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いよいよ実現? 株主総会の「7月開催」

2016-03-03 | 会計・株式・財務
2日に出席した会計士協会の研修で、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループによる最終報告が今月に発表される予定だ、ということを聞きました。

そこで何が議論されているかを知るには、議論のベクトルを作り出している事務局の作成資料をご覧頂ければ大略理解できると思います。
要するに、開示資料のムダをやめて、経理部門の負担を減らし、株主・投資家に効果的かつ効率的に情報提供する時間に充てる。そして企業の中長期的な成長を促すというものでして、実務上に、かなりインパクトを与えそうです。

その中でも、私が注目しているのは「株主総会の7月開催」がいよいよ実現なるかということ。

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○ 株主総会の7月開催(3月決算会社の場合)を選択した場合の開示の取扱い

株主総会の開催時期については、株主との建設的な対話の充実や、そのための正確な情報提供等の観点も勘案しつつ、企業の判断で決定すべきであるが、株主総会の7月開催には、総会議案の十分な検討時間の確保を通じた対話の促進や事業報告を有価証券報告書と同時期に開示できることによる監査時間の十分な確保、総会開催日の集中緩和等に繋がりうるといったメリットが存在する。

株主総会の7月開催を選択した場合、現在、有価証券報告書及び事業報告では、決算日を基準として「大株主の状況」を記載することとされており、総会開催日を7月とすることに伴い議決権行使基準日が決算日と別の日となると、株主の確定を2回行う必要が生じ、事務負担が増加するおそれが指摘されている。総会の日程によっては議決権行使基準日が決算日と別の日となりうることからすれば、例えば、有価証券報告書と事業報告における当該項目の記載時点を議決権行使基準日としてはどうか。
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そもそも株主総会の基準日を決算期末に設定しなければならないとの法的規制はないです。例えば基準日を4月末にした場合、株主総会を開く時期は7月末までずらせる。仮に6月の株主総会で定款を変更すれば、来年から7月以降の開催が可能となります。

一方で、決算短信については、同資料において、投資者の投資判断に重要な情報を迅速かつ公平に提供するものであることに着目し『情報についての速報性が要求され、公表前の監査は不要であることを明確にすると記載されており、「監査時間の十分な確保」の実効性が担保されそうです。

別途、1Q・3Q開示も収束させるという方針も示唆しており、開示の日程・手続がいよいよ欧米に近づいていくのでしょうか。
私自身は、一連の動きの出発点となっている「伊藤レポート」は無用に株主圧力を高める点で好きではありませんが、上記の動きに関しては、開示制度面で行き過ぎた「短期業績志向」が大きく修正されうることと、監査時間の十分な確保が期待される点では、評価したいと思いますけどね。

とりあえず3月に発表されるWG最終報告に注目しましょうか。

またいきます。



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