いつもご覧下さり、誠に有難うございます。
先週金曜日の早朝に書いた「シャープ偶発債務」は登録しているblogosさんにも久々に取り上げて頂きました。アクセスIPは1,200に達しまして、非常に有難いことです。
さて、2年近いブランクから再開して、ほぼ毎日記事を更新しておりますが、我ながら良くネタが続くと感心しております。ちなみに私のネタ元をざっと挙げてみますと、読んで面白かった本、興味深い財務系ニュース、そして謎めいた適時開示情報といったところでしょうか。で、本日のネタは3番目にあたります。
12月決算の綜合物流企業・SBSホールディングスが2ヶ月かけてようやく決算を発表しました。併せてドサッと下記のとおり関連資料も提出。どうやら、多額の投資をしたばかりの海外子会社がやらかしてしまったようです。
・決算短信
・海外連結子会社にかかる特別損失の計上及び 当該連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
・業績予想下方修正リリース
・決算発表遅延理由
・決算説明会資料
2014年7月に、当社グループは、インドに本社を置きインド、中国、香港、韓国、シンガポールなどに拠点を展開する航空・海上フォワーダー「STPL」社の株式を70.37%取得。アジア市場の開拓など海外事業基盤の構築などが期待されたものの、直後の中国経済の成長鈍化、新興国経済の低迷などによる国際貨物量の減少、フォワーダー間の価格競争激化など、厳しい経営環境に直面。
そのような中、当連結会計年度から取引を開始した大口取引に係る債権の回収が2015年10月以降遅延し始めるようになった。
当初、当社はSTPLより、回収計画を見直したことで2016年1月以降にずれ込むものの最終的な債権回収には問題がないとの説明を受けていた。しかしながら、その後の債権回収が計画通りに進んでいないことから更なる調査をしたところ、取引内容が、政情不安が続く西アフリカや中東向けなどの三国間貿易にかかるものであること等から対象債権の回収は極めて困難であると判断せざるを得ない状況となった。
本件は、STPL グループが規模の拡大を急ぐあまり、大口の取引にも傾注していったこと等に起因するものである、とのこと。
これを受けて当社が行った処理は以下の通り(当社説明会資料より抜粋)。
■Transpole社にかかる特別損失
・大口取引債権に回収懸念
・決算発表を延期し調査を継続
・債権の回収は極めて困難と判断
・投資残高の全額を損失処理
債権の回収不能・のれんの一時償却・貸付金の回収困難・その他
↓
Transpole社にかかる特別損失計上額 ▲119.7億円
↓
当期純損益への影響額▲77.2億円
■Transpole社の株式譲渡
(1)株式譲渡の理由
・債権回収困難 ⇒ 株主資本の毀損、資金繰り悪化
・資金を必要とするフォワーダービジネスに致命傷
・世界経済情勢の悪化で市場環境はさらに厳しく
・追加支援による損失拡大可能性を深慮
・当社の力では再建が難しいと判断
(2)Transpole社の経営から完全に撤退
・同社に対する投資残高全額を損失処理
・同社株式を全て第三者へ売却
・追加の損失発生を阻止
結果論ですが、ちょっとお粗末な顛末ですよね。それでも、本業がしっかりしていることと、それなりに財務体力があること、それに損失処理が早かったことで事なきを得たと思います。あとは経営責任ですかね・・・・。
ちなみに、セグメント情報によりますと、この会社の最大の収益の柱は、実は不動産事業(賃貸事業+開発事業)。不動産屋が物流事業をやっているとも言えます。ただし、開発した物流施設をファンドや機関投資家に売却(流動化)する開発事業も含まれております。金利の追い風などもあり、当面は良いのでしょうが、中期的には留意が必要な事業かと。
それにしても、投資してから損失計上するまでの早いこと早いこと。
そのスピードをぜひ物流事業で発揮して欲しいものです。
そして、海外大型投資ってのはやはり鬼門ですね。
警戒モード上げておきましょう。
おあとがよろしいようで。
先週金曜日の早朝に書いた「シャープ偶発債務」は登録しているblogosさんにも久々に取り上げて頂きました。アクセスIPは1,200に達しまして、非常に有難いことです。
さて、2年近いブランクから再開して、ほぼ毎日記事を更新しておりますが、我ながら良くネタが続くと感心しております。ちなみに私のネタ元をざっと挙げてみますと、読んで面白かった本、興味深い財務系ニュース、そして謎めいた適時開示情報といったところでしょうか。で、本日のネタは3番目にあたります。
12月決算の綜合物流企業・SBSホールディングスが2ヶ月かけてようやく決算を発表しました。併せてドサッと下記のとおり関連資料も提出。どうやら、多額の投資をしたばかりの海外子会社がやらかしてしまったようです。
・決算短信
・海外連結子会社にかかる特別損失の計上及び 当該連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
・業績予想下方修正リリース
・決算発表遅延理由
・決算説明会資料
2014年7月に、当社グループは、インドに本社を置きインド、中国、香港、韓国、シンガポールなどに拠点を展開する航空・海上フォワーダー「STPL」社の株式を70.37%取得。アジア市場の開拓など海外事業基盤の構築などが期待されたものの、直後の中国経済の成長鈍化、新興国経済の低迷などによる国際貨物量の減少、フォワーダー間の価格競争激化など、厳しい経営環境に直面。
そのような中、当連結会計年度から取引を開始した大口取引に係る債権の回収が2015年10月以降遅延し始めるようになった。
当初、当社はSTPLより、回収計画を見直したことで2016年1月以降にずれ込むものの最終的な債権回収には問題がないとの説明を受けていた。しかしながら、その後の債権回収が計画通りに進んでいないことから更なる調査をしたところ、取引内容が、政情不安が続く西アフリカや中東向けなどの三国間貿易にかかるものであること等から対象債権の回収は極めて困難であると判断せざるを得ない状況となった。
本件は、STPL グループが規模の拡大を急ぐあまり、大口の取引にも傾注していったこと等に起因するものである、とのこと。
これを受けて当社が行った処理は以下の通り(当社説明会資料より抜粋)。
■Transpole社にかかる特別損失
・大口取引債権に回収懸念
・決算発表を延期し調査を継続
・債権の回収は極めて困難と判断
・投資残高の全額を損失処理
債権の回収不能・のれんの一時償却・貸付金の回収困難・その他
↓
Transpole社にかかる特別損失計上額 ▲119.7億円
↓
当期純損益への影響額▲77.2億円
■Transpole社の株式譲渡
(1)株式譲渡の理由
・債権回収困難 ⇒ 株主資本の毀損、資金繰り悪化
・資金を必要とするフォワーダービジネスに致命傷
・世界経済情勢の悪化で市場環境はさらに厳しく
・追加支援による損失拡大可能性を深慮
・当社の力では再建が難しいと判断
(2)Transpole社の経営から完全に撤退
・同社に対する投資残高全額を損失処理
・同社株式を全て第三者へ売却
・追加の損失発生を阻止
結果論ですが、ちょっとお粗末な顛末ですよね。それでも、本業がしっかりしていることと、それなりに財務体力があること、それに損失処理が早かったことで事なきを得たと思います。あとは経営責任ですかね・・・・。
ちなみに、セグメント情報によりますと、この会社の最大の収益の柱は、実は不動産事業(賃貸事業+開発事業)。不動産屋が物流事業をやっているとも言えます。ただし、開発した物流施設をファンドや機関投資家に売却(流動化)する開発事業も含まれております。金利の追い風などもあり、当面は良いのでしょうが、中期的には留意が必要な事業かと。
それにしても、投資してから損失計上するまでの早いこと早いこと。
そのスピードをぜひ物流事業で発揮して欲しいものです。
そして、海外大型投資ってのはやはり鬼門ですね。
警戒モード上げておきましょう。
おあとがよろしいようで。