卒業式は終り、在校生はクラス替え。二年間一緒の仲良かった友達とも別々のクラスに。あるいは親の転勤に伴い遠くに行ってしまう友達もいることでしょう。
遠い昔、小学校4年最後のお別れ会の事でした。女の子が立ち上がり「歌を歌います」と。♪ 遠い山の向こうに あるという街 いつか馬車に乗って 行きたい街よ…そのとき初めて聞いた歌でしたが、澄んだ歌声とメロディは想い出に残っています。(歌詞はうろ覚えだったと後で知る)
私の育ったのは海と山とに挟まれた田舎町ですが、官公庁等の出先が集まっていて、親の転勤で都会から転校してくる子もおり、その子達が都会の空気を運んできてくれました。
今はセピア色の写真を見てもその少女の顔を思い出せないのですが、そんなハイカラな空気をまとい、色は白く (地元育ちは健康的な色の子が多かった…ごめん) 眩しく見え、話をした事は無かった…と思うのですが、歌の好きな子で ♪ 故郷のないツバメさん~と、よく口ずさんでいたのも思い出します。※後で美空ひばりが歌っていたと知りました。
5年生に進級しクラスは別に… 詳しく覚えていないのですが、転校して行ったかも知れません。いま思い出すとあの歌はそんなお別れのメッセージだったのかな?と。
歌詞もメロディもすぐ覚えたつもりでしたが、何という題の曲なのだろう?とずっと心の底で澱んでいて、ある時ふと若いスタッフにメロディを口ずさむと「キャンプの唄ね、も~えろよ~」でしょう?と。ん?メロディはそうだけど歌詞が違うと思いつつ、後日また思い出し「も~えろよ」で検索すると確かにあのメロディが。「遠い山の~」で検索しても歌詞は無いがやはりこのメロディなのでその時はこれで納得。現役だった昔のことです。
それが最近読んだ本の中で、キャンプで歌われる「一日(ひとひ)の終り」がフランスの古典ともボヘミア民謡とも言われ…とあるのに※何かピンと来て、また検索してみるとついにあの時の歌に出会えました。※長田 暁二:著/世界と日本の愛唱歌・抒情歌事典:ヤマハミュージックメディア:刊より
「遠くの町」の題で「ボニー・ジャックスの唄」や「童謡カラオケチャンネル」があり、詩は児童文学作家/童謡詩人の小林純一が書いたと言う事もわかって、想い出がよみがえって来て嬉しく、この曲の投稿者に感謝です。
いつか馬車に乗って行きたい町、飾り窓の店があって、ポプラ並木のあるという町…
今は山の向こうの町も車で三時間もあれば行けますが、マイカーなど夢のまた夢で、地球がもっと広かった頃、山の向こうにはどんな町が?どんな友達が?と歌に重ねたのかも。そして少女は、山の向こうの "ポプラ並木のある" 遠い町に引っ越して行ったのかな?
余談ですがこのメロディ、アメリカの「リバブリック賛歌」の Glory glory hallelujah の部分に似ていて、もしかして昔から世界は歌でつながっていた?などと空想(妄想?)するのも楽しく、後に同じメロディが作詞者不詳で前出 ♪ 星かげさやかに~で始まる「一日の終り」※や「燃えろ燃えろ」などになったようです。※同一の歌詞で「星影さやかに」という表記もありました。
原曲の表記はキャンプの唄ではフランス民謡とされ、ボニー・ジャックスの歌ではボヘミア民謡となってました。
歌が日本に入った経緯はわかりませんが、昭和30年代にはこの「遠くの町」を採用した音楽の教科書もあったそうで、少女がそのどこかで覚えたのか?家庭がみな音楽好きで覚えたのか?いまポプラ並木のある街に住んでいて、そんな事をぼんやりと想うのです。
以上、旧ブログで書いた「遠くの町~あの山の向こう」に加筆し再掲載しました。