11日の日経で「外資系企業の過剰な節税を防止」との
記事が載っていました。
この記事を持ち出すまでも無く、米国企業は節税に熱心でして、
タックスシェルターと言われる租税回避商品を利用しています。
まずの記事のご紹介。そのあとでコメント。
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外資系企業の過剰な節税防止へ・自民税調方針
自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は2006年度税制改正で、
外資系企業による過剰な節税への防止策を強化する。
海外親会社からの借り入れを利用した節税を封じる「過小資本課税」
について、親会社の保証で第三者から借り入れた場合なども対象に
加える方針。
課税回避だけを狙った資金調達の多様化に歯止めをかけるのが目的で、
15日にもまとめる与党税制改正大綱に盛り込み、来年度から導入する。
過小資本課税は日本の外資系企業が50%以上の資本関係のある
海外関係会社から資金を借り入れる場合、借入金が関係会社の出資金の
3倍を超えれば超過分の支払利子の損金算入を認めない措置。
支払利子は損金算入できるが、出資に伴う配当金には認めていないため、
資本金を減らし借入金を膨らませるという「課税逃れ」を封じる狙いがあった。
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(コメント)
・米国企業はますます税金を払わなくなっています。
実効税率(この場合、税引前利益に対する納付税額の割合)は、
1990年代 30%前後
2001年 26.1%
2004年 22.8%(法人税率35%)
かように税負担を下げているのが、租税回避商品。
・以下、05.6.14付日経コラム「大機小機」に掲載されていた
租税回避商品をご紹介。
①企業会計と税務会計の分離を利用したシェルター
・経営者は、企業会計上はより多くの利益
税務会計上は利益を圧縮したい
という異なるインセンティブが働く。
・業績連動報酬、ストックオプションの普及による株価重視経営
によりますます拍車がかかる。
・代表例は、加速度償却やリースを活用したシェルター。
また投資銀行より「税務上は負債で会計上は株主資本」
なる商品が提供され、投資家への支払いは税務上は利払いとして
損金計上されるが、会計上は利益後配当、というものもある。
↓
このような所得は経営者に流用されやすく、
企業統治の観点から問題視
②タックスインバージョン
・米国企業がタックスヘイブン(租税回避地)に会社を設立し、
自らその子会社になるというインバージョン(海外移転)。
支払利子や損金算入される保険料を拡大させ、米国源泉所得の
圧縮ができる。
・企業がオフショアに利益を溜め込むことに手を焼いた当局は、
1年限りの措置として、海外留保所得を国内に戻す
「リパトリエーション」の場合には税率を低くする法律を制定。
↓
いかに米国企業が海外に利益を留保しているかという傍証
③ハイブリッド・エンティティー
・米国と外国とで課税上の取り扱いが異なる事業体を利用するもの。
・米国では、有限責任会社やパートナーシップについては、
法人税か構成員課税かを納税者が選択できる。
このため、外国で法人とされる事業体を米国では構成員課税の
事業体として取り扱うことにより、
子会社に生じた損失を米国親会社の利益と総裁することが
可能となる。
・日本の企業財務においても、「いかに無駄な税金を支払わないか」は
税引後利益やキャッシュフローを高める意味でも、より重視されていくのでは
ないかと思います。
たとえば、オーナー企業にありがちな「留保金課税」。
これは他の少数株主にとって不要な税金です。
支配権を維持したまま、この課税を止める方法はありますので、
真っ先に手をつけてもらいたいものです。
・それにしても、米国企業の税テクは凄まじい。
過度な手法は困りますが、日本企業も研究の余地ありではないでしょうか。
記事が載っていました。
この記事を持ち出すまでも無く、米国企業は節税に熱心でして、
タックスシェルターと言われる租税回避商品を利用しています。
まずの記事のご紹介。そのあとでコメント。
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外資系企業の過剰な節税防止へ・自民税調方針
自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は2006年度税制改正で、
外資系企業による過剰な節税への防止策を強化する。
海外親会社からの借り入れを利用した節税を封じる「過小資本課税」
について、親会社の保証で第三者から借り入れた場合なども対象に
加える方針。
課税回避だけを狙った資金調達の多様化に歯止めをかけるのが目的で、
15日にもまとめる与党税制改正大綱に盛り込み、来年度から導入する。
過小資本課税は日本の外資系企業が50%以上の資本関係のある
海外関係会社から資金を借り入れる場合、借入金が関係会社の出資金の
3倍を超えれば超過分の支払利子の損金算入を認めない措置。
支払利子は損金算入できるが、出資に伴う配当金には認めていないため、
資本金を減らし借入金を膨らませるという「課税逃れ」を封じる狙いがあった。
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(コメント)
・米国企業はますます税金を払わなくなっています。
実効税率(この場合、税引前利益に対する納付税額の割合)は、
1990年代 30%前後
2001年 26.1%
2004年 22.8%(法人税率35%)
かように税負担を下げているのが、租税回避商品。
・以下、05.6.14付日経コラム「大機小機」に掲載されていた
租税回避商品をご紹介。
①企業会計と税務会計の分離を利用したシェルター
・経営者は、企業会計上はより多くの利益
税務会計上は利益を圧縮したい
という異なるインセンティブが働く。
・業績連動報酬、ストックオプションの普及による株価重視経営
によりますます拍車がかかる。
・代表例は、加速度償却やリースを活用したシェルター。
また投資銀行より「税務上は負債で会計上は株主資本」
なる商品が提供され、投資家への支払いは税務上は利払いとして
損金計上されるが、会計上は利益後配当、というものもある。
↓
このような所得は経営者に流用されやすく、
企業統治の観点から問題視
②タックスインバージョン
・米国企業がタックスヘイブン(租税回避地)に会社を設立し、
自らその子会社になるというインバージョン(海外移転)。
支払利子や損金算入される保険料を拡大させ、米国源泉所得の
圧縮ができる。
・企業がオフショアに利益を溜め込むことに手を焼いた当局は、
1年限りの措置として、海外留保所得を国内に戻す
「リパトリエーション」の場合には税率を低くする法律を制定。
↓
いかに米国企業が海外に利益を留保しているかという傍証
③ハイブリッド・エンティティー
・米国と外国とで課税上の取り扱いが異なる事業体を利用するもの。
・米国では、有限責任会社やパートナーシップについては、
法人税か構成員課税かを納税者が選択できる。
このため、外国で法人とされる事業体を米国では構成員課税の
事業体として取り扱うことにより、
子会社に生じた損失を米国親会社の利益と総裁することが
可能となる。
・日本の企業財務においても、「いかに無駄な税金を支払わないか」は
税引後利益やキャッシュフローを高める意味でも、より重視されていくのでは
ないかと思います。
たとえば、オーナー企業にありがちな「留保金課税」。
これは他の少数株主にとって不要な税金です。
支配権を維持したまま、この課税を止める方法はありますので、
真っ先に手をつけてもらいたいものです。
・それにしても、米国企業の税テクは凄まじい。
過度な手法は困りますが、日本企業も研究の余地ありではないでしょうか。