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企業審査の復権

2008-11-17 | 会計・株式・財務
お疲れ様です。


ブックオフでこの本をゲット。
金融・投資関係者にとって企業調査の基本書とも言える一冊。
版を重ねて第4版。

今年7月に出た本でして、そろそろ買おうと思っていただけに
いいタイミングでした。

企業審査ハンドブック 第4版

日本経済新聞出版社

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第4版のまえがきを見てみますと
こんなことが書いてありました。

「従来の経験が生かせない事象が頻発し、表面的には先の読めない時代
と考えられても、経済事象の原理原則部分は不変のままであり、
結局のところ高く明確な企業理念と経営目標のもと、
正当な経営を基本通り着実に遂行する企業が生き残っている」と。

・・・・見事なまでに言い切っております。
(私も欲しいです。言い切るだけの根拠と自信を。)


それでは
「高く明確な企業理念と経営目標のもと、
 正当な経営を基本通り着実に遂行する企業」
とは一体何なのか。

これを見極めることが、まさに企業審査ということなのでしょうし、
ヒントがこの本に散りばめられている、ってことなのでしょう
(そうでなければ困る。)


まっ、審査する側におかれては基本に立ち戻る意味で、
   審査される立場の方々におかれましては、相手の手の内を知る意味で
有益な一冊かと思われます。



ついでながら、
「今日、企業審査がより一層重要視される理由」が3つ挙げられておりました
のでご紹介。


何だと思いますか?

順に挙げると・・・・

①日本経済の基盤を担う中堅中小企業の本格的な再生は、
 いまだ十分ではないこと。

②格付けを中心とする計量評価システムの定着により、
 企業内容の把握が十分になされていなくても
 融資業務を一見無難に進めることができる状況になったため、
 従来わが国において審査の主体的な担い手であった金融機関において
 審査能力の著しい低下が見られること。

③多くの企業において、内部統制など管理体制が強化されているが、
 PDCAの円滑な遂行という意味での管理レベルの向上に結びつかず、
 むしろ形式さえ満たせばこと足りるという受け身の方向に進み、
 本来の目的とは反対に組織・経営者・従業員の質的劣化が目立ち始め、
 経営の弱体化を招いていること。


 ①はそうかもと思いますが、
 
 ②は「そんなに著しく低下したんですか?」と意外感アリ。
 もちろん、証券化商品の審査はそうだったかも知れませんが、
 コーポレートも、ですかね?
 
 また、③もそうかも知れないが、そこまで言いますかね・・・・・・。



 ・・・・・・・と思って、ハタと気付きました。

 審査で大事なことは、「性悪説」で物事を見よ!ってことではないか?

 ・・・・・それが言いたかったのかも知れませんね。




さて審査と言えば・・・・・、

ヴェリタス最新号6面に三菱東京UFJ銀行の話がありました。
今まで行員が必死に営業しても借りてくれなかったのに、
金融危機を受けて社債やCPの発行ができなくなり、
ローンに切り替える例が増えており、
企業から千億円単位の融資の申込みが相次いでいる・・・・とのこと。


私の知人で金融機関の審査マンも、先日、
「リストラでジワジワ要員が減ったところに、借入申込が急激に増えて大変だ」
と愚痴をこぼしていたっけ。

彼にこの本を陣中見舞いとして送ってやりますかな。
・・・・そっか、読むヒマも無いか・・・・。



とにもかくにも、足元に限っては
「企業融資→企業審査、復権」と言っていいかも。

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