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不動産私募ファンドに金融商品取引法の衝撃・・・・かも

2006-10-02 | 会計・株式・財務
さぁ10月!
月初とあって各種月刊誌も発刊され、結構面白いネタが入ってきました。
さながら秋の収穫祭の様相です。
その中から今回はこのネタ。
日経ビジネス06年10月2日号
「ファンド規制、不動産に激震」のご紹介と簡単なコメントを少々。

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・不動産私募ファンドの規模 約5兆円強
 不動産ファンド市場規模10兆円弱の半分を占める。

・私募ファンドは親ファンドと子ファンドの2層構造。
 -外部投資家は親ファンドに投資、
 -子ファンドは親ファンドの出資と銀行融資で物件を取得、信託受益権の形で
  物件を所有。

・金融庁は、次の点を問題視。
「親ファンドが子ファンドに出資する際、物件取得などについて
 私募ファンドを設立した不動産会社は親ファンドに助言している。
 この「助言」業務が実質的には「一任」業務ではないのか。」
   
   助言=第三者のアドバイスを受けるが、
      投資判断は助言を受けたものが行うケース、
   
   一任=投資判断を運用会社に一任するので、運用会社が投資判断を下す
      (上記の場合だと、不動産会社)

・来年夏施行される金融商品取引法(投資サービス法)では、
 信託受益権は同法の網の中に入ることになり、私募ファンドを運営する
 不動産会社は一任であれば投資運用業、
 助言ならば投資助言代理業の登録をする必要があると。


・「一任」とされて、投資運用業となるとどうなるか?
 
 ⇒投資サービス法では投資運用業者がファンドなどの運用財産間で売買することを
  禁じていることから、子ファンド間の売買に制約がかかる可能性が高いと。
  
  これまで不動産業界では私募ファンド間の信託受益権の売買が常態化。
  その売買を通じて収益を上げてきた面も。
  また私募ファンドにはファンド間で不動産を転がし、
  REITを出口に使っているとの批判も根強く残っていると。
 
  こうしたスキームが新法の下で以前のように活用できるかは不透明と。

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(コメント)

・いろんな経済誌を見ておりますと、不動産の期待利回りを示すキャップレートでは
 4%台が通常とされる中で大都市圏では2%台という、合理性でない取引が出ている
 そうです。
 となれば、地価上昇ピッチは今後鈍化していくと見るのが自然でしょう。

 それに加えて、例えば、「子ファンド間売買が自粛」といった展開になりますと、
 ・・・・・・・・一気に「ババ抜き」的な行動が広がって、
 地価はむしろ再度下げに転じるのでしょうか。
 
 この規制の行方、今後の地価に大きく影響しそうですので
 注意深くフォローしていきましょう。

・で、私が機関投資家ならば、不動産各社にヒアリングしたいですよね。
 ここ数年の、子ファンド間の売買実績(取引総額と売買差益)。
 業績をどれだけカサ上げしていたのか、それを確認したいですね。
 



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