◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

中国子会社、やめチャイナ

2016-01-22 | 会計・株式・財務
先日ご紹介した分析本「会計士は見た!」で営業キャッシュフローの長期赤字が破綻のシグナルとして紹介されていた江守グループホールディングス
週刊金融財政事情1月18日号には、その当社を担当されている松嶋弁護士のコメントが掲載されておりましたが、興味深い内容でしたので、自分の備忘のためにメモを残しておきます。

------------------------------------------------------------------------
 <中国子会社の不良債権処理の問題点> 

①売掛金の不良債権のからくり

・本来の支払期限に売掛金の支払いができなくても、変更契約で支払期限を延長することで形式上は支払延滞とはならない。この変更を繰り返し、商品納入から5ヶ月~1年以内の売掛金も正常債権として処理した例もあったと。
・引当金を計上しなければ売掛金に金利相当額が上乗せされるので、売掛金が増えれば増えるほど、見かけの利益が増加する。これを商社ビジネスの極意と考えている現地に営業マンがいる。

②債務者区分・引当金の甘さ

・債務者区分は正常先、要注意先、実質破綻先の3種類で、要注意先以下であっても引当率は1%とか、実質破綻先について「要管理先で5%」という大甘な状況。国営銀行や国営企業の経営実態を明らかにしたくない中国政府の事情と関係があるともいわれる。だとすれば、社会主義経済に起因する問題でもある。

③売掛金保険、担保評価のデタラメさ

・100億円とされる鉱業権の担保は実質的には価値なし。売掛金保険では、約款の免責条項である「遅滞発生の通知」について、いつを遅滞日とするかが曖昧なので、保険会社から免責を主張される始末。

④中国子会社の監査法人と日本の親会社の監査法人の判断の齟齬

・日本の親会社は中国の子会社との連結決算においては、すべからく日本の基準に基づいて監査すべきだろう。
・当社の2014年度第2四半期の引当金は中国の監査法人の判断のままで約9億円。
 それが3ヶ月後の第3四半期には、日本の監査法人は引当金を約460億円としたが、この引当額は容易には理解しがたい。

⑤中国・欧州系の銀行の債権回収行為の厳しさ(詳細省略)

-------------------------------------------------------------------------

いやはや、お粗末な話で、④からは「お前ら、一体何を監査していたんだ!」という言外の怒りすら感じ取られます。

まぁ、同じような話が、LIXILの中国孫会社ジョウユウでも起きておりますし、中国経済の減速とも相まって「中国子会社の不正会計」はちょっとしたブームになっていくかも知れませんね。

またいきます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「不正会計」報告書作成マニ... | トップ | 瞳はサハダイヤモンド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

会計・株式・財務」カテゴリの最新記事