◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

資本主義2.0とマックス・ウェーバー

2008-08-25 | 会計・株式・財務
資本主義2.0 宗教と経済が融合する時代
水野 和夫,島田 裕巳
講談社

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本日はまずこの本。
最近、都内のブックオフ店頭でよく見るようになりました。余り売れていないのでしょう。東洋経済の上半期経済書ランキングにもなかったような。それにベタな表紙だし・・・・。

内容は、経済を宗教の観点も交えながら2人の専門家が説明するもの。
表題にある「資本主義2.0」とは、いわゆるIT化とグローバル化が進み、国家の溶解とともに既存の国際政治経済の枠組みでは制御し切れなくなり暴走を始めた1995年以降の資本主義の有り様を指す島田裕己氏の造語。

水野氏のいう「日本の転倒性」、つまり日本がアメリカの後追いではなくて実はバブルでは17年先行していてアメリカが日本を追いかけているとかは成程ね~と勉強になりました。ただ、じゃぁ、この先は?というところでは明確な「解」は提示されずじまい。

で、一番印象に残ったのは、(これは私だけ知らなかったのでしょうが)、
あのサッカーフランス代表だったジダンが、漫画「キャプテン翼」を読んで、サッカー選手になりたいと思った。という部分(同書p.256)。これって本当なんですかねぇ?

本題に戻しますと・・・・
無宗教を公言する我々日本人は、人間生活における宗教の役割の大きさを無視してしまいがちですが、かのマックス・ウエーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で宗教は資本主義の誕生に大きな役割を果たしたことを主張していましたっけ。

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)
マックス ヴェーバー
岩波書店

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つまり、修道院の中での修道士の禁欲的な生活のようにプロテスタント信者が私利私欲を離れて、規則正しく、一切の無駄なく働く意味の詮索さえ忘れて社会の中で黙々と勤労に励み、結果として富が蓄積されても、それを享受するのではなく、ひたすら営利に再投資することで富がますます蓄積され、資本主義の大きな発展に寄与した・・・・・・・・。

このように資本主義は「清貧」から生まれたのですが、ついでながらウェーバーは同書の最後の末尾のほうで、資本主義の行く末についてこんな診断をしております。
「文化発展の最後にあらわれる“最後の人々”にとっては
 次の言葉が真理となるのではないか。

 『精神のない専門人、心情のない享楽人。この無のものは、
  人間性のかつて達したことのない段階にまで既に登りつめた、
 と自惚れるだろう』」。

デタラメなサブプライム商品に関わった金融機関や投資銀行、享楽的バブル消費にうつつを抜かしたかつての日本そして今回の米国民など・・・・・・よくぞ見通された、と思います。
さすが古典。

で、今ご紹介した部分は、実はこの本を参考にしております。
悩む力 (集英社新書 444C)
姜尚中
集英社

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この本では・・・・・、
格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、
楽観的にもなれない人たちは「どう生きれば良いのだろうか?」と苦悶。
この苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、
最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。
・・・・らしい。
この本もブックオフで早くもゲット。
たまたまですが、この本でもマックス・ウェーバーを
大々的に取り上げていたんですね。

まっ、今後の資本主義を考える上で、
「マックス・ウェーバー」がちょっとしたブームになるのかも知れませんね。
それだけ、「暴走した資本主義」が残した爪跡が大きいということなのでしょう。

「迷ったら古典に立ち戻ろう!。」これが今回の教訓でした。








で、本日の1曲ならぬ3曲。
急に涼しくなってしまい、ぬいぐるみ体型の私にとっては福音ですが
一方で、夏が突然終わってしまう寂しさも少々。
ということで今回は3曲をエントリー。

そのココロは、「少年時代の夏の終わりにさよなら」。(←単に3曲のタイトルを繋いだだけです)
画像・音声の質に少々問題がありますが、
私が社会人になった頃の曲ということでご容赦を。
いずれも「古典的」名曲です。


井上陽水「少年時代」(PV)




安全地帯「悲しみにさよなら」(PV)




井上陽水・玉置浩二 「夏の終わりのハーモニー」



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