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ビックカメラ上場に思う(後編)

2006-08-09 | 会計・株式・財務
前回の続きをダラダラと。

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ネタ元は全て有価証券届出書から。


・当社池袋東口駅前店としてる物件に対して昨年12月に競売の手続き。
 当社が貸主に預託している入居保証金18..4億円の全部又は一部が回収不能。
 これは会計上の処理はしているのでしょうか?

・また、H14年8月に実施した池袋本店ビル及び本部ビルの証券化に際し、
 劣後匿名組合へ出資(14.5億円)。
 ところが、対象物件の価格下落等で本スキームが終了するH19年10月には
 当社に31.5億円の損失が発生する見込みとなり、
 H17年8月期において損失引当処理をしています。

 出資金も備忘価格1円を残し、全額毀損してしまいます。僅か3年で。
  一方でPLには匿名組合収益が営業外として計上されてますので、
 スキーム全体としては、損失も限られているってことなのでしょう。
 しかし、何だかよく分からないスキームです。

 で、このスキームが終了すると、本店ビルと本部ビルは買戻す、
 ってことなのでしょうか。
 だとすると、今回の公開公募資金はこの資金にも充当されるのでしょうか。

 以上をまとめますと、本拠地・池袋では不動産絡みの損失が目に付きますね。


・ポイント引当金の処理ですが、H16/8期に計上基準の変更をしています。
 要は、ビックカメラのポイントは2年間有効なので、期末に今後2年分のポイント使用
 による費用見積額を計上しているとの事。

 ポイント引当金残高(連結)はH16年8月末87.5億円→H17年8月末95.3億円
 →H18年2月末105.8億円と、さほど不自然な感じはしませんね。
 (cf.ヤマダ電機は業容拡大なのに同引当金残高が減少という
    不可解さなことがありましたけど)


・なお、2年分をまとめて処理したということでは、これも忘れちゃ困る。
 H16年11月の東京都労働局による捜査等がきっかけとなり、
 過去2年分の時間外労働割増賃金を33.4億円も計上しております(H17/8期)。

 家電量販店は一般的に在庫回転をいかに利かせていくかが経営上大きなポイント。
 同時に、そこに勤務する従業員の回転率もハードワーク等から高いとのこと。
 同業他社では大丈夫なのでしょうか?少し気になるところです。


・そして私が一番気になるのは、上場の目的がよくわからないこと。
 私だけなのでしょうけどね。
 297億円を調達して、設備投資に57.9億円回し、あとは借入金の返済ですか・・・・。
 財務体質を改善して、潰れにくくする、ということなら、
 それはそれで債権者からは評価できますけど。

 あくまで直感的な印象ですが、成長というよりは既に成熟局面。
 M&Aなどでどう投資家の期待をつなぎ止めていくのか・・・・ってところでは
 ないでしょうか。

以上、門外漢の素人による戯言でございました。

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