◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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視界不良の「日本航空」を巡る霞ヶ関の対応に思う

2006-10-03 | 会計・株式・財務
秋の収穫祭、第二弾!
月刊選択10月号に日本航空に関する観測記事がありましたので
ポイントを簡単にご紹介。その後コメントを。

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<選択10月号 P.82 「破綻懸念」強まる日本航空>

■金融省検査局

今春、りそな銀行に対し、日本航空を破綻懸念先とするよう指導。
金融庁の横串ルールにより、各行とも一斉に日本航空を格下げた模様?



■国土交通省航空局

パンナム破綻時と酷似していることもあってか、
パンナムの事例をもとに破綻のシミュレーション、
具体的には「マイルの償還ラッシュ」を危惧していると。

なお、パンナムの破綻(1991年)の決定打はマイレージ負担。
同社も巨大ネットワークで圧倒的会員数を獲得。
ただ反面、無料航空券・割引航空券の負担も大きく、
リストラによる路線売却→縮小により顧客のマイル消化が一気に過熱。
無料乗客が6割を占める時期すらあったと。



■財務省

・政府系金融機関2行がいずれも2千億円超の融資をしており、連鎖破綻のおそれも。
 でも、財投資金を入れようにも、政府系金融機関縮小の流れの前ではそれもできない。
   ↓
・そこで、小泉前首相・竹中平蔵氏の退陣を待って、
「JALの延命」と「政府系金融機関統廃合の先送り」を図る模様。

■経済産業省

・財務省と共に、JALを皮切りに再チャレンジが必要な企業に政府系金融を使って
 どんどん融資を行おう!というシナリオが練られているとか・・・・。


■安倍首相は官僚の骨抜き戦術に対抗できるのか?

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(コメント)

・10月2日の安倍首相の国会答弁を見る限りでは、
 財務省の作文通りの答弁でして、まんまとやられているな・・・と感じた次第です。

 ですので、あくまで個人的な意見ですが、
 日本航空は財務省などにより救済される可能性が高いのではないか?と思います。
 この勢いでは。
 ただ、既述の思惑があることを踏まえますと、
 日本国にとって本当に良いことなのかどうかは疑わしいですけどね。


・いずれにせよ、JALだけでなく全日空においても、
 そろそろマイレージ債務に関する情報開示をすべき段階に
 来ているのではないでしょうか。

 というのも、ご存知の通り、現在両社の利益に占める、提携マイレージ販売差益
 はかなりの額になっていて大きな収益源となっていると推察されます。
 でも一方でそれは利益の先取りで、いずれ販売したマイレージについて
 債務履行しなくてはならない。

 要は経営実態を見る上で非常に重要度が高まっていると思うからです。

 航空業界担当のアナリストさんに、粘り強く開示要求してもらいたいところですね。

ではまた。

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1 コメント

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マイレージ、特典交換しようかな (温故知新)
2006-10-03 21:55:30
 dancing-ufoさんの記事を読んで、ちょっと薄ら寒くなってきました。なにかそれを裏付ける数字があるわけじゃないんですけど、ここ数年の安全性軽視やヒヤリミスの多さを考えると、結構ヤバイんじゃないかって気が素人としてしていました。

 さっさとマイレージ、特典交換しておいた方がよさそうですね。
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