◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

シャープの公募増資に思う

2013-09-30 | 会計・株式・財務
すいません!この半年というもの、人気ドラマ「あまちゃん」に加え、「半沢直樹」にもハマッてしまいブログの更新が全くできておりませんでした。いわゆる「あまロス」を克服すべく、ブログを再開することに致しました(でも理由になってないですね・・・・)。


復帰第1回は「シャープ」。
週刊ダイタモンドの最新号に「シャープ、三菱自動車 公募増資ラッシュの玉石混交」という記事がありました。
詳細は実物で確認頂きたいのですが、ざっくり言うと、こんな感じ。

-------------------------------------------------------------------------------

シャープが発表した約1,500億円分の公募増資が、迫り来る危機を何とか回避するための窮余の策と見切られているとか

その背景として
・未認識の年金債務を負債計上すると2014年3月期に債務超過に陥る可能性があった。
・増資資金のうち500億円をディスプレイデバイス事業に充てるとしているが、目玉としているIGZOの販売は計画下振れ。
・第2四半期こそ営業黒字300億円を確保したが、通期の業績予想を据え置いた。
 →「利益を前倒し計上しているのでは?」との疑惑すら市場で囁かれていると。


-------------------------------------------------------------------------------


上記指摘のうち一番最後(業績)については、私も少々気になることがあります。
2014年3月期第1四半期決算短信の損益計算書。

営業外費用の「その他」が148億円もあります。営業利益30億円、支払利息43億円をも大きく上回る水準。
大いに違和感があります。


前期有価証券報告書にこの理由のヒントがあるのではと探してみましたが、比較的細かい開示のある単体の損益計算書でさえ、458億円もの巨額の「その他」営業外費用の理由が記されておりません。
当然、機関投資家等の皆さんはこの内訳について確認された上で投資判断をされているのでしょうから良いのでしょうけれど、個人投資家にとってはさっぱりわかりません。

今期も1Qで148億円も発生しているので、単純計算で4倍の500億円相当の営業外費用発生が見込まれます。
かなり多額なのに営業外費用の100分の10を上回っていないとして細分化された勘定科目での表示がなされておりません。
それでもどのような性格の費用なのかはIR資料等で補足すべきはないでしょうか。

申し訳ないですが、オリンパスの巨額ののれんを観た時の印象が、何故か、思い出されました。
邪推の域を出ませんけれど、営業利益を良く見せるために、一部のコストを営業外「その他」に寄せていると言われても仕方がないかと。

「わからないものには投資をするな」と言われますが(→当たり前ですけれど)。
不詳勘定が大きい会社にも投資しない方がいいかも知れませんね。


目のつけどころ、シャープでしょ?

おそまつ。

なかのひと

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マクドナルドの2012年12月期... | トップ | セブン&アイHD もう1つ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お帰りなさい (ktbep)
2013-10-03 13:37:25
待ってました。オリンパスの増資もシャープにお願いします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

会計・株式・財務」カテゴリの最新記事