4日の日経朝刊に「東芝、赤字6000億円超今期最終、リストラ費用膨らむ」との記事がありました。以下、抜粋します。
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東芝の2016年3月期の連結最終赤字は6000億円超に膨らむ見通しだ。昨年12月に公表した5500億円の赤字予想から一段と拡大する。送変電システムなど電力・社会インフラ事業の採算悪化に加え、半導体や家電といった不振事業でリストラ費用が増える。会計不祥事で構造改革の遅れと収益力の衰えを露呈しており、経営再建に向けウミを出し切る。
最終赤字は前期の378億円から2期連続となる。4日に15年4~12月期決算発表とあわせて通期予想を下方修正する。
懸案の米原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)は今回は減損処理の必要なしと判断したようだ。
電力・社会インフラは部門売上高が2兆円に上り、フラッシュメモリーの電子デバイスなどと並ぶ中核事業。部門赤字300億円の見通しだが、一部工事のコスト見積もり直しや追加費用の発生で赤字額が大きくなる。
半導体ではフラッシュメモリー以外の製品の在庫で損失が出る。パソコンやテレビなどのリストラ費用も2300億円からさらに増えそうだ。
連結営業赤字は4000億円を超える(会社予想は3400億円)とみられる。東芝はリストラ資金を確保するため医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却を進めている。業績予想に売却益は織り込んでいない。
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ハァ?ウミを出し切ると言っておきながら、今回もWH関係の減損はしないんですね。1月24日の毎日新聞によれば、多少は損を出す方向にあったのに。
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15年9月末時点で、東芝のWH関連ののれんは3441億円ある。WHは12〜13年度に原発の新規建設事業などの収益性が低下したとして、計約13.2億ドル(現在の為替レートで1600億円弱)の損失を計上した。しかし、親会社である東芝の連結決算では既存原発の保守点検や燃料など他事業も含めると原発事業は「堅調」と判断し、損失計上を見送った。
こうした対応について、市場などでは「子会社で多額の損失処理をしたのに、親会社は別の対応をするのは不適切」との批判が出ていた。
関係者は「損失処理の手立ては考えている。あまり時間はかけられない」と指摘。損失計上した場合の金額は、WHの損失計上(1600億円弱)と同規模との見方もある。
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邪推の域を出ませんが、結局、東芝メディカルシステムズの売却益が確定していない中で、これ以上の財務の毀損につながるWH関係の減損を出すワケにはいかず、今回も「原発全体は大丈夫!」という当初の判断を押し通したのではないかと。確かにルール上は許容範囲なのでしょうが、監査法人も含めてここまでシラを切るとなると怒りを通り越して、泣けてきます。
月刊企業会計に「緊急インタビュー・会計監査クライシス」という記事があり、大和総研の吉井一洋氏が次のようなことを言っておりました。
「(アナリストは気づいているのに、会計監査人が見抜けない背景として)、
アナリストは会社が言っていることにどの程度実現可能性があるのか、自らの業界知識や経験を踏まえて判断していますが、会計監査人の場合は、私の想像ですが、数字が正しいのかどうか、その数字がでてくるうえでのプロセスが適切かを確認するのが主目的だと思われます。たとえ同等のスキルがあっても目線が違うことによって、アナリストが見通していたところを会計監査人が判断に織り込めないということがあるかも知れません。」
「会計上の見積りの部分については、その前提をしっかり開示していただいて、利用者側がその適否を判断できるようにしてもらうことが非常に大事だと思います。」
後段は全く同感です。会計監査が期待できない以上、見積もりの前提を詳細に開示してもらうしかない。投資家から「注記の充実」、それができないのなら「決算補足資料での詳細開示」を根気強く訴えていく必要があると思います。
のれんは、財務の火薬庫、不正の温床となりうる危険な資産。
資源価格等の下落から、今度の決算は「減損」が大きなキーワードになってきます。一昨年、KPMGが「巨額ののれん減損はなぜ起きたか、どう防ぐか」というニュースリリースを出しております。日本基準は米国基準やIFRSと比べて減損損失は出にくいなど、なかなか渋い分析もされており、よくまとまっていると思います。知識を深めて、来るべき「暴風雨」に備えましょう。
ご参考:これまでの経緯がコンパクトにまとまっております↓。
でもこの先も紆余曲折が予想され、「続編」が出そう。
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東芝の2016年3月期の連結最終赤字は6000億円超に膨らむ見通しだ。昨年12月に公表した5500億円の赤字予想から一段と拡大する。送変電システムなど電力・社会インフラ事業の採算悪化に加え、半導体や家電といった不振事業でリストラ費用が増える。会計不祥事で構造改革の遅れと収益力の衰えを露呈しており、経営再建に向けウミを出し切る。
最終赤字は前期の378億円から2期連続となる。4日に15年4~12月期決算発表とあわせて通期予想を下方修正する。
懸案の米原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)は今回は減損処理の必要なしと判断したようだ。
電力・社会インフラは部門売上高が2兆円に上り、フラッシュメモリーの電子デバイスなどと並ぶ中核事業。部門赤字300億円の見通しだが、一部工事のコスト見積もり直しや追加費用の発生で赤字額が大きくなる。
半導体ではフラッシュメモリー以外の製品の在庫で損失が出る。パソコンやテレビなどのリストラ費用も2300億円からさらに増えそうだ。
連結営業赤字は4000億円を超える(会社予想は3400億円)とみられる。東芝はリストラ資金を確保するため医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却を進めている。業績予想に売却益は織り込んでいない。
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ハァ?ウミを出し切ると言っておきながら、今回もWH関係の減損はしないんですね。1月24日の毎日新聞によれば、多少は損を出す方向にあったのに。
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15年9月末時点で、東芝のWH関連ののれんは3441億円ある。WHは12〜13年度に原発の新規建設事業などの収益性が低下したとして、計約13.2億ドル(現在の為替レートで1600億円弱)の損失を計上した。しかし、親会社である東芝の連結決算では既存原発の保守点検や燃料など他事業も含めると原発事業は「堅調」と判断し、損失計上を見送った。
こうした対応について、市場などでは「子会社で多額の損失処理をしたのに、親会社は別の対応をするのは不適切」との批判が出ていた。
関係者は「損失処理の手立ては考えている。あまり時間はかけられない」と指摘。損失計上した場合の金額は、WHの損失計上(1600億円弱)と同規模との見方もある。
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邪推の域を出ませんが、結局、東芝メディカルシステムズの売却益が確定していない中で、これ以上の財務の毀損につながるWH関係の減損を出すワケにはいかず、今回も「原発全体は大丈夫!」という当初の判断を押し通したのではないかと。確かにルール上は許容範囲なのでしょうが、監査法人も含めてここまでシラを切るとなると怒りを通り越して、泣けてきます。
月刊企業会計に「緊急インタビュー・会計監査クライシス」という記事があり、大和総研の吉井一洋氏が次のようなことを言っておりました。
「(アナリストは気づいているのに、会計監査人が見抜けない背景として)、
アナリストは会社が言っていることにどの程度実現可能性があるのか、自らの業界知識や経験を踏まえて判断していますが、会計監査人の場合は、私の想像ですが、数字が正しいのかどうか、その数字がでてくるうえでのプロセスが適切かを確認するのが主目的だと思われます。たとえ同等のスキルがあっても目線が違うことによって、アナリストが見通していたところを会計監査人が判断に織り込めないということがあるかも知れません。」
「会計上の見積りの部分については、その前提をしっかり開示していただいて、利用者側がその適否を判断できるようにしてもらうことが非常に大事だと思います。」
後段は全く同感です。会計監査が期待できない以上、見積もりの前提を詳細に開示してもらうしかない。投資家から「注記の充実」、それができないのなら「決算補足資料での詳細開示」を根気強く訴えていく必要があると思います。
のれんは、財務の火薬庫、不正の温床となりうる危険な資産。
資源価格等の下落から、今度の決算は「減損」が大きなキーワードになってきます。一昨年、KPMGが「巨額ののれん減損はなぜ起きたか、どう防ぐか」というニュースリリースを出しております。日本基準は米国基準やIFRSと比べて減損損失は出にくいなど、なかなか渋い分析もされており、よくまとまっていると思います。知識を深めて、来るべき「暴風雨」に備えましょう。
ご参考:これまでの経緯がコンパクトにまとまっております↓。
でもこの先も紆余曲折が予想され、「続編」が出そう。
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今沢 真 | |
毎日新聞出版 |