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「繰延税金資産の取り崩し処理」から企業の本音を推理する

2005-11-11 | この決算書・会計処理はおかしい
いつもご覧下さり、誠に有難うございます。

今週は概ね150名様/日にご覧頂いているようでして、
それでも2ヶ月前の5割増ですから、非常に嬉しいものです。
今週も勤務先ではいろいろストレスが溜まることばかりでしたが、
ブログの時間は思いっきり気分転換できて、いいもんですね。

いよいよ明日から2日間、以前、宣言しておりました
「バイオベンチャー」セミナーに行って参ります。
これで当分、ネタには困らないと思います。


さて、本題。
本日のケースは、
①会計処理はおかしくはないと思うのですが、
 ニュース(下掲)に書いていることを理由としているのは納得いかない。
②業績下方修正のプレスリリースが無く、投資家に不親切。
 場合によっては、中期経営計画も下方修正の可能性がある。

また、中央監査法人の関与先です。
<NIKKEI NET>
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◆オリコ、繰延税金資産、今期に100億円減

オリコ、繰り延べ税資産今期に100億円減
 オリエントコーポレーションは、支払った税金が将来戻る分を
見込んで貸借対照表の資産に計上している「繰り延べ税金資産」を、
従来計画に比べ1年前倒しで2006年3月期に100億円減額する。

金融庁が9月、大手金融グループと傘下の個別銀行を対象に、
繰り延べ税金資産を資本の一定率(今期40%)以下に制限すると
発表したのを考慮。規制対象がノンバンクなどにも将来広がるリスクに備え、
財務の健全化を急ぐ。

繰り延べ税金資産を減額する(取り崩す)と損益上、
法人税等調整額の計上で税負担が同額増える。
このため同社は06年3月期の連結純利益予想に関し、
期初計画を100億円強下回る400億円に修正するもよう。
今期末の資本に対する繰り延べ税金資産の比率は36%程度に下がる見通し。
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①真っ先に思ったのは、信販会社の監督官庁は、
 確か割賦販売法とかが絡むので、経済産業省のはず。
(まぁ確かに貸金業規制法は金融庁が絡むけど)

 ですから、大手金融機関の繰延税金資産の計上基準強化が
 直ちに信販会社まで及ぶかは疑問ですね。

②となれば、別の理由。
 オーソドックスに「収益の見通しが下ブレした」ですよ。
 ホームページから決算短信を見ますと

 H18/3期 予想連結経常利益は、
            期初(5月公表時) 585億円
 そして、中間決算を踏まえて
            今回(11/11) 535億円
 と▲50億円引き下げております。

 繰延税金を100億円取り崩す、ということは、
  100億円÷実効税率40%=250億円
 実に250億円分の利益が見込めなくなった、
 と理解するのが自然ではないでしょうか。

 今期は▲50億円、利益が下ブレています。
 
 ホームページにはこの春に策定された「中期経営計画」の
 計数目標がありました。
 そこの連結経常利益を見ますと、
  H17/3期 426億円  
  H18/3期 586億円 (前年比+160億円①) 
  H19/3期 692億円 (前年比+106億円,H17/3比 +266億円②)
  H20/3期 797億円  (前年比+105億円,H17/3比 +371億円③)
  
 H17/3期経常利益に対して実に3年累計で797億円(①+②+③)の
 増加利益を見込んだ、やや強気な計画になっております。

 この797億円のうち、250億円分が見込めなくなった、
 という理解が分かりやすいと思います。 

 ですからこの仮説が正しければ、中期経営計画は下方修正すべきでしょうし、
 今期の業績下方修正も、投資家さんにちゃんとアナウンスすべきだと
 思います。

たとえば、こんな具合に下方修正。(あくまでも例です)
  H17/3期 426億円  
  H18/3期 536億円 (前年比+110億円①)←会社修正計画 
  H19/3期 612億円 (前年比+ 76億円,H17/3比 +186億円②)
  H20/3期 677億円  (前年比+ 65億円,H17/3比 +251億円③)

   ①+②+③=547億円=797-250 とピッタリ一致します。

 下方修正のアナウンスができないのは、メンツもあるのでしょうか。
 オリコは確か、この春に伊藤忠商事の持分法適用会社になったばかり。

 いきなり計画初年度の中間期で下方修正すると、お互いのメンツが
 潰れるでしょうからね。

 でも、何でも正直・誠実・迅速に対応した方がいいですよ。
 そこまでして株価を上げたいのでしょうか?
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