アメリカの古いフォークソングを聞くと、ホーボーという言葉が出てきますが、代表的なのが、Hobo's lullaby=邦題が「ホーボーの子守唄」とか「さすらい人の子守唄」=でしょうか?
1930年代から50年代に活躍した歌手兼作曲家の、ゴーベル・リーブスの代表曲ですが、フォークの父ウディ・ガスリーや、その息子のアーロ・ガスリーが歌っていましたし、わりと新しい所ではエミルー・ハリスが歌っていて、ほかにも多くの人が歌っているようです。
私はフェニックス・シンガーズで持っているのですが、買った時点で既に10年落ち位にもなる中古。調べると新譜で出たのは1963年、W・Bの版権を東芝が持っていた頃の物で、求めたサッポロリズムは、狸小路の南側で午後2時位からオヤジさんが一人でやっていて、今はもう無いのですが、いかにも中古レコード屋と言う感じの店でとっても懐かしいな。
それはさておき、彼らは先日亡くなったハリー・べラフォンテのバックで歌っていたそうで、しっかりした正統派コーラス、と言うかチャド・ミッチェル・トリオなどと共通する "時代のついた" 歌声で、解説の「労音の招聘で来日し大好評を博した」も当時なら…と納得。あまり好みに合わなかったけど、初めて聞いたHobo's lullabyは良い曲だったので残してあるのですが。
ホーボー(Hobo)とは、1800年代終わりからのアメリカ大不況時代に、仕事も家も無く、貨物列車に潜り込んで各地を放浪したその日暮らしの人々を指し、この曲の歌詞にも「お休み放浪者、車輪の音を子守歌にして…」と出てきますが、その放浪者を歌ったこれらの曲を、ホーボーズ・ソングと呼びます。
広いアメリカは農作物の収穫期も違うので、それに合わせて彼らは移動し、仕事を得るのですが、入植した日系人も彼らを重宝し、日系人が "方々" から人を雇っている、そこから彼らはホーボーと呼ばれるようになった、だから言葉の起源は日本語にある…とおっしゃる方がいるそうで。
逆に日本語になった英語もあるとして、「彼らはその日払いの報酬で働く=Day Menで、1日限りの労働者を "でめんとり" とか "でめんさん" と呼ぶが、あれはディ・メンから来ていて、英語由来の言葉である」とおっしゃる方もいるとか。
う~ん、確かに北海道はアメリカ式農業を導入し、父も馬を下がらせるとき「バイキ」と声をかけていたのは、バイキ=Backからだそうですが、それとはちょっと違うような…子供の頃の雑誌の「トンチ英語」に、猫は驚かせるとキャッと飛び上がるからキャットと言う…なんて笑い話が載っていましたが、それに通ずるユーモアかな?
それに、北海道ではこうした臨時のアルバイトを「出面(デメン)取り」といいますが、本州では同じ働き方を、同じく出面と書いてデズラと言ったそうですから、違うんじゃないかなぁ。
ついでに思い出したのが、アメリカの国民的な歌である「リバブリック賛歌」は、様々な替え歌でも親しまれていますが、"あれは日本の歌が伝わったもので、♪あんこ屋の娘が…と俚謡にあるのが元だ" と主張される方もいるそうで。
世の中を深読みせず能天気に生きてる私は、皆さんのまず常識を疑ってみることと、豊かな想像力とが羨ましかったりもするのですが。
以上【聞きたい365日 第352話】でした。