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イオンが親子上場を続ける理由に思う

2012-03-27 | 会計・株式・財務
大変ごぶさたしておりました。ワケあってお休みを頂いておりましたが、ブログを再開いたします。


日経のコラムに「イオン、批判多い親子上場を続ける理由」という興味深い記事がありました。
詳細は現物で確かめて欲しいのですが、要するに、

①経営の自立意識が高まる。
②経営陣や社員の士気向上、知名度の向上による優秀な人材の確保など一般的にいわれる上場の果実を得つつ、
 一方で子会社のポジションでいる良さを生かせる。
③将来のグループ幹部を鍛える意味合い。
ということのようです。なるほど、そういうことなのでしょう。

          
しかし、一つ忘れちゃぁいませんか?

以下はイオンの各期の特別損失と、その穴埋めに使われた主な特別利益。並べて見ると・・・(多少、類似科目で括っている)。

2011年2月期  特別損失  645億円 ← 子会社株式売却益・持分変動益 228億円
2010年2月期  特別損失  578億円 ← 退職給付引当金戻入額180億円
2009年2月期  特別損失  910億円 ← 投資有価証券売却益204億円
2008年2月期  特別損失  828億円 ← 投資有価証券売却益・持分変動益134億円
2007年2月期  特別損失  516億円 ← 投資有価証券売却益80億円

お分かりの通り、退職給付でまとまった利益が得られた2010年を除き、毎期発生する特別損失を穴埋めするために、含み益のある有価証券を処分し続けている。特に減損損失は事業の性質上毎期発生するとみられるため、その穴埋め財源も相応に準備する必要がある。近年の株価低迷の中で、イオンが確実に含み益のある株式を保有しつづけるためには、適宜、関係会社を上場させ含み益を作る必要があるのではないだろうか。

2011年2月期有価証券報告書の単体注記(184枚目)を見ると、
時価のある関係会社株式の時価総額は5,872億円、簿価は2,179億円、含み益は3,692億円もある。
ちなみにイオンの連結B/Sその他有価証券評価差額金はわずか34億円。これは関係会社以外の一般株式の含み益に過ぎない。


上場していれば流動性があるので関係会社株式の売却は比較的容易であるし、もちろん連結決算であっても一定の売却益は計上可能である。

つまるところ、
毎期発生する多額の特損の穴埋め原資として関係会社株式の含み益を充てる。そのためには関係会社の上場も推進しているというのが実態ではないでしょうか?

もちろん、邪推の域は出ませんが・・・・。

なかのひと





コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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楽しみにしてます (ミノル)
2012-03-29 08:26:06
再開(再会)を楽しみにしてました。
いつもブログの視点に感動しています。
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Unknown (Unknown)
2012-06-28 19:25:14
はじめまして。
イオンの財務を勉強しているものです。
大変面白く感動しました。

しかし、以下のデータからイオンが大株主の企業をみてみますと、持分比率に変化がありません。
この点はどうお考えですか。ご教授ください。
http://www.ullet.com/8267/have_stock.html#have_stock/page/1
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