いつもご覧下さり誠に有難うございます。
さすがに前回のソフトバンクネタ、久々の1000名様越えでした。
有難うございました。
で、本日のネタですが・・・・・。
少々趣向を変えて、会計の基礎知識のご紹介。
どうでもいいことですが、私の職場にも4月にフレッシュマンが3名来ました。
3名の頭文字をつなげるとN、I,Tなので私は「ニート君」と呼んでおります
(綴りは違いますけどね)。
そのニート君。
会計知識が乏しいので、私が毎朝30分程度、その日の日経新聞記事を題材に
連結会計とか税効果とか企業結合会計とかを教えております。
(そこで使う雑談ネタの大半はこのブログから取っていることは
言うまでもありません。)
ただ一つ困ったことがありました。「退職給付会計」の教え方です。
結構難しい。
ネットではあずさ監査法人の解説(基礎講座)が充実しておりますし、
http://www.azsa.or.jp/b_info/keyword/nenkin.html
こうしたテキストをベースに時間をかけて説明すればそれなりに理解させることは可能でしょう。
しかし、時間が限られている中、制度をイチから説明するワケにもいかない。
であれば、「現象面」からアプローチしたほうが面白いのではないか。
そう思った私はここ数日間、日経記事の中から素材を探しておりました。
そうしましたところ、早速見つかりました。
三菱レイヨンです。
まずはラジオNIKKEIニュースのご紹介。
http://market.radionikkei.jp/invest/20070509_07.cfm
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三菱レイヨン <3404> が9日に発表した2007年3月期連結営業利益は597億円で、
前の期に比べて53.9%増と大幅増益になった。
同社はすでに4月19日に業績修正を発表済み。
一方、2008年3月期の営業利益については480億円を予想し、前期比19.6%減と
一転大幅減益を見込んでいる。
ただ、これは退職給付会計の数理計算差異の影響を含んだ数字。
この特殊要因が前期は営業利益を142億円押し上げた半面、
今期は20億円の下押し要因として働く見込み。
これを除いた実質ベースの営業利益は、前期実績が455億円(前の期に比べて14.6%増)、
今期計画が500億円(前期比10.0%増)となり、前述の数字とは違った風景が見えてくる。
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退職給付会計上の数理差異というものが業績のかく乱要因となっているんです。
当社発表資料で確認してみましょう。
決算プレゼン資料 p.3~5でH19/3期実績、p.21~22でH20/3期計画
それぞれにおける退職給付会計の影響の説明がなされております。
http://www.mrc.co.jp/ir/pdf/info_kessan_1903_02h.pdf
H19/3期決算短信
http://www.mrc.co.jp/ir/pdf/kessan_1903_02.pdf
では数理差異、より厳密には数理計算上の差異の費用処理額とは何か?
先のあずさHPによりますと、
数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際運用成果との差異、
退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績値との乖離及び見積数値の変更等により
発生した差異。
数理差異の費用処理額=数理計算上の差異発生額÷平均残存勤務期間内の一定年数
ご覧の通りこの差異は償却を要し、会計上、退職給付費用の一部を構成します。
今回のケースでざっくり言いますと、
例えば年金運用が予定以上にうまく行ったので、その見積もりの差額(儲け)を一定年数に
分けて「費用の減少」として会計処理する、ってことになります。
で、当社の場合、非常にユニークなのは、
その差異を発生した翌年度に一気に償却するってことです。
ですので、当社のケースですと、
例えば、世界的な株価上昇等で年金資産が増加
→プラスの数理差異が発生
→翌期にそのプラス額を全額費用の減少(=利益)として計上
ってことになります。
もちろん年金資産は株式のみで運用されているワケではありませんし、
数理差異の発生原因は他にもありますが、
当社の収支構造の特徴として、
年金運用の成果が翌期の業績にストレートに反映されるためその分、ボラタイル、
ってことになります。
では、何故、他の企業でさほどこの手の話が話題にならないのか?
それは、毎期毎期発生する数理差異を一定の年数で按分して処理しているので
影響がある程度緩和される(均される)ためです。
で,この先の勉強方法としましては、この数理差異を足がかりに、
退職給付費用の算定→年金資産→退職給付債務へと通常とは真逆のルートで遡っていく・・・・ってワケです。
まっ、退職給付会計に初めて触れた方は何となく思われたかと思います。
国内外株式市場の動きが退職給付会計(数理計算上の差異)を通じて
業績の変動要因として働いている、ということを。
足元では株式市場は堅調に推移しておりますので、プラスの数理差異が発生し
(償却期間の長短はあれど)企業業績を下支えしております。
(これは勿論、欧米企業にもプラスに働いております。)
極端な見方をすれば業績好調→株高→(プラスの数理差異)→業績好調という
スパイラルが働いているとも言えるでしょう。
言い方悪いですけど、「バブル促進会計」かも。
しかし留意すべきことは、「逆もまた真なり」です。
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株価の下落⇒数理差異による費用の増加(数年先まで)⇒企業業績の悪化⇒株価の下落⇒数理差異による費用の増加⇒・・・・・
最近は負担の減少要因として働いているようです。
ところで、初めて退職給付会計を勉強したときはかなり難しく感じたのを覚えております。
数理差異はペンションベネフィットなので、利益計上はできないのではないでしょうか?よく判らないのですがTQPPからCBPに変更したために「確定的な利益」として、計上したんでしょうか?
頓珍漢なことを訊いているのかもしれませんが、教えていただけますと幸いです。