今回は、旬刊経理情報10月20日号にあった税理士の根岸先生による
「電子マネーの仕組みと会計・税務」から、
私が一番関心のある「電子マネー事業者における会計処理」をご紹介。
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■電子マネーの2類型
「プリペイド型」・・・・Edy,Suicaのように利用者が予め現金を預託し、
利用に応じて電子マネー事業者が店舗に対して
その預託金から支払いを行う
「ポストペイ型」・・・・クイックペイ、スマートプラス、IDのように利用の後で
利用者に請求を行う
プリペイド型の事業者では、前払いを受けた現金の預かり金管理が必要。
ポストペイ型の事業者では、利用者個々に関する未収金管理が必要。
■前払式電子マネーの法規制
・H2年施行「前払式証票の規制等に関する法律」
前払式証票の定義、発行業者の届出・登録に関する事項、
発行保証金の供託に関する事項等が規定。
また、未使用残高が1,000万円超における二分の1の保証金の設定が求められる。
■収益の認識(プリペイド型) ~本日の目玉~
法人税法の規定にプリペイド型の電子マネーの収益計上を繰延べる規定がある
(法人税基本通達2-1-39商品引換券等の発行に係る収益の帰属時期)
ことから、収益の計上時期には、
「預託金を受け取った時」
「支払の指示を受けた時」
の2種類がある。
・本来、電子マネーは第一義的に現金に代わる支払手段として社会に流通するもので
あることから、発行の時点では収益をもたらさないことが原則となる。
しかし、この場合は、「未利用(の場合の利益)」の額についての取扱いが
煩雑となってしまう。
そのため、発行時にこれを収益と見なすことも合理的、と解釈している。
で、法人税法上、プリペイド型での収益計上時期は、原則として預り金を受領した時
であるが、次の3つを条件として、電子マネーの利用があった時にこれを
繰延べることが同法上可能となっている。
その3要件は、
・税務署長の確認
・残高の事業年度別管理
・3年以上経過の未利用残高の取り崩し
■費用の認識
・プリペイド方式では収益計上方法に2種類あるため、原価の計上についても、
収益に対応した年度に計上する必要あり(法人税法22条)
・問題は、電子マネー発行時に収益を計上する場合、その費用がまだ実現しない
(金額が未確定)ことがあることで、自己発行ではその原価率、
第三者の発行した電子マネーを利用する場合には、その手数料の比率を原価率として、
計上した収益にこれを乗じて原価を計算して見越し計上することを認めている
(法人税法基本通達2-2-11)。
この場合、毎年その原価を洗い替えることが必要。
■貸借対照表
・プリペイド型電子マネーの場合は、収益・原価について通常の発生主義と異なる
計上方法があり、その場合に経過的に発生する営業債権と債務については、
貸借対照表に適正に表示され、その計上方法については注記されることとなる。
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(コメント)
・預託金受け入れ時に収益計上ですか・・・・。
Suicaを運営しているJR東日本ではどういう処理を
しているのでしょうか?
この論文でも具体的な開示が無い、としておりましたけど。
まっ、重要性が乏しいのでしょうから致し方ないですけどね。
・ファミリーマ-トでもSuicaの取扱いが始まったのですが、
例えば、ファミマの店頭でSuicaにチャージ入金した時、
これはファミマの売上となるんでしょうか?
もしそうだとしますと、収益認識をどうするかの問題があるものの、
プリペイド型の電子マネーと提携して、じゃんじゃん自社で入金させて、
売上を嵩上げしちゃう、ってことができちゃうんでしょうか?
・・・・とまぁ、私自身、十分消化できていない論点でありますので、
また何か分かりましたら、追ってご報告したいと思います。
・あと興味深かったのは、著者のあとがき。非常に示唆に富んでおります。
-今後、ポイントサービスの会計処理との関係が重要となる。
-情報システム上としては、電子マネーとポイントとにはなんら差が無い
-企業においては、今後電子マネーとポイントとの境界がなくなることを想定した、
事業計画を立てなければならないのである。
・今回ご紹介した会計処理は税法基準。
一方、先日のネタでもご紹介しましたとおり、
ポイントサービスは国際会計基準の俎上に。
いずれ、電子マネーも会計基準化されていくのでしょうか。
密かな注目点としておきましょう。
「電子マネーの仕組みと会計・税務」から、
私が一番関心のある「電子マネー事業者における会計処理」をご紹介。
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■電子マネーの2類型
「プリペイド型」・・・・Edy,Suicaのように利用者が予め現金を預託し、
利用に応じて電子マネー事業者が店舗に対して
その預託金から支払いを行う
「ポストペイ型」・・・・クイックペイ、スマートプラス、IDのように利用の後で
利用者に請求を行う
プリペイド型の事業者では、前払いを受けた現金の預かり金管理が必要。
ポストペイ型の事業者では、利用者個々に関する未収金管理が必要。
■前払式電子マネーの法規制
・H2年施行「前払式証票の規制等に関する法律」
前払式証票の定義、発行業者の届出・登録に関する事項、
発行保証金の供託に関する事項等が規定。
また、未使用残高が1,000万円超における二分の1の保証金の設定が求められる。
■収益の認識(プリペイド型) ~本日の目玉~
法人税法の規定にプリペイド型の電子マネーの収益計上を繰延べる規定がある
(法人税基本通達2-1-39商品引換券等の発行に係る収益の帰属時期)
ことから、収益の計上時期には、
「預託金を受け取った時」
「支払の指示を受けた時」
の2種類がある。
・本来、電子マネーは第一義的に現金に代わる支払手段として社会に流通するもので
あることから、発行の時点では収益をもたらさないことが原則となる。
しかし、この場合は、「未利用(の場合の利益)」の額についての取扱いが
煩雑となってしまう。
そのため、発行時にこれを収益と見なすことも合理的、と解釈している。
で、法人税法上、プリペイド型での収益計上時期は、原則として預り金を受領した時
であるが、次の3つを条件として、電子マネーの利用があった時にこれを
繰延べることが同法上可能となっている。
その3要件は、
・税務署長の確認
・残高の事業年度別管理
・3年以上経過の未利用残高の取り崩し
■費用の認識
・プリペイド方式では収益計上方法に2種類あるため、原価の計上についても、
収益に対応した年度に計上する必要あり(法人税法22条)
・問題は、電子マネー発行時に収益を計上する場合、その費用がまだ実現しない
(金額が未確定)ことがあることで、自己発行ではその原価率、
第三者の発行した電子マネーを利用する場合には、その手数料の比率を原価率として、
計上した収益にこれを乗じて原価を計算して見越し計上することを認めている
(法人税法基本通達2-2-11)。
この場合、毎年その原価を洗い替えることが必要。
■貸借対照表
・プリペイド型電子マネーの場合は、収益・原価について通常の発生主義と異なる
計上方法があり、その場合に経過的に発生する営業債権と債務については、
貸借対照表に適正に表示され、その計上方法については注記されることとなる。
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(コメント)
・預託金受け入れ時に収益計上ですか・・・・。
Suicaを運営しているJR東日本ではどういう処理を
しているのでしょうか?
この論文でも具体的な開示が無い、としておりましたけど。
まっ、重要性が乏しいのでしょうから致し方ないですけどね。
・ファミリーマ-トでもSuicaの取扱いが始まったのですが、
例えば、ファミマの店頭でSuicaにチャージ入金した時、
これはファミマの売上となるんでしょうか?
もしそうだとしますと、収益認識をどうするかの問題があるものの、
プリペイド型の電子マネーと提携して、じゃんじゃん自社で入金させて、
売上を嵩上げしちゃう、ってことができちゃうんでしょうか?
・・・・とまぁ、私自身、十分消化できていない論点でありますので、
また何か分かりましたら、追ってご報告したいと思います。
・あと興味深かったのは、著者のあとがき。非常に示唆に富んでおります。
-今後、ポイントサービスの会計処理との関係が重要となる。
-情報システム上としては、電子マネーとポイントとにはなんら差が無い
-企業においては、今後電子マネーとポイントとの境界がなくなることを想定した、
事業計画を立てなければならないのである。
・今回ご紹介した会計処理は税法基準。
一方、先日のネタでもご紹介しましたとおり、
ポイントサービスは国際会計基準の俎上に。
いずれ、電子マネーも会計基準化されていくのでしょうか。
密かな注目点としておきましょう。