Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

『第68期 名人戦』を振り返る

2010-05-27 00:00:01 | 将棋
既に、あの御方も書いているし、きっと、この御方は、シリーズ全般を振り返って凄く細かく分析されて、力作調で書いて下さると思うので、私は私なりに感じたことを書いてみる。そもそも将棋の事を書くことが久し振りなので、全く自信がないけれど…。

今期名人戦。

形の上では、羽生 善治 名人の圧勝(4勝0敗のストレート)で3連覇達成で幕を下ろした。

私は、羽生名人が1996年にタイトル7つを独占した当時は、将棋ファンではなかったので、羽生名人がどんな棋譜を残して、七冠を達成したのかは、知らない。「七冠を独占した」という事実だけしか、知らない。

したがって、羽生名人が持っていた7つのタイトルの一角(棋聖)を崩したのが、今期の挑戦者である三浦 弘行 八段だったことを知ったのは、恥ずかしながら、実は拙ブログが産声をあげる少し前だった。

その両者が相まみえる…。

羽生名人が「防衛はするだろうな」とぼんやりとは思っていたけれど、研究熱心の三浦八段が、どんな将棋を指すのか…ひそかに楽しみにはしていた。

業務で多忙ながらも、第2局と第4局は、本当に久しぶりだけれど、対局が終わった翌日に、並べてみた。

正直、楽しかった。こんなに棋譜並べが楽しいと思った事は、凄く久しぶりのような気がする。新鮮な気持ちになった。
と、いうことは、4局ともそれなりに「良い将棋」だった…ということだと思う。
形の上では差がついたけれど、将棋の内容自体は、私にはそんなに差がなかったと感じたからだろう。

並べてみると、確かに第2局は、羽生名人の良さばかりが目立つ「完勝」だった。
結果は伴わなかったけれど、三浦八段の40手目△2三同金は、ご自身が「やってみたかった」と語っているように、形は悪くても踏み込む姿勢は、この名人戦への「気合い」を感じた。

第4局も、リードされた局面で、三浦八段の△2三角の「勝負手」から接戦になったし、終盤で羽生名人の▲6一角(これが甘いとの指摘があったみたいですね)に対して△6二金と打ったところは、「次、羽生(名人)は、どう指すのだろう」と思いながら、20時50分からたったの10分だけれど、BS2で見ていた。

最後、後手玉は受けなしになって、三浦八段が先手玉を詰ましに行ったところも壮絶。
序盤で「簡単には負けない」形だっただけに、羽生名人が「間違える」ことに望みを託して指していったことが、並べてみて理解できる。先手玉が詰まなければ三浦八段の負けではあるけれど、あっさり投了したくはなかった…のが、三浦八段の意地だったのかもしれない。それを見ることができたのは、良かった。

しかし、羽生名人は、間違わなかった。終盤の「いやらしい攻め」(例えば▲1七桂馬。これを受ける自然なはずの△2四銀が「疑問手」とは辛いですよね。)そして、▲4四角打という「決め手」の一着が圧巻。
ここから再びチャンスをものにした以上、もう間違いません…という手の連発で、これで万事休す…。

三浦八段、残念ながら足らず(持ち駒が銀と歩3枚では、どうやっても先手玉は捕まらないことが、並べてみて入門者の私でも理解できました)…で、このシリーズに幕が下ろされた。

三浦八段は、2日制の将棋が初めてで、「封じ手」の「練習」をしたほど、気合いをこめてこのシリーズに臨んだと思うが、結果論にはなるけれど、肩に力が入りすぎていたのかもしれない。
実は私も、肩に力が入りすぎて、目の前の仕事を全力でやってしまって、後でガタッときてしまうのだが、三浦八段の姿勢に、まるでそんな私自身を見ている様な気がした。
後になって知ったが、三浦八段は、2日制の将棋が、実は「消耗戦」だった事は「想定外」だった様だ。第3局では、対局中、控室で座布団3枚を「敷布団」代わりにして、横になって休んでいた程、「体力温存」に神経を使っていたのだから、本当に「しんどい」のだろう。
まぁ、その時点で「勝負あり」という声も聞かれそうだけれど、それ程の気合いで臨まなければ戦えないのが、名人戦なのかもしれない。

第1局から第3局までは、横歩取りの将棋。

このシリーズは、「勝敗」を超えたころに、今なお「研究課題」である戦型への、あくなき探求がテーマだったようにも感じる。
そこに、三浦八段の、「愚直」ともいうべき研究成果を、名人戦という華やかな番勝負で、存分に披露しようとする意地を見た気がする。
だが、その答えはまだ出ていない様に感じ、この名人戦で3局指されたことは、「研究の余地十分」を強く印象付けたことはどうも確かなようだ。

今期の名人戦は、終わった。

羽生名人がこの先どこまで連覇するのか…が、興味の的だ。
今期防衛したことで、自身2度目の3連覇だが、このタイトルでは、それ以上の連覇記録はない。
王座位を18連覇中であるのだから、このタイトルでもしっかり連覇記録を伸ばして、大山 康晴 十五世名人、中原 誠 十六世名人の連覇記録と肩を並べ、越えていくためには、「突き抜ける」事が求められると思う。

敗れた三浦八段と共に、もう来期への挑戦が始まっている。
Comments (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする