◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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集団投資スキーム(投資ファンド)の実態と問題点とは?

2006-03-07 | この決算書・会計処理はおかしい
「企業会計」という雑誌の06年4月号に、
「投資サービス法制定に当たっての課題」という公認会計士・橋上徹先生の論文が
ありまして、この中では、いわゆる投資ファンドの実態と問題点を簡潔にまとめられておりました。

皆さんは既にご存知の話ばかりだとは思いますが、
今回は粉飾決算の手法という視点から、ポイント整理を(自分のために)
しておきたいと思います。

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■任意組合・匿名組合

民法上の任意組合、商法上の匿名組合を利用した集団投資スキームは
国際的にも有名。(海外ではそれぞれ「NK」「TK」と呼称)

では何故有名なのか?

①悪用事例が跡を絶たない。
「匿名」である組合を利用した投資組合等は資金の流れを不透明にしている。
 なのに、日本版LLPをのぞき開示規制等が無い。


②投資対象が原則なんでも良く、違法な未公開株投資が行われたり、ラーメン
ファンドなどのようにすぐに潰れたり、ファンドの資金使途が反社会的勢力や
政治資金、議決権の一定の行使を目的とする株主への利益供与に向けられたり等
の問題を起こしている。

(これは笑えるが、)そもそも通常資金使途、投資家等が開示されないので、
一般には問題が生じていることすらわからない。

 
③日本の証券取引法上、連結は支配力基準で行うとされるものの、基準の運用解釈
が明確でないこともあり、通常連結されていないことを悪用するケースもある。

たとえば、
・買収企業を連結から外すためと見られるSPCの介在、
・銀行等が本体で禁止されている商業用不動産保有について連結範囲から外すため
の不動産開発型SPCや組合等の介在  など。


④外部監査制度や監督官庁の検査もほとんど無されていないか、任意の監査が
あっても会計・監査の基準が無く、問題となることもない。

⑤ライブドア事件のように組合を使って企業を買収し、その後「株式交換」が
なされるケースがある。実態は、商法・会社法が想定していない、株式と組合持分
の交換(株式と株式の交換ではなく)の潜脱行為が行われている。
完全に違法ではないものの、極めてグレーな買収の器となり、企業結合法制を
揺るがすようなことが行われている。



■信託

信託は元々その性質上、公益性が高くあるべきなのだが、日本においては匿名組合・
任意組合などと同様の器として使われている。
金銭の信託で匿名組合・任意組合などに出資を行うと、財務諸表では「金銭信託」
としてのみ表示され、内容が開示されない。
    ↓
金銭信託の資金が匿名組合などへの出資へ繋がっているのであれば、金銭信託の
信託財産・貴族損益の財務諸表への直接的反映が必要



■中間法人

本来は公共性の高い業務を行うことが想定されていたが、有限責任の中間法人が
やはり匿名組合・任意組合と同様の器として使われ、かつ連結から除外されること、
法人税等が安いことを悪用しているケースが増加。



■NPO

公益性を隠れ蓑にした投資ファンドが組成されている。

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・・・・ここまで書いていて気が重くなりました。悪知恵のオンパレート。
こういうスキーム物全てが問題だ!と言っているわけではありませんが、
疑心暗鬼になってしまいますね。

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