お疲れさまです。
前日のネタを書いたそばから大きなニュースが出ましたね。
これもセレンディピティかも。
記念に投稿、そのあとでコメントしておきます。
オチはありません。
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日経1月27日
金融庁の企業会計審議会(長官の諮問機関)は2009年度(10年3月期)から
「国際会計基準」の適用を企業に認める方針を固めた。
同基準は欧州を中心に100カ国以上で使われており、
産業界から早期の利用を求める声が出ていることに対応する。
今回は希望する企業が導入できる「選択適用」とする。
上場企業に義務づけるかどうかは金融混乱の影響を見通しにくいため、
12年をメドに最終判断する。
(引用終了)
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(コメント)
○日本基準と国際基準の主な比較
↓ ↓
新日本有限責任監査法人作成による比較表です
○コンバージェンスからついに、アドプションの流れが現実のものになりました。
私自身はこれまで何度か申しあげてきた通り、
国際会計基準の一部には「のれんの非償却」に代表される納得いかない
会計処理があることもあって、
導入には否定的なスタンスを取っておりました。
しかし、ここまで来ればもう、腹をくくらなければならない。
そう思って、関連情報を見ていたところ・・・・・
国際基準を受け入れる心構えとしては、
この方のコメントが大変参考になるのではないかと思い、
ご紹介いたします
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新日本有限責任監査法人・中島康晴先生「会計監査徒然」
2008.12.25
金融危機に直面して、企業会計を改めて考える
<該当箇所を引用します。>
3.IFRS導入の流れに思う
今回の時価会計に関する日本の緊急対応は、欧米と平仄(ひょうそく)を
合わせたものです。実はそもそもそれ以前に、欧州連合(EU)は米国で
認められていた時価会計の緩和措置を「欧州の金融機関が米国に比べて不利に
ならないように」と国際会計基準審議会(IASB)に基準改定をさせています。
つまり、自国の国益を考えて、それぞれが自国の会計基準の改定を行っている
わけです。各国の会計ルールに違いがあるということは実は便利なことなのかも
しれません。
これからはそうはいきません。アドプションが射程に入ってきているからです。
世界的に統一化された会計基準(IFRS)を政策的にあるいは政治的に改定すること
は、さすがに難しいのではないでしょうか。
ましてや、自国の国益のために世界統一基準を改定するなどという横暴なことが
許されるはずがありません。
やはり、アドプション後は、何が正しいのかという会計の理論的整合性をもって
国際的に議論することとなるのではないでしょうか。
ということは、アドプション後の世界は正しいものを追求していく者にとっては
実は大きなチャンスの場でもあるのではないでしょうか。
同じ土俵に立てるということは、つらいことではなく幸いなことなのです。
今こそ日本がすべきこと、それはIFRSのアドプションに色めき立ち、
それ自体を合目的化して追随を果たすことのみにあくせくする事では
ないはずです。
われわれは、もはやアドプションの先を見据える必要があるのでは
ないでしょうか。アドプションの向こうには、プレゼンス(日本の存在感の強化)
があり、リーダーシップ(日本の主導権)があるべきではないでしょうか。
世界統一の会計をリードしていく心意気をわれわれ日本の会計専門家は
今こそ持つべきではないでしょうか。
それがわれわれができる日本企業を救う近道でもあるとも考えます。
(引用終わり)
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私も会計人のはしくれですが、読んでいて何かこう気持ちを奮い立たせてくれる
ような非常に前向きなコメントです。
だってそうでしょう?「日本企業を救う」という発想、普通出てきませんから。
オバマ顔負け。多くの会計人に読んでもらいたい一文だと思います。
最後に・・・・
同じコラムの中で中島先生は、
将来予測を取り込んだ会計(税効果会計、固定資産の減損会計、のれんの減損
会計、退職給付会計、子会社株式の減損評価、工事損失引当金など)が
増大しているのに、現状では景気下振れの深度と時間的長さがまったく予測
できない状況にある。
「3月決算を控えて今から息を飲むような緊張感」があるとしております。
財務情報利用者の私にも、その緊張感が伝わってくるようです。
巨額赤字などでゴーイングコンサーン注記も激増しそうですしね。
冷静に考えてみますと、やはりIFRSよりも前にまずは3月決算をどう乗り切るか。
これが難関になってきそうですね。ハイ。
ではまた。
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