えてるのさ
太陽が隠れ 氷が閉ざし 熱をなくしても
季節が巡り 年老いて行き 春をなくしても
僕はずっと覚えてる
赤い月の上で 君が踊ってる 僕はそれを 
ここから眺めてる 記憶の月の上で 君が笑ってる
僕はそれを ここから眺めてる のさ
僕は覚えてるのさ 君を覚えてるのさ
僕は覚えてるのさ ずっと覚えてるのさ
僕らが見てた 星の光が 瞬きをやめても
涙が枯れて 小舟に一人 漂っていても
僕はずっと覚えてる
赤い月の上で 君が歌っている 僕はそれを こ
こから眺めてる 記憶の月の上で 君が笑ってる 僕はそれを 
ここから眺めてる 赤い月の上に 僕が昇る時 僕は君と 
ずっと踊るだろう ラララ・・・



「Seek the new road think about」        シンゴクラスタール

羽ばたいた想像力でHave a nice trip 半端ない事が起こりそうなこの世界
なんにだってなれるルール突き破った先輩 見本だらけだらけてても何も変わらねぇだけ
開け放たれたドア滑り込むtime is 何かに追われ 何か探し求めてる
いつもtell me ばかりじゃ溜まらないエネルギー 便利 快適 リスキーなテクノロジー
楽天思想も時にもろい橋のよう 注意して進まねば間違った選択 否
いつだって自然に帰り命の選択 忘れてた本当の快楽を検索
連鎖反応示す叫び声 狼のように仲間作りだして作戦 悪戦苦闘強いられてる風の民
虐げられてもいつかきっとサクセス
Seek the new road think about

進化論 shingocrastar sing a natural. plus

大自然からのvibes liveする 俺らこれからもこんなlife style!
美しい景色にうっとりとため息 making videoよりももっと
amazing 感謝忘れずに到達する名人芸 進化し続ける大人の類人猿
遊び心とマナーわきまえた気前のいい男 そんなジェントルメン 面と向かって話せるメンタル面
喋りだしたなら全てがエンターテイメント
なんだてめー 言われても動じない お前の話しも聞かせてくれよBaby
ここじゃ貧乏 金持ちも関係ねぇ だから誰でも扱いはそう丁寧 なんてね
夢のような世界で正解を求めて旅するブレーメン
表面上だけはいい人な無礼者にならねぇように

進化論 sing a song!
中身が伴わぬ馬鹿者やバビロン
手に負えぬ進化をやめろ 愚か者 刃物を持って暴れる前に考えろ
生命の源を得ろ もっとはじけろ! テロリストになる前にエコロジスト
リサイクルに協力しグリーンな時代が来る 植物を植えまくり酸素を増やす
飢えまくってる動物たちにも愛を送る
I want love I need love 皆歌っているのさ
この星を憂いてる 揺れてる心
いつかきっと気付くだろう
全てがつながって生きてるということに!




「はつ恋(海沿いの村の記憶)」            佐々木英明


 海沿いの村に祭礼の旗が打ち立てられ、道は白く乾燥していた。
ぼくはこの村の親戚の家を訪ねて行こうとしている。
親戚同士の交流をもっと深めようと長老が発案し、親睦会が開かれることになり、
ぼくは父の代理として出席しようというのだ。
休暇中の学生のような軽やかな気分で、ぼくははじめての村に足を踏み入れた。
親戚のなかには美由紀さんもいる。
かのじょが出席することはないだろうが、
あるいは手伝いで酒肴を運んだりするかもしれない。
中学を卒業して以来、かのじょに会っていない。
おなじく同級生だった幸助君がぼくの道案内役を買って出てくれた。
かれはこの村のひとだ。
 「こっちだよ」
 脇道に入り、
かれが指差した先には掃き清められた神社が小高い岡にちんまり見えている。
道は細くなり、轍のあとに雑草が生い茂っている。
潮風に晒されたうすい板張りの家が数軒、日差しを浴びて静かに発熱している。
立ち止まって手をかざしたくなるようなやわらかい発熱だ。
しばらく行って右へ折れようとする。
かまわず、ぼくがずんずん真っ直ぐ進もうとするものだから、
幸助君は戸惑ったような表情を浮かべ、それでもぼくのあとについて来る。
この道は山に通じ、やがて終息する。
幸助君はそう説明したいのだ。
やがてぼくらの行く手に現れたのは、まったく見知らぬ町の入り口だった。
それは何百キロも離れた都会の町のようだった。
ぞっとしたように顔と顔を見合わせ、ぼくらは後じさりする。
日が傾き、先程までのやわらかい熱は失われていた。
 「道を間違えちゃったようだね」
 「だからさ、こっちなんだって」
 さっき、右へ折れようとした道を幸助君の指先が探そうとしている。
 「美由紀、どうしてる」
 「村の若い衆がまとわりついてる。集会場でおれらは近づくこともできない。
ほら、ここだからね。じゃあ、おれ、帰るよ」

 しんとした古い社務所のような玄関の前に立ち、ごめんくださいと呼ばわる。
すると絣地のモンペを穿いた中年の女がひとり、胸元にお膳を掲げて出て来た。
 「どちらさんで」
 なかではもう酒がふるまわれ、和気藹々と会が進行している様子が窺える。
 「佐々木です。父の代理でやってきました」
 女は怪訝そうな顔をして振り向く。
 「佐々木さんだって」
 なかから男の酔った声が応じる。
 「どこの佐々木さんだ」
 女がそれを引き継ぐ。
 「どこの佐々木さん? えっ、あ、そう。お父さん、定蔵さんっていうんだって」
 男がのっそりと現れる。
 「知らねえな」
 そんな筈はない。
そのときぼくはふと気づく。そうか、そういうことか。
父はもう何年も前に死んでいる。
そして、ぼくは死んだ父の年齢八十四歳になっているのを忘れている。
あのときだったんだ。
ごめんくださいと、あのときぼくは玉手箱を開けてしまったんだ。
ふふん。ひかりのような笑みがこぼれた。
モンペの女も酔った男も、ぼくから見れば遥か年下、
かれらが父を知らないのも当然だった。
あれからずいぶん長い時間が過ぎてしまったのだ。
奥で打ち興じている親戚たちのさんざめきが、
遠い昔のことのように懐かしく感じられ、
ぼくは自分が何をしに来たのかも忘れたようにそこへ立ち尽くしている。
数匹の蝉が鳴いた。
時間が止まってしまったかのようだった。
 「お前、定蔵の息子か」
 長老がのっそりと現れ、立ち去ろうとしたぼくを呼び止める。
素知らぬふうにぼくはもとの年齢に戻ってゆく。
 「お前だな、うちの美由紀にラブ・レターをよこしたのは」
 「あなたは、美由紀さんのお父さん……。たしか、もう何年も前に」
 白シャツに汗が滲み、腕の血管が青く筋だって不健康そうに見える。
長老は美由紀の親爺さんだった。
かつては大きな船の漁労長をしていた。
そしていつも飲んだくれていた。
それがもとでもう何年も前に亡くなったと聞いている。
一度、家に怒鳴り込んできたことがあった。
手にぼくの手紙が握りしめられていた。
 「息子を出せ! こんな不始末をしでかしやがって」
 ぼくは剣幕に押され、かれの前に出ることができなかった。

 「儂はいまでもそれを持ってるぞ。見せようか」
 取って喰おうというのではない。
やわらかい笑みを浮かべ、懐から古ぼけた便箋を取り出した。
 「いや、あれは……」
 あれは、美由紀さんの告白に対する、ぼくの断わり状だったんだ。
幸助君の友だちに美知太郎君というのがいた。
かれが美由紀さんを好いていた。
仲を取り持ってくれないかともちかけられ、ぼくは美由紀さんに手紙を書いた。
〈わたしはあのひとのことはなんとも思っていません。
わたしが好きなのはあなたです〉。
美由紀さんからの返事はそのようなものだった。
これはまずいことになったぞ、
これはなんとしてでもぼくの胸の内に秘めておかなければいけない。
ぼくは友だちを裏切ることはできない。
だが、あの夢のような告白。
〈あなたの気持ちはうれしい。
でも、どうか美知太郎君とつきあってやってください〉。
いま、長老が取り出したぼくの手紙はそのような内容をしたためたものだった。
この手紙は、
しかし美由紀さんの気持ちをさらに燃え上がらせる結果を招いただけだった。
現にこうして、長老がこれをラブ・レターと認めているではないか。
 「長老……」
 「美由紀ならあそこにいるぞ」
 ぼくは長老の指差す方を振り返った。
すぐ隣りの家の庭が迫ってきた。
大きな松の影がぼくを捉えている。
長い庇の古い農家風の家が日を浴びていた。
身体が震えた。


「砂の物語」

 それは砂時計を返す
 きみの手のしぐさ
 花粉の波のように
うなじに波風

ジャスミンのかおり甘く
敷きつめた海
 ふたりはまた時の一部に解けて

終わりのない愛は
 ふたりのあいだに
 横たわる名前という
 はるかな距離をわすれて

遠い記憶のかなた
 きみの横顔
 瞳を閉じた黒い
睫毛にそよ風
 
遠い記憶のかなた
 きみの横顔
 どしゃぶりの雨にかすむ
 泥だらけのイメージ

遠く離れた町で
くたびれた旅にあれば
きみの横顔は
思い出に縁どられた
一枚の絵

終わりのない愛は
 ふたりのあいだに
 横たわる名前という
 はるかな距離をわすれて



「生まれたときの記憶はない」  佐々木英明

生まれたときの記憶はない
母が誰なのか
父が誰なのかも知らない 

空も海も知らない 
鳥も花も知らない 
ことばも愛も知らない 
ぼくだけが存在して 
世界は存在しない 

ロクでもない生き方をしてきた
親を蹴飛ばし、おんなを殴った
ひとを軽蔑し
自分だけを神のように扱った
嘘とごまかしだけですり抜けてきた
ことばで着飾れるときだけがしあわせだった

死んだときの記憶はない 
母はいない 
父もいない 
空も海もない
鳥は飛ばない 
花は咲かない 
ことばも愛もない 
ぼくだけが存在して 
世界は存在しない

















2014年3月1日
「第4回朗読実験室 記憶とポエジー」企画記憶詩集
お問合せ takaya3625111@gmail.com 千葉貴弥まで


記憶とポエジー終了

2014-03-03 13:44:27 | 日々の生活

「記憶とポエジー」終了

直前までアップアップのお約束、久しぶりの
コスモス企画のポエジーシリーズ最新作記憶とポエジー無事終了しました。

お客様、スタッフ、出演者の皆様、お手伝いして頂いた皆様
本当にありがとうございました。
前日までチケットの予約枚数が芳しくなかったのですが
蓋を開けてみましたら、フルハウス満員御礼となりました。

オープニング、暗転百円ライターの光で映される詩人
「百円ライターは
 他人を焦がす妄想を生み出すための機械だ    
 中途半端な希望では、浅瀬で未来が濡れるだけ   
 古い記憶に漂う 羊水の気泡は   
 未来への記憶で充満しているのだ    
 それでもいい    
 触れ 引きずり出せ!     
 我に 100円ライターの光を!」

書物に火をつけ続ける。

「岐路、室内、車内、障害者用の公衆便所で愛を!
 40秒後、40時間後、400時間後、物質の幽体離脱で
 配置される4次元。また会う日まで、また会う日まで、
 また会う日まで!」

消える炎。コスモス三部作演奏、オープニング映像投射。
幼児期にふと起きた深夜に放映されている、怖いテレビドラマの
オープニングのような、淡々とした暗い出演者紹介の映像にコスモスの
重い旋律が染み込み、過去を反芻する少し痛々しい空気感。
のつもり。

記憶とポエジー開幕します。と言って拍手。

客席から不意に鳴り響く携帯電話の着信音、あろう事か
電話の主はその電話を受け、話し出す。

 はいもしもし。え?誰?おおさっちゃん。久しぶりー。元気?
いや、今さ、ライブ観に来てるのさ。県庁のそばの。麦藁帽子の向かいの。 
今ライブやってるからまた後でかけていい?
 いや。今日は朗読のライブ。変態くさいやつ。
 お芝居?やってるよー、まだ。青森いるの?観に来てよー。
 なに?同窓会?やんの?
 うわー、何年ぶり?21年ぶり?
 幹事?やだやだ絶対やだ。
 いやー、もう今年四十だから、おっさんになってるべなー。

彼女はそのままステージへ移動し、自己の過去との距離との記憶の詩
「卒業に要せて(クエン酸サワー)」を朗読。

コスモス練習時、僕が全体のタイミングだけの指示をコスモスにしながらも
大分早口で、音あわせをしていたので、普通に間を取って朗読する高橋氏の
朗読時間の事を僕が忘れてしまっていて、もっとコスモスの音入るタイミング
を遅くするかまたは、途中で無音状態を一回作ってあげれたら、よかったかと
反省。高橋氏のテンションが高まっていく後半に連れて、コスモスの演奏は
逆に落としていき、演技の抑揚をもう少し付けさせてあげられる余裕を、
作ってあげたら良かったんじゃないかと思った。

この冒頭で、会場の空気はまさに、ああ変態くさいやつが始まっていくのだな。
という諦観と期待を同時に所持するような、変な緊張感が磁場として
出来上がったような気がします。

うーん、このペースで解説していくと大分長くなる気がするけど
いけるトコまで。

少女の思い出と現実の今との重なりが、時折背骨を抜き取られるかのように
乖離する瞬間、それでも朦朧と時には誤魔化せず(それが本来出来ていたら
この場所に居ない)、立ちたい場所へ向かおうとする傷だらけの純情。

形は言葉でしか成り立たないのに、言葉は形しか作らない。
中心が踏み潰されず、中心が無い。そもそも自己など無く、宇宙は
ただの言葉でしか存在しないのかもしれない。
自己なんて他人のうわさ話程度で簡単に形成されるものなのかも知れない。

その存在しない自分を探している、親に捨てられた旅芸人の子どもが
作り出す世界との繋がりのような朗読。

最後にコスモスの音もやみ、現実へ帰る。
すいませんーん。クエン酸サワーください。と注文して終了。

高橋氏朗読終了後、彼女のかかって来ていた電話を、譜面台にのせ
マイクを向けると、電話口からの声が会場内に響く、ノイズが強く
時折、電気が言葉の意味を通す。この声がそのまま次の朗読、木村哲夫
「ウェルメイドの記憶」へと繋がる。

彼は朗読途中から、会場入り口ドア開放し、本人登場で詩の朗読を
続けるのだが、始めの携帯電話マイク拾い朗読シーン、僕の決定箇所少し
後半にしすぎたような気がして、序盤の電話からマイクで拾うノイズ朗読
箇所が多少長くしてしまったような気がした。
木村氏は好きな詩人で、あてにしすぎてしまし、いつも無茶な要求を
してしまうので、次回あったら詩はガッツり読ませてあげたい。

巨体をゆすり、そこから放たれる骨太な言葉と言語センスが
強固で強い説得力を持つ、諦観と怒りの源泉は、その逆側から
溢れていて、実は共同体としての同調性が希望の鍵となるようにも
受け取れる。しかし僕たちは記憶を手繰り思い起こさねばならない
共同体のために何をそうじゃないものとして、排除して来たのかを。
木村氏はその弾かれた側の様にそこに立ち、ハーブを
奏で、人々を見据えているのだ。
君たちの作ってきた世界との関係性はウェルメイドの記憶では
ございませんか?と痛みと皮肉と覚束ない挙動で差し出すのだ。
彼は詩の朗読中が演技なのではない。逆なのだ。

木村氏朗読後、会場を去る。コスモスのSE的葬送音楽が流れ
会場のバーテンが話す。
「高橋さん、さっきの注文クエン酸サワーでしたよね」
会場の照明、バーカウンター内部のみになり、彼は酒を作りながら
クエン酸サワーの効能やウェルメイドなイメージ付いてポツリポツリと
話す。演技旨い。普通に見入る。

人間の思考、記憶、さえもただの電気信号に過ぎない事を
検知器的に言い回す朗読。
ずっと同じ発見を様々な言葉で繋げていくのだが、それが逆に
渡辺氏の、病的探求心とシンクロし彼特有の、どこか居心地の悪さ
や座りの悪さ、いつまでも旨くはまらないジグゾーパズルのワンピース
のような、モゾモゾとした不安を抱えた世界観が広がる。
それは射精へと向かう途中の妄想のようなモノなのかもしれないが
彼は全てを電気信号の産物だと言い切るのだから、着地点はそこに
収まらない。人間の本来持つ能力の先に完成されていく電気製品は
もしかした、人間の能力製品であり、洗濯機も、パソコンも実の所
気持ち悪いほどに有機的なものなのかも知れない。
宇宙人が人間を認識したら、全てが繋がって一つの生物だと認識するのかも。

女が彼を罵るシーンが現れ、そこが唯一の電気信号ではなかった場面
のようにも受け取れる。その場面がこの詩自体の元もとの原動力になって
いて、実は電気がざわついて刻まれた記憶の投射場面は、凄く人間的な
汲み取りをしているとも捕らえられるのだ。

最後の着地点も、少し皮肉めいた終わり方をするのを読むと
その場面の痛みや絶望感になぜか希望が生まれているような作りに
なっているのがこの詩に一種独特の切なさを与えている。

人間も何者かの電化製品だとしたら、その不自由意思からの脱却の答えに
ショートしそうな電気信号の思い出を見出す機械人形の自己投射なのかも
しれない。以前、手塚治虫氏の息子の人のロボットネタの朗読聞いたこと
あるんだけど、それの10倍良い。

渡辺氏、朗読終わり、作ったお酒を高橋氏に渡す。
「さあ、クエン酸サワ―という名の 200μAの電気的興奮  お
 待たせしました 。」
そしてそのままステージへ行き、彼のバンドの歌「赤い月」の
コスモスバージョンを歌う。
ここで初めて歌が登場し、人が詩を歌にして誰かに伝える行為を。

ここで第一部前半終了。

ここまでは、詩の朗読イベントとしての全うな流れとして。
プロローグで闇から光、ライターの火で言葉があって、高橋氏、
木村氏、渡辺氏と詩の朗読を聴いて頂く流れ。

休憩15分。コスモス生演奏で緊張感を途切れさせないように
と考えたのだが、多少音が大きすぎて、途切れなさ杉になって
しまったかもしてない。アンプ通さないで音出していれば良かったかも。

後半頭一発目シンゴクラスタール。
2曲、1曲目は即興で「記憶」がテーマのラップをコスモスと。
現代の詩の表現形態として、一番興行的にも若い人への浸透も
ラップジャンルの詩の表現手法。
普段余り生のラップを聴く機会の無いお客様らに、剥き出しの
言葉と音楽の切れ味を体感して欲しい感じで。

言葉にするとカッコいいの一言になってしまうのだけれど
その内部には様々な間やテクニックや思いが詰まっていて
何かを伝えるために必要な表現形態の心地よさを初期装備
している機能美のような美しさ。

ネクストコスモス。
ネットチャットで何処か知れぬ場所にいる
女に僕の詩を朗読させて、
その彼女とコスモスの音楽との絡み。
言葉の表現手法の成れの果ての的試み。
このプレイは何度か試したことがあるのだけど
一番上手くいってしまった。
彼女の吐露する一番古い記憶、ひな壇にある菱餅を
食べたくて、雛人形を登り、ひな壇が崩れ落ちてしまった
というエピソードを貰った瞬間。成功したような気になり
安心した。でも手法が少しひどいやり方なので、そう何度も
やらないようにする。
この辺余り詳細書くと、なんかヤバそうな気がするので割愛。

ラスト佐々木英明氏
詩人がもがき記憶との格闘をし、様々な表現を試みたなか
最後に怪物が描く情景は、遠い過去のはつ恋の記憶。

あがいた先にある言葉との格闘。
最終的に、詩人は自分の言葉の周りに記憶を配置し
過去の美しい季節を綴る、自分との問いに沿う手段のような情景。
ここで記憶めぐり詩の旅は円環する。

最後にコスモスで「砂の物語」を歌う。
その間、出演者が舞台へ集結。

エピローグ

暗転、佐々木英明が言葉を発した時にだけ光が点り
舞台が映し出される演出。言葉でしか人間の輪郭は
現れない。言葉を継ぎ足せば継ぎ足すほど、真理のような
ものに近づくかもしれないが、消してたどり着けない、
割り切れない数字のようなもの。それでも詩人は
光を手繰りポエジーを生み出す。世界の重さと釣合う
一つの詩を描こうと、肉体と時間を超越した場所へ出向き
試みる。

恐怖、恐怖、百円ライター擦る束の間だけ映し出される世界。

またいつか、密室でお会いできたら嬉しいです。
このたびはありがとうございました。